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【17.05.05】 安倍首相の9条改憲発言について(三重短大の三宅先生も)

安倍首相の9条改憲発言 無制限に海外派兵へ 小池書記局長が批判

日本共産党の小池書記局長は3日夜のBSフジ「プライムニュース」に出演。安倍首相が、自衛隊を憲法9条に明記した新憲法を2020年に施行したいと発言したことを「自衛隊の存在を書き込むことにとどまらない」「海外で無制限に武力行使できるようになる」と批判しました。
安倍首相は、改憲派の集会に寄せたメッセージで「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論の余地をなくす」として憲法9条の「1項、2項は残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」と述べました。
小池書記局長は、「自衛隊が違憲かもしれないなどの議論の余地をなくす」「自衛隊を合憲化する」という安倍首相の発言について「共産党は自衛隊は違憲だと言ってきたが、その通りだったのか。政府の自衛隊合憲論の根本が問われる発言だ」と指摘しました。
小池書記局長は「これまで政府は、自衛隊合憲の憲法的根拠を9条2項においていた。自衛のための必要最小限度の実力組織だから憲法違反ではなく、したがって海外派兵、集団的自衛権、武力行使を目的とする国連軍への参加はできないとしてきた。安保法制=戦争法で『存立危機事態』を設けたが、その国会審議でも『イラクやアフガニスタンのような戦争に、武力行使を目的に参加はできない』と言わざるを得なかった」と述べました。
その上で、もしも憲法9条に自衛隊を書き込むと、「合憲性の根拠としてきた『自衛のための必要最小限の実力行使』という枠が外れて、無制限に海外で武力行使できるようになる。9条全体を無効にしてしまう」と告発しました。
さらに安倍首相が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べたことについて、「世論の多数は9条改憲反対だ。自分の任期中にやりたいというおごりは許されない」と批判しました。

立憲主義軽視の異常な姿勢(三宅裕一郎さん)

立憲主義軽視の異常な姿勢(5月5日付「しんぶん赤旗」の1面に写真入りで掲載)
三重短期大学教授(憲法学)三宅裕一郎さんのちょっと長いコメント

 憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負うはずの「行政府の長」が、期限を切って明文改憲を主張すること自体、極めて異常なことです。しかも、一部メディアでの自衛隊を「合憲化する」という発言には、自ら現在の自衛隊の違憲性を認め、その存在を改憲によって追認する立憲主義軽視の姿勢が鮮明に表れています。このような現状の下、自衛隊の存在を憲法に書き込むことは、決して自衛隊への立憲的なコントロールにはつながらず、むしろ今度は、軍隊に不可欠な「軍事裁判所」の設置などの波及効果を生みだしかねません。
 昨年、安保法制が施行されました。その内容は、憲法9条を徹底的にじゅうりんする内容となっていますが、そこでは今なお、ギリギリのところで、自衛隊が他国並みの軍事行動を行う事ができない歯止めが維持されています。
 安倍首相は、安保法制の審議などを通じて、自衛隊の全面的な軍事作戦を可能とするためには、どうしても憲法9条の明文改憲が避けて通れない至上の課題だということを改めて痛感し、こうした発言を繰り返しているのではないでしょうか。

【参考】憲法改正に関する安倍自民党総裁のビデオメッセージの発言全文 (毎日新聞から)

 ご来場の皆さま、こんにちは。自民党総裁の安倍晋三です。憲法施行70年の節目の年に「第19回公開憲法フォーラム」が盛大に開催されましたことに、まずもってお喜び申し上げます。憲法改正の早期実現に向けて、それぞれのお立場で精力的に活動されている皆さまに、心から敬意を表します。
 憲法改正は、自民党の立党以来の党是です。自民党結党者の悲願であり、歴代の総裁が受け継いでまいりました。私が総理・総裁であった10年前、施行60年の年に国民投票法が成立し、改正に向けての一歩を踏み出すことができましたが、憲法はたった一字も変わることなく、施行70年の節目を迎えるに至りました。
 憲法を改正するか否かは、最終的には国民投票によって国民が決めるものですが、その発議は国会にしかできません。私たち国会議員は、その大きな責任をかみしめるべきであると思います。
 次なる70年に向かって日本がどういう国を目指すのか。今を生きる私たちは少子高齢化、人口減少、経済再生、安全保障環境の悪化など、わが国が直面する困難な課題に対し、真正面から立ち向かい、未来への責任を果たさなければなりません。
 憲法は、国の未来、理想の姿を語るものです。私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための「具体的な議論」を始めなければならない、その時期に来ていると思います。
 わが党、自民党は、未来に、国民に責任を持つ政党として、憲法審査会における「具体的な議論」をリードし、その歴史的使命を果たしてまいりたいと思います。
 例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。
 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと堅持していかなければなりません。そこで「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います。
 教育の問題。子どもたちこそ、わが国の未来であり、憲法において国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだと思います。誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる「1億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。
 世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、経済状況にもかかわらず、子どもたちがそれぞれの夢に向かって頑張ることができる、そうした日本でありたいと思っています。
 70年前、現行憲法の下で制度化された小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに戦後の発展の大きな原動力となりました。
 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追い掛けるためには、高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会、経済の発展に確実につながっていくものであります。
 これらの議論の他にも、この国の未来を見据えて議論していくべき課題は多々あるでしょう。
 私はかねがね、半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。
 2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本がしっかりと動きだす年、2020年を、新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り開いていきたいと考えています。
 本日は自民党総裁として、憲法改正に向けた基本的な考え方を述べました。これを契機に、国民的な議論が深まっていくことを切に願います。自民党としても、その歴史的使命をしっかりと果たしていく決意であることを改めて申し上げます。
 最後になりましたが、国民的な議論と理解を深めていくためには、皆さま方、「民間憲法臨調」「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のこうした取り組みが不可欠であり、大変心強く感じております。
 憲法改正に向けて、共に頑張りましょう。(共同)

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