活動日誌−活動日誌

【18.02.25】 安倍政権の「働き方改革」が問われている。

「働き方改革」議案の提出止めよ、「森友・加計」証人喚問6野党書記局長・幹事長会談で一致

共産党、立憲民主、希望、民進、自由、社民の6野党は21日、書記局長・幹事長会談を国会内で開きました。安倍首相が「裁量労働制は一般労働者より労働時間が短い」との答弁を撤回したもと、「働き方改革」関連法案の国会提出を見送ることや、裁量労働制を全般的に再調査する事と共に、森友・加計疑惑での佐川国税庁長官、首相夫人の安倍昭恵氏、加計加計学園理事長の証人喚問を求めることで一致。労働法制問題で23日に6野党がそろって院内集会を開くことも確認しました。
会談後の共同会見で、日本共産党の小池書記局長は「議会制民主主義を踏みにじる安倍政権の暴走に対し、野党6党が一致結束し、大きな焦点となっている問題で国会の中で闘っていくことを確認できた意味は非常に大きい」と強調。「『働き方改革』、とくに裁量労働制のデータの捏造の問題で働く人たちを中心に怒りが広がっている。国民的な運動をつくっていくため野党が結束していく」と語りました。
各党幹事長は、「働き方改革」関連法案について「提出するにあたり捏造があった事は明らかだ」(立民)、「命そのものに対する政府の冷たい姿勢が如実に表れている」(自由)と指摘。今後の連携では、「国民運動がきわめて重要になる。(6野党の連携は)力強い結束だ」(民進)、「協力する所は協力し、安倍一強に対峙していきたい」(希望)、「6党がそろって国民に訴える行動をやっていく」(社民)などと述べました。

「働き方改革」実態誤認 中央公聴会 法案提出の動きに批判

2018年度予算案に関する中央公聴会が、21日衆院予算委員会で開かれ公述人からは安倍政権が国会提出を狙う「働き方改革」関連法案への批判の声が相次ぐ。
全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長は、政府が「不適切」と認めた裁量労働制の労働時間に関する厚労省調査について「データの推計も比較の仕方もでたらめ。実態を誤認したまま法制度の論議が進められたのではないか」として、「現場で何が起きているかを再度、労働政策審議会のもとで丁寧に把握し、審議する作業から行うべきだ」と述べました。
法政大学の上西充子教授は、厚労省の不適切な比較データが、裁量労働制が長時間労働を助長するという批判に対する反証データとして使われ、作成に政治的な意図が働いた可能性を指摘。不適切な比較データが法律の立案過程に与えた影響を無視して「(政府・与党が)数の力で法案成立を強行しようというなら、実態調査にもとづく政策立案も、政労使3者構成による政策形成プロセスも、真剣な国会審議も、すべての土台を損なう」と批判しました。
全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表世話人は、夫を過労死で失った無念を訴え、「今でさえ死者が出ているのに、これ以上裁量労働制を拡大したら、さらに死人が増える」と強調。「人の命が奪われるのが明らかな法律を黙って見過ごすことはできない。家族が過労死して地獄の苦しみをあじわった私たちは、同じような被害者を増やすわけにはいかない」と述べ、法案に反対する決意を述べました。
日本共産党の藤野議員は、裁量労働制では労働者が労働時間を自由に決められるかのように政府が説明していることへの見解をたずねました。伊藤氏は「労働者には業務量や締め切りなどの(決定)権限がなく、仕事だけを押し付けられることになる」と述べ、長時間・不払い労働の温床になる裁量労働制の問題点を指摘しました。

朝日新聞2月23日社説 裁量労働拡大 法案から分離し出直せ

 「裁量労働制」の対象拡大など、規制を緩和する部分を「働き方改革」法案から切り離す。現場の実態を調べ、国民が納得できる制度を練り上げる。
政府はそう決断するべきだ。急がねばならないのは、残業の上限規制など働き過ぎの防止策である。
あらかじめ定めた時間を働いたとみなす裁量労働の対象拡大について、野党が国会で追及を続けている。安倍首相が答弁を撤回するなど守勢の政府は、裁量労働拡大の実施を予定より1年遅らせ、2020年4月にすることを検討し始めた。
専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設も、合わせて1年遅らせるという。
典型的な問題のすりかえであり、論外だ。問われているのは、大きな政策変更を拙速に進める政府の姿勢である。
国会審議では、法改正を議論した労働政策審議会(労政審)に提供された基礎資料のうち、一般労働者の残業時間に関する一部で間違いがあることもわかった。野党は労政審の議論自体に疑問を投げかけ、政府は影響はなかったと反論する。
だが、思い起こせば、議論の過程がそもそも異例だった。経営側が求める裁量労働拡大や高プロ創設について、労働側が長時間労働への恐れが払拭できないと最後まで反対したのを押し切り、「おおむね妥当」と結論を出した。
労政審は本来、中立の立場の有識者と労使の3者が議論を重ね、合意を探る場だ。ところが裁量労働拡大と高プロ創設については、「産業競争力会議」や「規制改革会議」など政権肝いりの会議が、労政審に先立って方針を打ち出していた。
安倍首相は「裁量労働で働く方の労働時間は、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」との国会答弁を撤回した。その一方で、裁量労働の方が一般労働より長いという労働政策研究・研修機構のアンケート結果を強調する野党に対し、裁量労働に移行したことで長くなったことを示すものではないと反論する。
確かにこの調査は、一般労働から裁量労働に変わった人の変化を調べたものではない。ならば、変化を調べるよう指示し、検討の手がかりとなるデータを集めるべきだろう。
裁量労働をめぐっては、対象外の人に適用して残業代を支払わない例など、今もさまざまな問題が指摘されている。現状に向き合うことが出発点だ。なし崩しの拡大は許されない。

中日新聞2月22日社説 「裁量労働制」 疑問は一層深まった 

「裁量労働制」の利点を説明するためのデータが不適切で、安倍首相が国会での答弁を撤回する事態になっている。政府はデータ誤用の検証結果を説明したが、十分とはいえない。疑問は残る。
データ誤用について、首相は20日の衆院予算委員会で「深くおわびしたい」と表明はした。
しかし、その責任は厚生労働省にあるとの認識も示した。まるで人ごとだ。政府の政策全般に責任がある首相がとる態度ではない。
データは、一般労働者より「裁量労働制」で働く人の労働時間が短くなることを説明するためだった。比較できないデータを使用した単なるミスで、裁量労働制の対象業務拡大を含む働き方改革関連法案の内容は厚労省の労働政策審議会(労政審)も審議し、お墨付きを得ている。だから予定通り法案を提出する。これが政府の姿勢だ。
政府の説明は、疑問に答えていない。データは2015年に公表されたが、なぜ厚労省が比較できないデータで策定したのか。どんな意図でだれの指示でつくったのか、策定したデータをだれに報告したのかなどその経緯が分からない。野党が「捏造」と反発するのもうなずける。解明の責任が残る。
「裁量労働制」は、残業も含め事前に労使で労働時間と賃金を決める働き方だ。残業代は「定額」で働かせられるためコスト抑制につながる。今回の対象拡大は経済界から要請されている規制緩和策だ。
政府が説明する働く時間が短くなるとの利点はデータ誤用でその根拠が怪しくなった。むしろ長時間労働を助長するとの別の調査もあり、そうなら改革に逆行する。政府はこの働き方についてどう考えているのかを改めて示す責任があるが、答えていない。
労政審は有識者と労使の三者で構成する。政府は、ここでの議論を経て法案化したと正当性を主張するが、労政審に今回の比較データは示しておらず不適格性に気づけなかったのではないか。
安倍政権の労働政策は、労政審ではなく労働側が加わらない官邸の会議など官邸主導で進められることが目立つ。この制度の対象拡大や「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」もこの手法で法案化された。このやり方を労働側は再三批判してきた。
政府は、「裁量労働制」の対象拡大の施行を1年延期することを検討中だ。だが、遅らせて済む問題ではない。やはり、この2つの制度は法案から切り離し再考すべきだ。

2月24日しんぶん赤旗主張 裁量労働偽データ 法案提出への固執は通用せぬ

裁量労働制の拡大をめぐる安倍政権の労働時間データの捏造問題は深刻な広がりをみせています。安倍首相が撤回した「裁量労働制の方が労働時間は短い」という答弁の根拠になったデータが偽りだっただけでなく、200件を超える規模のデータの誤りが次々発覚するなど、政権ぐるみのデータ偽装・隠蔽疑惑の様相を呈しています。裁量労働制の拡大を柱の一つとする「働き方改革」一括法案の前提がいよいよ成り立たないのに、安倍政権は施行日を遅らせるなどして、あくまで法案の国会提出に固執しています。こんな姿勢はとても通用しません。
ないといっていた資料が倉庫から見つかる。調べれば調べるほどおかしな数値のデータが存在する―。安倍政権と厚生労働省のずさん極まる姿勢と対応に国民の怒りと不信は高まる一方です。
撤回した首相答弁のもとになった2013年度「労働時間等総合実態調査」のデータでは、一般労働者の労働時間が裁量制の労働者より長くなるよう加工されていたことなどが明らかになっただけでなく、調査の元資料でも考えられないでたらめな数字が続々と判明していることは重大です。
ある人の残業時間が1週間分で「35時間」だったのに対し、1カ月分では「2時間30分」と逆に短くなるなど、とてもありえません。そのような異常値が少なくとも一般労働者で117件、裁量労働の人で120件あった事などを厚労省も認めました。
なぜこんなずさんなデータなのか、だれがどういう意図でデータを捏造したのか。洗いざらい明らかにすることが求められます。
法案の根拠が揺らいでいるのに、安倍首相は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論して了承されていると法案提出の姿勢を崩しません。しかし、労政審に報告されていたデータは、偽りを含んだうえ、実態をゆがめる調査に基づいたものだったのに、そうとはわからないまま示されていたのです。裁量労働の方が長い実態を示す労働政策研究・研修機構の調査結果は報告されませんでした。
「働き方」法案のもとになった労政審「建議」(2015年2月)には「長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和のとれた働き方」を広げることを「喫緊の課題」としていました。議論のベースとなるまともなデータが政府側から一切示されなかったことは明らかです。
だいたい「働き方」法案については官邸直結の財界主導の会議で大枠を決め、労政審に押し付け、労働者代表の反対を抑えて決めたものです。労政審を持ちだして法案を正当化することはできません。きちんとした実態をもとに議論のやり直しこそ必要です。
首相は“詳細に把握していない”“答弁は厚労省から上がってくる”と人ごとのような答弁を続けていました。最重要法案といっておきながら極めて無責任です。
マスメディアの世論調査では裁量労働制拡大に「賛成」17%に対し、「反対」58%にのぼります(「朝日」20日付)。日本共産党など野党6党は「働き方改革」一括法案の国会提出に一致して反対しています。世論と運動の力で安倍政権を追い込み法案の国会提出を断念させることがいよいよ急務です。

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