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【17.12.19】 中日、朝日、日経がリニア談合を、共産党は小池書記局長が記者会見

中日 リニア捜索 受注調整の闇を解け 

不正な受注調整はあったのだろうか。リニア中央新幹線の建設工事に絡み、独占禁止法違反容疑で東京地検が複数の大手ゼネコンを捜索した。巨大プロジェクトへの疑惑だ。徹底的な解明を望む。
JR東海が進めるリニアは2027年に品川−名古屋の間で開業する。大阪までの延伸は最速で2037年を目指す計画だ。総事業費は9兆円で、国から3兆円の財政投融資も受けている。
受注調整とは、ゼネコン各社の話し合いによって、どの工区をどのゼネコンが受注するかを決めていくやり方だ。
一般論として話し合いはあるかもしれないが、割り振りを決め、受注価格も決めれば、悪質な談合と同じである。
民間企業が発注した事業であっても、受注する企業が調整を繰り返せば、自由な企業競争が阻害されるのは自明の理であり、独禁法が禁ずる「不当な取引制限」に問われるのだ。
東京地検はまず8日に偽計業務妨害の疑いで大林組を家宅捜索した。18日には鹿島、清水建設を家宅捜索した。大成建設にも捜索方針という。いずれもスーパーゼネコンである。興味深いのは、2015年から今年11月にかけ、リニアで22件の工事契約が結ばれ、この4社が約7割にあたる15件を受注している。
各社ごと3、4件、ほぼ均等に工事を分け合う形になっていることだ。これは各社の担当者による受注調整の結果なのか。東京地検には全容解明が期待される。
それにしても、ゼネコンは度重なる談合事件の摘発を受けて、2005年に「談合決別宣言」をしたのではなかったのか。実は宣言後も名古屋市発注の地下鉄工事で談合が起きているし、各地で談合事件が摘発されている。
とくに2011年の東日本大震災の復旧工事や首都圏の再開発などで、中小含めたゼネコン各社までも建設ラッシュで好況が続く。そうした背景にリニア新幹線の大事業もあったはずである。さらに東京五輪も控える。そうした活況の中で高度成長期の“土建国家”の悪弊まで復活しているのなら、極めて残念である。
今は違反を公正取引委員会に自主申告すれば課徴金を減免される制度がある。最初に“自首”すれば告発も免れる。
不正は結果的に損になる−企業にとってそんな法的仕組みを入れている。二度目の決別宣言は決して恥ではない。

朝日 リニア新幹線 疑惑の徹底的な解明を 

9兆円という巨大プロジェクトの水面下で何が起きていたのか。捜査当局は全容の解明に力を尽くしてほしい。
リニア中央新幹線の建設工事をめぐり、東京地検特捜部と公正取引委員会が大手ゼネコンの強制捜査に乗り出した。きのう、鹿島と清水建設を家宅捜索したのに続き、近く大成建設と大林組も捜索する。
JR東海などがこれまでに発注した22件の工事のうち、これら4社は15件を受注しており、3〜4件ずつを分け合う形になっている。名古屋市の非常口工事に端を発したリニア疑惑は、日本を代表するスーパーゼネコンが関わった談合事件に発展する様相になってきた。
いま工事が進んでいる東京―名古屋間は、その9割が地下やトンネルだ。都市の地下40メートルという深さに駅をつくり、南アルプスを25キロものトンネルでくりぬく。難工事が多く、請け負える技術力のあるゼネコンは限られるとされる。
そうした事情に乗じて、業界内で出来レースが行われていたとしたら、許しがたい。正当な競争が回避され、工費が高止まりすれば、そのツケは将来、運賃を通じて利用者にはね返る。
4社は05年に談合との決別を宣言したが、その後も名古屋市の地下鉄延伸工事や東京外環道の工事など、談合での摘発や疑惑の指摘が続いている。
今回も、工事の情報を漏らさないとする誓約書をJR東海に出していたが、それをほごにして、受注への協力を他社に働きかけていた疑いがある。業界に自浄能力はあるのか、厳しく問われねばならない。
発注者であるJR東海にも注文がある。
リニアは、公共事業として進む整備新幹線と同じく、全国新幹線鉄道整備法に基づいて建設される。さらに、リニアを成長戦略の一つと位置づける安倍政権の後押しもあり、国債発行で資金をまかなう財政投融資を使って3兆円が投入される。JR東海は総事業費の3分の1を民間より低金利で調達でき、負担が5千億円ほど減るという。
リニア建設は単なる民間事業ではなく、政府が深くかかわる国家的なプロジェクトだ。それだけに、入札には公共事業並みの透明性が求められる。
JR東海は、4社と契約した工事の価格やどの業者が応募したのかといった詳細について、「今後の発注に影響する」と伏せたままだ。
これでは企業としての社会への説明責任を果たしているとは言えない。改善を求める。

日経 リニア談合疑惑の徹底解明を  

総工費9兆円に上るリニア中央新幹線の建設工事をめぐり、鹿島、清水建設、大林組、大成建設の大手ゼネコン4社が入札の際、話し合いによって受注する会社を調整していた疑いが浮上した。
東京地検特捜部と公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索に乗り出した。各社の幹部らからの事情聴取も進めている。
大手ゼネコンは過去にも、談合事件などでたびたび摘発されている。このため業界そろって談合決別宣言を出すなど、入札のあり方を見直してきたはずだ。
これまでの調べに各社は不正を否定しているというが、新たな疑惑が事実だとすれば、社会に対する大きな裏切り行為といっていい。特捜部と公取委には、徹底した事実の解明を求めたい。
リニア新幹線の工事では、これまでに発注元のJR東海と契約が成立した22件のうち15件を、4社がほぼ均等に受注している。
特捜部は当初、このうち事故の際の避難などに使われる名古屋市内の非常口の入札について、大林組が不正を行った疑いがあるとみて偽計業務妨害の容疑で調べていた。ところが捜索した資料などを分析した結果、大手4社ぐるみの談合の構図が浮かび上がってきたとみられる。
独禁法は発注者が国・自治体か民間企業かにかかわらず、公正な競争を阻害する行為を禁じている。リニア工事は税金で行う公共事業ではないものの、極めて公共性が高く、総工費の一部に国の財政投融資が充てられている。
不正な入札によって競争がゆがめられ、工事費が高く設定されれば、そのツケは鉄道の利用者が払うことになる。
特捜部の調べでは、JR東海の社員が工事費の見積もりをゼネコン側に伝えていた疑いも出ているという。この点を含め、JR東海も事業主体として入札に至る経緯を検証し、問題があれば積極的に公表して発注のあり方を見直していく必要があるだろう。

小池書記局長 記者会見

世紀の談合事件に 政府はリニア工事中止・真相解明の責任果たせ 小池書記局長が強調
日本共産党の小池書記局長は18日、国会内で記者会見し、リニア中央新幹線の談合疑惑で大手ゼネコンに家宅捜索が入ったことについて問われ、「“世紀の巨大プロジェクト”と言われてきた事業が“世紀の巨大談合事件”に発展しつつある。政府は、工事を中止させて徹底的な真相解明の責任を果たすべきだ」と強調しました。
スーパーゼネコンと呼ばれる大手4社(大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設)が談合していた疑いが濃厚になりつつあります。
小池氏は、リニア工事については「民間会社(JR東海)の事業」という形態をとることでさまざまな情報が開示されていないと指摘。そもそも安倍首相は、建設費9兆円のリニア中央新幹線を“国家的プロジェクトだ”と位置付け、財政投融資という公的資金を3兆円も投入していると述べ、「『民間会社がやっていること』では済まされない。リニアはまさに公共的工事であり、今回の疑惑も本来なら官製談合として扱われる事件だ。国の責任は重大だ」と強調しました。
その上で、日本共産党は、リニア中央新幹線は、ばく大な国民負担、環境破壊、電力の浪費などまったく道理がない事業だとして反対してきたが、政府は少なくとも今回の疑惑が明らかになった以上、工事中止・疑惑解明の責任を果たすべきだと強調しました。

リニア 大手4社談合か 東京地検 鹿島と清水を捜索
安倍政権が後押しするリニア中央新幹線の関連工事の入札をめぐり大手ゼネコンが談合をしていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部と公正取引委員会は18日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で鹿島建設と清水建設の本社(いずれも東京)を家宅捜索しました。大成建設と大林組(同)も近く捜索し、不正の全容解明を進めます。
巨大プロジェクトを舞台とした入札不正は、「スーパーゼネコン」と呼ばれる国内有数の企業による大型談合事件に発展しました。
特捜部は既に、他社に入札から降りるよう働き掛けたとして大林組を偽計業務妨害容疑で家宅捜索。押収した資料の分析や各社担当者らの事情聴取の結果、他の大手3社も関与した談合が行われたと判断したもようです。
関係者によると、4社の担当者らはJR東海が事業主体となっているリニア中央新幹線の関連工事の入札について事前に話し合うなどし、正当な競争をしなかった疑いが持たれています。
JR東海は2015年8月以降、駅やトンネル、非常口の建設など計22件の工事をゼネコン各社と契約。スーパーゼネコンと呼ばれる大手4社は、それぞれ共同企業体(JV)を組み、大林組が4件、鹿島建設が3件、大成建設が4件、清水建設が4件を受注し、全体の7割を占めています。
これまでの取材に対し、4社の幹部らは談合などの不正への関与を否定。特捜部の任意の事情聴取に対しても、各社の担当者らは同様の説明をしたとみられます。
リニア中央新幹線は東京―名古屋間で27年の開業を予定。総工費約9兆円の一部には、安倍首相が国債を原資にした低利融資を表明し、活用されています。

リニア・ゼネコン談合疑い 大手4社 7割受注
安倍政権肝いり9兆円事業 国の責任で徹底解明を
安倍政権が後押しするJR東海のリニア中央新幹線建設で、大手ゼネコン4社による談合の疑いが東京地検特捜部の捜査で浮上しました。国家的大プロジェクトをめぐる不正入札事件で問われていることは―。(三浦誠)
リニアは東京〜大阪間の約724キロを結びます。地下深くのトンネルを通る場所が多く、総工事費は9兆円を超えます。21世紀に入って最大の大型開発ともされています。
現在までに契約された工事は22件。このうち大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設の大手4社が幹事社を務めるJV(共同企業体)が7割を受注しています(表参照)。この4社は「スーパーゼネコン」と呼ばれ、建設業者のなかで別格の扱いをうける大企業です。
「決別宣言」後も
ゼネコン業界は談合の摘発が相次いだため、2005年12月に談合決別宣言を出しました。ただその後も07年に名古屋市発注の地下鉄工事をめぐる談合事件で、大林、鹿島、清水の担当者が有罪判決をうけました。同年には大阪府枚方市の清掃工場建設をめぐり大林の元顧問らが起訴されています。
今年9月には「赤旗」日曜版が談合疑惑をスクープした東京外かく環状道路(外環道)工事で、発注元の東日本・中日本両高速道路会社が「談合などの不正行為の疑いが払しょくできず、公正性を確保できないおそれが生じた」として契約手続きを中止。大手4社の談合が続いていた疑いが出ていました。
ゼネコン談合の多くは、政治家の影がついてまわります。談合に詳しい中堅ゼネコンの元幹部は「リニアでは山梨県に実験線をひいた際に、自民党の金丸信元副総裁(故人)の影響があった」と言います。
財投から3兆円
現在進んでいるリニア工事は、もともとJR東海が自力で建設するとしていました。それを安倍首相が「全線開業を最大8年間前倒し」するとして、財政投融資から3兆円を低利で融資することを決めました。
また自治体の協力を得て事業用地の強制収用もできるなど“優遇”されています。形はJR東海の民間工事ですが、実態は安倍首相肝いりの国家的大型プロジェクトです。
前出のゼネコン元幹部は、「JR東海が単独で事業をするというのに、安倍首相がわざわざ財政投融資を表明した。明らかにおかしい」と指摘します。
大手ゼネコンによる不正入札疑惑の裏で、政治家がどう動いていたのか―。特捜部だけにまかせるのではなく、国の責任で徹底的な解明が必要です。
ゼネコン大手4社が受注したリニア中央新幹線建設工事
【大林JV】品川駅新設(南工区)、東百合丘非常口、名城非常口、名古屋駅中央西工区
【鹿島JV】南アルプストンネル(長野工区)、小野路非常口、中央アルプストンネル(山口)
【大成JV】南アルプストンネル(山梨工区)、南アルプストンネル(静岡工区)、第一中京圏トンネル新設(西尾工区)、導水路トンネル新設
【清水JV】品川駅新設(北工区)、北品川非常口・変電施設(地下部)、伊那山地トンネル(坂島工区)、日吉トンネル(南垣外工区)
                         (JR東海の資料から作成)



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