活動日誌−活動日誌

【17.09.16】 北朝鮮の暴挙、全紙が批判

常態化すれば被害も、安倍首相の外交力も問われる

1、北朝鮮問題 日本外交の役割拡大を(朝日)
国際社会が声を一つに非難してもなお、金正恩(キムジョンウン)政権は愚行を続けている。国連制裁による外交的包囲網を強めつつ、局面転換の道を探るほかあるまい。
北朝鮮がきのう、また北海道を越える弾道ミサイルを発射した。相次ぐ危険極まりない暴挙に改めて強く抗議する。
6度目の核実験を受け、国連安保理は石油輸出の制限に踏み込む制裁決議を採択した。中国とロシアを含む全会一致の決議から、数日後の発射である。
飛行距離は過去最長の約3700キロで、方向を変えれば、米軍基地のあるグアムにも届きうるとされる。対米攻撃のリスクは避けつつ、米国を対話に引き出す狙いがにじんでいる。
だが、結果はまた裏目に出るはずだ。トランプ米大統領は圧力の強化に傾いている。安保理の緊急会合は、先の制裁決議の履行徹底を確認しつつ、新たな非難を加えるだろう。
制裁に同調した中国では、大手銀行が北朝鮮系口座に利用制限を加えるという異例の動きが出ている。中南米でもメキシコやペルーが、北朝鮮大使に国外退去を命じた。
比較的近い関係にあった国々からも見放されている現実を、金政権は直視すべきである。
制裁決議を含む包囲網づくりはこれまで米国と中国が主導しているが、ミサイルが相次いで北海道上空を飛ぶ事態である。日本政府はもっと独自の役割を切り開く必要がある。
小泉首相が訪朝し、金正日(キムジョンイル)氏に拉致問題で謝罪させてから、明日で15年を数える。
両首脳が署名した平壌宣言は、国交正常化への展望をうたう一方で、ミサイル発射の凍結や日朝間での安全保障協議も盛り込んだ。
北朝鮮は以降、数々の約束に背いてきたが、平壌宣言の破棄はいまだ宣言していない。
北朝鮮は、核・ミサイルは米国との協議事項だと主張する。だが、米朝の本格交渉が見通せないなか、日本は単調に圧力強化を唱えるだけでは外交努力を尽くしているとは言えまい。
北朝鮮問題で米韓とスクラムを組み、ロシアとも頻繁に対話を重ねる日本は、6者協議のような多国間の対話を呼びかけるにふさわしい立場にある。
今月開幕した国連総会は、その好機だ。来週出席する安倍首相は、朝鮮半島を安定化させる利益を説き、米韓と中ロをつなぐ外交力が問われよう。
同時に、日米韓首脳による3カ国会談も開かれる方向だ。平壌に隙を見せない3者の結束と決意を示してもらいたい。

2、北ミサイル発射 日本通過の常態化は許されぬ(読売)
北朝鮮の核ミサイル開発の阻止に向けて、結束を固める国際社会を愚弄(ぐろう)する暴挙である。
北朝鮮が日本列島を越える弾道ミサイルを再び発射した。北海道の上空を通過し、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下した。
最高高度は約800キロで、約3700キロ飛行したと推定される。高く打ち上げる「ロフテッド」ではなく、通常の軌道だった。8月下旬に発射されて、同じルートをたどった中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性が大きい。
弾道ミサイルの発射は今年14回を数える。日本上空を通過するのは通算6回目だ。今後、常態化する恐れがある。安倍首相が「断じて容認できない。北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない」と非難したのは当然だ。
懸念されるのは、前回の発射よりも高度と飛行距離が増して、北朝鮮から約3400キロ離れた米領グアムに到達する能力が示されたことだ。北朝鮮がミサイル技術の向上を喧伝(けんでん)し、米国への威嚇をさらに強めるのは間違いない。
国連安全保障理事会は、北朝鮮の3日の核実験を受けて、石油供給制限などの追加制裁決議を採択したばかりだ。賛成した日本に対し、北朝鮮は核爆弾で「懲らしめる」との声明を出している。
北朝鮮に融和的な中国とロシアも含めて、全会一致で採択された決議に挑発で応じるのは、筋違いも甚だしい。安保理は、日米韓の要請で緊急会合を開く。非難声明などを通じて、制裁の厳格な履行を確認することが重要だ。
日米の外相と防衛相は電話会談で、国際社会の圧力を強める方針をそれぞれ確認した。韓国の文在寅大統領は、米韓同盟を基盤にした抑止力強化策の検討を始めた。日米韓の安全保障面での連携を一段と深めることが求められる。
日本の領土・領海へのミサイル着弾や落下物の警戒も怠れない。防衛省には引き続き、監視に万全を期してもらいたい。
政府は、全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、12道県617市町村にミサイル発射と日本上空通過の情報を伝達した。
前回の発射時の情報が「過度に不安を与えた」との反省を踏まえ、地域を特定するなど内容を修正したのは妥当な措置だ。
今回も北海道登別、網走両市などで、メールが配信されないなどのトラブルが相次いだ。
再発防止を徹底し、国民に迅速かつ適切に伝わるように努めることが欠かせない。

3、再び列島越えミサイル 発射の常態化を許すまい(毎日) 
北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、先月に続き北海道上空を通過して襟裳岬東方の太平洋に落下した。
政府は再び北海道や東北などの12道県の住民に避難を呼びかけた。
ミサイルは米領グアムを射程内とする約3700キロ飛行し、グアム攻撃の能力を実証した。ミサイル技術は確実に進展している。日米への脅威は一段と高まった。
6回目の核実験に対し国連安全保障理事会は新たな制裁決議を採択した。これに対抗したとみられる。
北朝鮮は採択後、米国を「卑劣な国家テロ犯罪を再び働いた」と非難し、日本には「核爆弾で海中に沈めるべきだ」とおどしていた。
しかし、国際社会が突き付けた決議への違反を続け、国際法を踏みにじっているのは北朝鮮である。
懸念するのは、今後、日本越えのミサイル発射が常態化することだ。
ミサイルは先月と同じ中長距離射程の「火星12」とみられ、前回に続いて通常軌道で発射した。実戦を想定したものだ。
北朝鮮は7月、実験的に高く打ち上げる方法で2回、米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星14」を発射した。
火星14は火星12のエンジンを使っているとされ、ICBMにつながる性能実験を兼ねた可能性もある。
性能を実証し、実戦配備するには今回のように通常軌道での発射を何回も試す必要がある。その実験を行える広大な場所は太平洋しかない。
北朝鮮は先月のミサイル発射後、「太平洋を目標にして弾道ミサイル発射訓練を多く行って」実戦化を推し進めると表明している。
太平洋が恒常的な実験場になれば発射のたびに日本上空を横切り、飛行機や船舶が被害を受けるおそれもある。安全な生活が繰り返し脅かされる事態は断じて容認できない。
日米には軍事的対応や軍備強化を求める声がある。緊張が高まれば偶発的な衝突が起きる危険性も増す。
北朝鮮はICBMに核兵器を搭載する技術を向上させており、実戦配備すれば脅威は世界に広がる。
それらの事態を避けるためにも、国際社会が結束して北朝鮮の態度を変えさせることが必要だ。
国連安保理は実効あるこれまでの決議の履行を再確認すべきだ。

4、北朝鮮への圧力増す外交努力をさらに(日経)
北朝鮮が15日、日本上空を通過する弾道ミサイル発射を再び強行した。国連安全保障理事会が6回目の核実験を受けて追加制裁を決議した直後の暴挙だ。日本政府はニューヨークで始まった国連総会の機会などを通じ、国際社会の圧力を増すための外交努力をさらに強める必要がある。
発射は中距離弾道ミサイル「火星12」とみられ、北海道の襟裳岬の上空を経て北太平洋に落下した。飛行距離は約3700キロメートルで、8月29日の発射より約千キロメートル伸びた。米領のグアム島が射程に入ると誇示したともいえる。
国連安保理が11日に全会一致で採択した制裁決議は、石油供給を実質3割削減するなどの厳しい措置を盛り込み、北朝鮮は「全面的に排撃する」と反発していた。今回のミサイル発射は、国際社会の度重なる警告を無視する危険きわまりない蛮行である。
この決議には北朝鮮が核実験やミサイル発射を中止しない場合には「さらなる重要な措置をとる決意を表明」との確認事項がある。各国は安保理制裁の厳格な履行で足並みをそろえるとともに、もう一段の圧力強化策の検討を急ぐことが肝要だ。
北朝鮮の核・ミサイル開発はすでに現実の脅威であり、核不拡散体制を揺るがしている。中国やロシアを含む主要国が危機感を共有して行動しなければ、軍事衝突の可能性は増すばかりだ。
安倍首相は14日にインドでモディ首相と会談して「北朝鮮への圧力最大化」で一致したのに続き、近く訪米して国連総会に出席する。米韓との首脳会談で緊密な連携を確認し、国際社会に結束を呼びかける重要な機会となる。
一方、国内ではミサイルや部品が落下する万一の事態への備えを急ぐ必要がある。ミサイル発射を伝える全国瞬時警報システム(Jアラート)は、防災行政無線やメール配信の不具合が一部の地域で指摘された。
警報が出た場合はどこへ避難し何をすればいいのか。国民には戸惑いの声も根強い。不安をあおらない配慮をしながら、訓練や危機管理の点検が欠かせない。
国民保護法は日本に武力攻撃があった場合、国と自治体などが連携して住民の避難や救援にあたるよう定めている。自治体は地域の実情に応じ、どう行動すべきかについて住民に分かりやすく周知しておく必要がある。

5、北ミサイルと国連 異常性を世界に知らせよ(産経)
国際社会を愚弄する暴挙である。各国首脳らが国連本部に集い、平和への取り組みなどを話し合う一般討論を前に、北朝鮮がまたも、弾道ミサイルを発射した。
北朝鮮が6回目の核実験を強行し、国連安全保障理事会が、石油の供給制限を含む制裁決議を採択して、挑発の自制を迫ったばかりである。
日本列島越えの発射は先月29日に続くもので、飛行距離は今回、約1000キロ伸び、方角をずらせば米領グアムに届く約3700キロに達した。
安保理決議など意に介さず危険極まりない挑発を繰り返す。国連総会を通じ、金正恩政権の凶暴さ、異常さを正確に世界に知らしめてもらいたい。
制裁に「抜け穴」が生じるのは、国連加盟各国への不徹底が一因だ。厳格履行を促すには、各国の理解が不可欠である。
グテレス国連事務総長は、北朝鮮の核問題を「世界が今直面している最大の危機」と語った。北朝鮮問題が一般討論の主要テーマとなるだろう。
北朝鮮は米国を標的とする核戦力獲得に突き進み、日本と韓国は直接の脅威にさらされている。
安倍首相はじめ日米韓の首脳が国連総会の場で、核・ミサイル開発阻止のため、外交、経済、軍事の各面を含む強い対北圧力の必要性を説いてほしい。
河野外相はこれより先、アフリカ、中東諸国を歴訪し、対北圧力での協力を求めた。遠い地域だが、北朝鮮と親交のある国が少なくない。2国間で地道な説得を続けることも重要である。
北朝鮮の脅威への認識が浸透すれば、金正恩体制を揺るがす強力制裁への理解も得られよう。
同時に、そんな北朝鮮を自国の利益のため、擁護してきた中国やロシアの身勝手さも際立つはずだ。両国には改めて、対北圧力強化への協力を求めるべきだ。
弾道ミサイル発射は安保理決議違反である。先の決議は「厳重な措置で応じる決意」を表明している。安保理はただちに、石油の全面禁輸を含む制裁決議作りに着手する必要がある。
安倍首相は「北朝鮮の危険な挑発行為に対し、今こそ国際社会の団結が求められている」と語った。日米、日米韓の首脳会談を行うなどし、圧力強化の先頭に立たなければならない

6、北ミサイル通過 危機の長期化に備えよ(中日)
北朝鮮の中距離弾道ミサイルがまた北海道上空を通過した。今後も発射を続ける恐れがある。政府は米韓と連携して事前に探知し、発射後速やかに正確な飛行経路を住民に伝えることが責務だ。
発射から約3分後、政府は12道県に対し、全国瞬時警報システム(Jアラート)により速報を流した。8月29日の発射より早い時点で「北海道から太平洋へ」と通過地点を特定した。住民が対応できるのは3〜4分程度であり、正確な飛行情報と最短でできる対処法を伝えることが、不安を抑えるかぎになる。
北朝鮮は米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を進め、飛距離を伸ばすため今後も日本上空を通過する発射を複数回行う可能性が高い。米韓とのにらみ合いも続く。東アジアを覆う危機は長期化する見通しで、外交、防衛両面での備えが欠かせない。
政府は迎撃ミサイル搭載のイージス艦増設や、陸上配備型の「イージス・アショア」を米国から購入することを検討している。だが、巨額な費用と配備までの時間が障害になる。今は北朝鮮ミサイル発射の事前探知など、米韓と防衛協力を固めるのが最も効果的だろう。
北朝鮮の狙いは米国と平和協定を結び、金正恩体制の保証を取り付けることだ。自らの要求を示すためにも、やがて交渉の席に着かざるを得ない。日本は米韓と連携し、中国、ロシアにも働きかけて、北朝鮮の核、ミサイル問題を協議する外交的な枠組みを探らなくてはならない。
核実験を受けて、国連安全保障理事会は北朝鮮への新たな制裁決議を採択した。原油供給は現状維持だが、ガソリンなど石油製品全体の輸出は3割削減される。貴重な外貨を稼いでいる北朝鮮労働者の海外派遣も、新規受け入れができなくなる。石油供給が規制され、さらに資金源が減れば、核、ミサイル開発を遅らせる効果が望める。
実は北朝鮮国民も、危険にさらされている。直近の2回のミサイルは平壌近郊から発射され、首都圏の真上を上昇していった。水爆とみられる核実験によって、北東部・豊渓里(プンゲリ)の地下核実験場周辺の山では何カ所も地滑りが起きているのが衛星写真で確認された。亀裂が広がれば、付近が放射能物質で汚染される可能性がある。
一つ間違えば自国民にも被害が出ると、国際社会は警告しなくてはならない。

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