活動日誌−活動日誌

【18.06.02】 非正規労働者の賃金等の格差「不合理」 一部手当認める(最高裁が初判断)

誰もが納得して働ける社会に

 有期雇用社員や定年後再雇用の嘱託職員が、同じ仕事内容であるにもかかわらず、賃金や手当で格差があるのは違法として是正を求めていた裁判で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、一部手当の不支給について、不合理な格差を禁じた労働契約法20条に違反する一方、賃金格差の是正については請求を棄却する判決を出しました。同条にもとづく格差是正を求める裁判で、最高裁が判断を示したのは初めてです。
 判決を出した訴訟は2つ。
 1つは、物流会社ハマキョウレックス(浜松市)の契約社員の運転手が、正社員にのみ支給されている手当の支給を求める裁判。
最高裁判決は、ハマキョウレックス訴訟で二審の大阪高裁判決(2016年7月)が認めた通勤手当など4つに加えて皆勤手当も支給しないのは不合理と判断。住宅手当は退けました。
会見したハマキョウレックス事件の原告側代理人の中島光孝弁護士は「格差を是正する大きな判決」と評価。
 もう1つは、長澤運輸(横浜市)を定年後、嘱託職員として再雇用された運転手3人が、正社員との間で職務などに違いがないにもかかわらず、賃金格差があるのは違法と訴えた裁判です。
長澤運輸の訴訟では再雇用後の賃下げについては、長期雇用などを予定していないことなどを理由に不合理な格差と認めず、精勤手当について不合理と判断しました。16年5月の東京地裁判決は、賃金格差は違法とする判決を出していました。
長澤運輸事件の原告側代理人の宮里邦雄弁護士は、判決で定年後再雇用にも労契法20条が適用されるとしたことにふれつつも、「結論としては不当な判決だ」と語りました。

【ハマキョウレックス訴訟】
大津地裁彦根支部(2015年9月) 通勤手当
大阪高裁(2016年7月)     通勤・無事故・作業・給食手当
【長澤運輸訴訟】
東京地裁(2016年5月)      定年前と同じ賃金を払うべき
東京高裁(2016年11月)    賃下げは不合理でない

5社が社説で論評
1、待遇格差訴訟 納得して働ける賃金に(朝日)
2、非正規格差判決 労使双方に目配りした最高裁(読売)
3、「非正規」手当で最高裁判決 格差の是正へ一歩前進だ(毎日)
4、賃金格差判決 不合理な待遇差なくせ(中日)
5、非正規格差で判決 同一賃金の原則を確かに(産経)

 いまや非正規労働者は2000万人を超え、働く人の約4割に達する。だが賃金水準は正規の6割程度で、底上げは急務だ。国会で審議中の「働き方改革関連法案」は「同一労働同一賃金」の実現を柱の一つに据える。政府は、どのような格差は許されないかを具体的に示したガイドライン案を公表している。最高裁が示した考えとも重なる部分が多いが、さらに分かりやすい内容に進化させる必要がある。
 誰もが納得して働ける社会に向けて、今回の判決も参考にしながら議論を深めていって欲しい。(朝日)

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)