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【18.05.12】 日本共産党が「働き方改革」の対案(労働基準法等改正大綱)を発表しました。

「まともな改革を」(残業上限月45時間、「高プロ」削除など。)

山下副委員長は、政府が審議入りを強行した「働き方改革」一括法案は「長時間労働を増大させ、過労死を促進するなど財界の要求に沿った“働かせ方大改悪”といわざるをえない」と指摘。「労働時間データを捏造し、野村不動産の過労自殺を隠してきた安倍内閣に、『働き方』改革を語る資格はない。野党や労働組合など諸団体、広範な市民と力をあわせて、法案阻止に全力を尽くす」と表明しました。
党として「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現へブラック企業規制法案などを提案してきたことを紹介し、今回の大綱は政府の一括法案への対案だと説明しました。
大綱では、政府案の「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)は労働時間規制を適用除外し、過労死を促進・合法化するとして削除します。
裁量労働制についても、何時間働こうが事前に決めた時間を労働時間とみなすため、長時間労働の温床になっていると指摘。違法な適用が広がる企画業務型は廃止し、要件と運用を厳格化します。
残業時間の上限は、政府案では「月100時間未満」など過労死水準を法的に容認しているとして現行告示の週15時間、月45時間、年360時間を労基法に明記。終業から始業まで休息を確保する11時間の「インターバル規制」を明記します。
使用者に実労働時間の正確な把握・記録を義務付け、「サービス残業」は残業代を2倍にします。
パワハラ規制では、企業に対し厚労省が助言、指導、勧告、企業名公表を実施。セクハラについても規制を強化し、「被害者の人権とプライバシーを守る企業の責務」などを定めます。
山下副委員長は、「大綱を各党や労組、市民にも届け、共同を広げて、一括法案を必ず阻止する力にしていきたい」と語りました。
共産党案のポイント
○高度プロフェッショナル制度の削除。企画業務型の廃止など裁量労働制を見直す
○残業時間上限を月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間を確保
○実労働時間を正確に把握・記録させ、サービス残業代は2倍にする
○パワハラ・セクハラへの規制強化
○同一労働同一賃金と均等待遇を明記し、正規と非正規、男女の格差をなくす
○雇用対策法改定案から「生産性の向上」「多様な就業形態の普及」を削除し、雇用対策法を変質させない

日本共産党の労働基準法等改正大綱(全文)

日本共産党の労働基準法等改正大綱(「働かせ方」大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために)
                       2018年5月11日 日本共産党国会議員団
政府は、「残業代ゼロ」法案と「残業時間の上限規制」法案を「一本化」した労働基準法改定案など8本の法律を一括改定する「働き方改革」一括法案を国会に提出し、野党と広範な団体・市民の反対を押し切って、審議入りを強行しています。労働時間規制を完全になくしてしまう「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)を導入し、過労死水準の残業を合法化するなど、「働かせ方」大改悪法案です。
日本共産党はこの間、8時間働けばふつうに暮らせる社会を実現するために、ブラック企業規制法案や派遣労働者保護法案、パート・有期労働者均等待遇法案、長時間労働解消緊急提案などさまざまな立法・政策提案をおこなってきました。政府一括法案の国会提出にあたり、これに焦点をあてて労働基準法等改正大綱を発表します。
(1)「高度プロフェッショナル制度」を削除し、企画業務型裁量労働制の廃止をはじめ裁量労働制を抜本的に見直します
政府の「働き方改革」一括法案に盛り込まれている「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、労働時間規制を全面的に適用除外にする制度です。週休2日にあたる年間104日さえ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、過労死を促進・合法化する制度です。8時間労働制を根底からくつがえすこの制度を法案から削除します。
実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間を働いたものとみなす「みなし労働時間制」は、世界にほとんど例をみない異常な制度です。この制度を認める国際労働機関(ILO)条約は存在しません。
裁量労働制は、「みなし労働時間制」を採用しているために、実労働時間の把握が事実上不可能であり、長時間労働の温床になっています。とりわけ企画業務型裁量労働制は、事実上、違法な営業職や一般職にも広がっています。野村不動産では違法に企画業務型裁量労働制が適用されていた営業職の労働者が過労自殺しています。こうしたなか、三菱電機はことし3月、「長時間労働の抑制・健康確保等の観点から労働時間をより厳正に管理する」ために企画業務型裁量労働制を廃止しました。
ホワイトカラーを際限のない長時間労働に追いやる企画業務型裁量労働制は廃止します。専門業務型裁量労働制については、真に専門的な業務に限定し、その要件と運用を厳格化します。事業場外みなし労働時間制についても、その要件と運用を厳格化します。
 (労働基準法第38条の2、3、4関係)
(2)残業時間の上限を月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル)を確保します
政府案は、「月100時間未満」「2〜6カ月平均で月80時間」という過労死水準の残業時間を法的に容認しています。過労死促進・合法化法案です。
残業時間の上限基準としては、週15時間、月45時間、年360時間が定められています(労働省告示154号)。これに法的拘束力をもたせます。この上限時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用します。残業時間の青天井を容認する三六協定の特別条項を廃止します。
割増賃金が残業抑制という本来の役割を発揮できるように、1日2時間、週8時間を超える残業の割増率を50%にします。また、3日連続で残業させたら4日目からの割増率を50%にします。
法定休日について、労働基準法は、4週間をとおして4日の休日をあたえる4週・4休制を認めています。最大48日連続勤務を可能にしています。このために休日を与えない違法な連続出勤が表面化しにくい状態を生んでいます。連続出勤を規制し、毎週休めるようにするために、7日ごとに1日の法定休日を保障します。
(労働基準法第35条、第36条、第37条関係)
EU(ヨーロッパ連合)は、一日の労働が終わり、次の労働がはじまるまでのあいだに連続11時間の休息時間(勤務間インターバル)を確保することを法制化しています。勤務間インターバル規制は、一日の労働時間規制にもつながる重要な制度です。労働基準法に連続11時間の勤務間インターバルを明記します。例外は、必要最小限にとどめます。
(労働基準法に第34条の2を新設)
(3)ただ働き残業(サービス残業)をなくすために、実労働時間を正確に把握・記録し、「サービス残業」が発覚したら残業代を2倍にします
長時間労働是正の土台は、実労働時間の正確な把握と記録です。各事業場ごとに労働時間管理台帳を作成し、管理職をふくめた全労働者の実労働時間を正確に把握・記録することを使用者に義務づけます。職場から労働時間をチェックすることによって、長時間・ただ働き残業をなくし、「追いつめられている」労働者を救済することができるように、本人はもとより、本人の同意があれば職場の労働者や家族・友人も、労働時間管理台帳と賃金台帳を閲覧できるようにします。
労働時間管理台帳を作成・記録・保存をしない事業主に対する罰則を設けます。
(労働基準法に第107条の2および第108条の2を新設、第120条関係)
労働基準法に違反するただ働き残業(「サービス残業」)が後を絶ちません。企業に罰則を科すとともに、「サービス残業」が発覚したら、労働者に支払う残業代を2倍にします。「サービス残業」が企業にとって「割に合わない」ものにすることで、長時間労働の抑止力とします。
(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に第15条を新設)
(4)パワハラ・セクハラへの規制を強化します
達成できないノルマを課して精神疾患や過労死・過労自殺に追い込んだり、「追い出し部屋」に隔離し、繰り返しの面談で退職を強要するようなパワハラをやめさせます。また、退職を希望する労働者に「違約金」を請求して辞めさせないようにする違法行為をきびしく取り締まります。さらに、お客が店員に土下座を強要するなど、第三者からの過大なクレームも規制の対象とします。
パワハラ行為を防止するために、厚生労働省は企業にたいして助言、指導、勧告をおこないます。勧告に従わない企業名を公表します。パワハラの是正指導を労働局に求めた労働者に対する不利益とりあつかいを禁止します。
職場でのセクハラをなくすために、企業への助言、指導、勧告と勧告に従わない企業名の公表などを定めた男女雇用機会均等法の現行のセクハラ規制を強化し、被害者の人権とプライバシーを守る企業の責務などを定めます。
(労働安全衛生法に第71条5、6、7、8を新設、第97条関係、男女雇用機会均等法第11条関係など)
(5)同一労働同一賃金と均等待遇を法律に明記し、正規と非正規、男女の格差をなくします
政府は同一労働同一賃金を実現するといいます。しかし、政府案には同一労働同一賃金が明記されていないばかりか、能力、業績、企業への貢献、「人材活用の仕組み」などによる賃金格差を法的に容認するものとなっています。
同一労働同一賃金と均等待遇を実現するために両原則を労働基準法や労働契約法、パート労働法、労働者派遣法などに明記します。また、福利厚生施設の利用などについても、正規と非正規の格差をなくします。
(労働基準法第4条関係など)
(6)雇用対策法改定案から「生産性の向上」と「多様な就業形態の普及」を削除するなど、雇用対策法を変質させません
政府案は、雇用対策の「目的」に「労働生産性の向上」を持ち込んでいます。これは、憲法27条が保障する労働権を実現するという雇用政策の役割を変質させるものです。政府案からこの文言を削除します。また、政府案の「国の施策」に明記された「多様な就業形態の普及」は、労働者保護法の適用を受けない労働者を大量につくろうとするものです。政府案からこの文言を削除します。また、政府案は、法律の名称から「雇用対策」の文言をなくし、第一条の「目的」に明記されていた「雇用」を「労働」という文言に置き換えています。法律の名称および目的に雇用対策を明記するようにします。

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