活動日誌−活動日誌

【17.12.26】 安倍政権復帰5年、3紙が論評

安倍政権復帰5年 憲法壊す政治の加速許さない(しんぶん赤旗)

安倍首相が2012年12月26日に第2次政権を発足させてから5年になります。
安倍氏は06年にも首相に就任しましたが、支持率の低下や健康上の理由で辞任しており、同じ首相が退陣後復帰したのは吉田茂政権以来でした。復帰以来2回の総選挙を経て、政権担当期間は歴代3位になりました。しかし、“売り物”にしてきた経済政策では経済も暮らしもよくならず、外交でも行き詰まりが明らかです。自民党内でも異常な改憲派の政権として、秘密保護法、戦争法、「共謀罪」法の制定や、9条改憲の策動など、危険な「戦争する国づくり」が突出しています。
首相に就任する前から、侵略戦争を肯定・美化し、憲法を「押し付けられた」と非難してきた安倍氏は、第1次政権でも改憲をたくらみ国民の反発を買いました。政権復帰後は憲法の条文そのものを変える明文改憲でも、解釈を変更する解釈改憲でも、いっそう露骨に改憲策動を繰り返しています。
2期目の就任直後、衆参両院で3分の2以上の議員の賛成によって発議し国民投票にかける憲法改正手続き(96条)を、改憲が容易になるよう「過半数」での発議に改定しようとしたのはその手始めです。さすがにこれは改憲反対の国民だけでなく「改憲論者」からも改憲への「裏口入学」だと批判され、口にできなくなりました。
しかし首相はあきらめず、今度は、国民の知る権利を奪う秘密保護法の制定(13年12月)、集団的自衛権行使を可能にする安保法制=戦争法の制定(15年9月)、「心の中」まで取り締まる「共謀罪」法の制定(17年6月)などの違憲立法を繰り返してきました。戦争法は、憲法が政権をしばる「立憲主義」を乱暴に踏みにじり、集団的自衛権は行使できないという歴代政府の憲法解釈さえ変更して、アメリカが海外で始める戦争に日本を参加させる、憲法破壊そのものの悪法でした。
憲法をないがしろにしてきたその首相が明文改憲でも本音を明らかにしたのが、施行から70年を迎えた今年の憲法記念日に開かれた改憲派の集会でした。戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めた9条に手を加え、戦争法の下での自衛隊を憲法に書き込むという改憲を行い、20年に施行すると言い出したのです。年内に自民党の改憲案を取りまとめるなどの当初の計画はもくろみ通り進んではいませんが、自民党は先の総選挙でも改憲を重点公約の一つに掲げており、来年の国会発議を目指して、改憲への執念は異常なものがあります。
ある政治学者は、ついに安倍政権は「起」の秘密保護法から「承」の戦争法、「転」の「共謀罪」法に続いて、「結」の改憲へと総仕上げを迎えたと表現します。【起承転結】
安倍首相は総選挙後の記者会見や特別国会でも改憲に向けて議論を進めるとあくまで前のめりです。しかし国民は改憲を求めておらず、新聞やテレビの世論調査でも、「急ぐ必要はない」が多数を占めています。改憲強行で国民との矛盾激化は避けられません。
安倍政権による9条改憲を許さず憲法を生かそうと、「全国市民アクション」は3000万人署名を進めています。国会での改憲発議を阻止する世論と運動を広げることが今まさに重要です。

丸5年迎えた安倍内閣 「合意の政治」に転じるよう強く求める。(毎日)

安倍首相が政権に返り咲いてから、きょうで丸5年となった。第1次内閣と合わせ、既に在任期間は戦後3番目の長さとなっている。
長期政権が実現したのは、一言で言えば、安倍首相が自民党総裁に返り咲いて以降の衆参両院選で自民党が大勝し続けているからだ。
選挙の結果は重い。だが国会で与党が圧倒的多数を占める政権基盤の厚みを生かして長期的な課題に腰を据えて取り組んできただろうか。残念ながらそうとは言えない。
今年は「森友」「加計」問題をはじめ、長期化する「安倍1強」のひずみが明らかになってきた1年だった。安倍内閣の支持率は最近、持ち直してきているが、不支持の理由に政策よりも首相本人が評価できないという点を挙げる人が増えている傾向は変わらない。

国民に消えぬ将来不安
5年間を振り返ってみる。まずアベノミクスだ。
第2次内閣発足直後、日銀の「異次元の金融緩和」により円安が進み、恩恵を受けた輸出産業を中心に株価は上昇した。首相が再三、例示する有効求人倍率などいくつもの経済指標は好転した。
それでも肝心の個人消費は狙い通りに伸びない。当初2年で達成することを目指していた物価上昇率2%の目標は実現に程遠く、今も「デフレ脱却」宣言に至っていない。大きな理由は国民の間にある「将来への不安」が解消されないからだろう。
「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」等々、政権は次々キャッチフレーズを繰り出してきたが、最重要課題であるはずの少子高齢化への危機感は乏しく、対応は中途半端に終わっている。
当面の景気を優先して消費増税を2度先送りする一方、「アベノミクスのエンジンをふかす」を掛け声に経済対策の名の下で歳出は膨張し続け財政再建のめどは立たない。
外交・安全保障はどうか。首相が積極的な首脳外交を展開し、主要7カ国(G7)の中でも経験豊富な首脳の一人となった点は評価したい。
ただし首相が「国難」と言う北朝鮮問題は米国頼みなのが実情で、解決の兆しは見えない。特に米国のトランプ政権が誕生して以来、日米関係偏重に加え、防衛力の増強路線が一段と進んでいるように見える。
確かに米国との良好な関係が日本外交の基本だが、「エルサレムはイスラエルの首都」と認めたトランプ大統領に国際的な批判が高まる中、大統領との距離をどう取っていくのかは今後の大きな課題だ。
特定秘密保護法、安全保障法制、「共謀罪」法など、首相は選挙戦では「経済最優先」を口にしながら、勝てば与党の数を頼りに国論を二分する法律を強引に成立させてきた。
民主政治は国民を分断するのではなく、極力合意を目指すべきものだ。大切なのは少数意見の尊重と徹底した議論である。にもかかわらず首相はそうした手続きを怠ってきた。

出始めた自民党の異論
見逃せない首相の発言が最近もあった。共同通信が加盟新聞の幹部らを集めて開いた会合での講演だ。
首相は、新聞を購読する人が多い高齢者より、そうではない若い世代が安倍政治に理解を示していると指摘して、「SNSなどが発達した時代に(若者は)多様な情報を集め自分で判断している」と評価した。
実際、世論調査では若い世代の方が安倍内閣の支持率は高い。しかし、この発言は、自分の支持者は正しく、異論を呈する者は間違っているという思考の表れではないか。
今秋の衆院選での自民党の勝利は野党の分裂という敵失によってもたらされたと多くの自民党幹部が認めている。首相自らが招いたとも言える「森友」「加計」問題も疑念は解消されず年を越す。
これまで官邸主導だった政策決定に対し、衆院選後、自民党内から異論が出始めているのは、国民の間に「安倍離れ」が起きていると感じているからに違いない。
来秋には自民党総裁選がある。首相が3選されれば2021年秋まで、つまり憲政史上最長の計10年近くの政権となる可能性が出てくる。
首相の最大目標である憲法改正も来年の課題となる。だがこれも進め方によっては日本社会の分断を招く恐れがある。そもそも社会保障などに比べて改憲に対する国民の優先順位は今も高いとはいえない。「10年政権」を目指すのなら、まず「合意の政治」に転じるよう強く求める。

安倍政権5年 創生、活躍、革命の次は、改憲。(朝日)

安倍首相が政権に復帰して、きょうで5年になる。来秋の自民党総裁選で3選すれば、通算の首相在任日数が歴代最長になる可能性がある。
長期政権を支えるのは、経済を前面に掲げて国政選挙に5連勝して得た「数の力」だ。
もう一つ、安倍政権に特徴的なのは、次から次へと政策の看板を掛け替えていく「スローガン政治」の手法だ。
耳目をひく政策を打ち出し、取り組む姿勢を強調して、指導力と実行力を演出してきた。
最初はアベノミクスの「3本の矢」だ。次に「女性活躍」をうたい、人口減少が話題になると「地方創生」を唱えた。
さらに「1億総活躍社会」を訴えて「新3本の矢」を繰り出し、「働き方改革」や「人づくり革命」へと続く。
「待機児童ゼロ」「非正規(労働)という言葉をなくす」「介護離職ゼロをめざす」といった華々しい言葉も躍る。
確かに株価は上がり、就業者数は増え、国の税収も伸びた。だが、政権が打ち上げたスローガンは、その名ほどの成果をあげているとは言いがたい。
政府は「デフレ脱却」をいまだに宣言できていない。日銀は「物価上昇率2%」の達成を6度も先送りし続けている。
今年度中が目標だった「待機児童ゼロ」は3年先送り。基礎的財政収支の20年度の黒字化もなし崩し的に延期された。
女性の就業者は増えたが、世界経済フォーラムが先月発表した男女格差ランキングで、日本は144カ国中の114位。G7で最下位だ。
一つひとつの政策に着実に手を打ち、結果を虚心に検証しつつ、工夫を重ねていく。本来あるべきそうした手順を十分に踏むことなく、次の看板に乗り換える。それが安倍政権の「経済優先」の実像ともいえる。
国民はそれでも政権に圧倒的な多数を与えてきた。野党の弱さや選挙制度の特性もあるだろう。だが、政権にとっては、国民の思いや記憶は長続きしないものだと映っているとしても不思議ではない。
安倍政権は、選挙で正面から問わなかった特定秘密保護法や安全保障関連法、「共謀罪」法など、国の骨格を変える法律を押し通してきた。
それで下落した内閣支持率を取り戻すために、スローガンを掛け替えてきた側面もある。そうやって政権を維持してきた首相が次にめざすのは改憲である。5年の節目に、安倍政権のあり方を改めて見つめ直す必要がある。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)