活動日誌−活動日誌
【16.07.24】 リニア新幹線について、遅れていた報告と赤旗主張から
日本科学者会議 東海地区シンポジウム 参加報告
６月１１日(土)１０:００〜１６:３０ 岐阜市ハートフルスクエアG 大研修室
「どうなる？ リニア中央新幹線 その必要性、採算性、安全性を科学の目で考える」
【報告】１、「リニア計画の意義と問題点を事前評価する」
橋山禮治郎（アラバマ大学名誉教授）
（１）リニアプロジェクトを成功させる必要条件は、適正な目的と手段の存在。
リニア計画成功の可能性＝目的Ｘ採算性Ｘ安全性Ｘ環境保全性 で事前評価できる。
（２）目的・手段の妥当性と政策的評価
�� 国民が必要としているか
�� 将来需要はあるか
�� 全幹法との政策的整合性はあるか
�� リニア選択が最適か（）
�� 官民の責任分担は明確か
�� 東京一極集中を促進させないか
�� 将来ＪＲ体制をどう再編するか
（３）採算性評価
リニアは絶対ペイしないというサ長発言
（４）技術的評価
アメリカ、ドイツは開発断念。リニアは速いだけ。
（５）環境的評価
残土処理、地下水脈、トラック公害、
（６）計画失敗の誘因
過去の内外の失敗事例から学ぶ姿勢に欠ける。
公共性、国民合意に欠けるプロジェクト
抜群の収益性を誇る公益企業として社会的使命を発揮する企業行動を期待したい。
（７）今問われている事
現時点で、立ち止まらず、再評価も行わずに、当初計画が強行されれば、事業破綻、未曽有の自然破壊、負の資源配分、技術立国の失墜を招くリスクが極めて大きく、その結果として、事業者、国民、国にとって失うものが余りにも多い。
一時凍結させ、国会の場で徹底的な検討を行った上で最適な政策決定を行うべき。
科学者、研究者、学識経験者も必要な時は狭い専門領域だけに留まることなく、持てる英知を発揮して、人類社会の進歩、社会的善、人々の幸福追求のために新たな発想、より望ましい決定方法、代替案の提示等を含め、更なる努力が求められる。
【報告】２、「新ターゲティング･ポリシーとインフラ輸出−安倍政権の経済政策の検討」
森原康仁（三重大学人文学部准教授）
アベノミクスの金融政策は設備投資が増えず破綻した。だから目に見えやすいインフラ輸出に力点を置くようになった。
政府は財政投融資を活用し、低利でＪＲに貸し出し、名古屋から大阪までの建設を前倒しさせる方針を決定した。（３兆円、国は金を出さないと言った約束違反。固定資産取得税等の控除１８６億円につぐ）
【報告】３、「残土・住民環境問題」―南アルプスの自然とリニア新幹線―
佐藤博明（静岡大学名誉教授）
環境大臣意見、静岡市長意見
日本の国土を蜂の巣のようにして、何のプラスがあるのか（山岳写真家、白旗史朗）
数千万年をへて創り出された南アルプスの地球史的価値を、経済優先主義、目先の利便性と引き換えに失い、取り返しのつかない自然破壊を将来世代にツケ回しする事の、説得可能な論拠は見当たらない。
【報告】４、「トンネル掘削による地下水の変化−リニア新幹線による大井川の減水」
林弘文（静岡大学名誉教授）
湧水量の計算式を説明。透水係数をＪＲが公表してないので正確には分からず、どんな異常出水が起こるかは掘ってみないと分からない。
【報告】５、「事業認可取消訴訟のゆくえ」
岡本浩明（弁護士）
【スケジュール】第１回の裁判は９月から１０月になる。
【訴訟の内容】「平成２６年１０月１７日、国交大臣がＪＲ東海に対して行った、全国新幹線鉄道整備法に基づく中央新幹線工事実施計画の認可処分の取消しを求める訴訟」（通称：ストップ・リニア！訴訟）
【訴訟の論点】訴訟で争う点
�〜換饋郡汗�鉄道整備法及び鉄道事業法違反
��環境影響評価法違反
【見通し】
�� 行政訴訟はまず勝てない。
�� 信にし世論で包囲する。
�� 問題点として、国民の意識が低い。
閉会挨拶 高山進（三重大）
総合的に見て総て不適切だとわかった。
計画を進める安倍首相を参議院選挙で勝たせると信任されたと暴走しかねない。
現状を市議会で報告し、首長たちの前のめりの期成同盟の動きにストップをかけていきたい。
リニア延伸前倒し なし崩しの計画加速は危険だ（７月２２日主張）
安倍政権が、ＪＲ東海がすすめるリニア中央新幹線の建設加速と、そのために同社に公的資金を低金利で貸し付けることを決め、具体案を検討しています。
リニア計画は２０２７年に東京―名古屋で開業し、２０４５年に大阪まで延伸する予定ですが、政府が資金面でテコ入れすることで大阪開業年を前倒しさせようというものです。リニア計画では自然・生活環境の破壊、採算や安全性など問題が山積し、住民からは国に工事認可取り消しを求める訴訟も起こされています。疑問や異論にこたえず、リニア加速に熱を上げる安倍政権の姿勢は､あまりに危険です｡
リニア中央新幹線計画は、東京（品川）―名古屋―大阪間のほとんどをトンネルでつなぎ、超電導磁石の力で浮上させた車両を時速５００キロで走行させる構想です。安全性や、工事で排出される大量の残土、地下水の枯渇問題をはじめ自然環境への影響などを危惧する声が相次いでいるにもかかわらず、安倍政権は２０１４年、東京―名古屋の事業を認可しました。ＪＲ東海は品川や名古屋の駅整備、用地取得などに着手しています。
安倍政権は、これまでもリニア計画を「成長戦略」で位置づけてきましたが、総額９兆円とされる膨大な建設費用はＪＲ東海が自前で賄うことが前提でした｡しかし､この計画では東京―名古屋開業後、それまでかかった工費約５兆５千億円の債務を８年かけて減らしたあと大阪までの延伸工事を始めるという予定のため、リニアを推進する財界などから大阪延伸前倒しを求める声が上がっていました。
安倍政権の前倒し決定は、これらの要求に沿ったものです。ＪＲ東海の負担を減らすため、国が資金を調達し低利で貸し出す「財政投融資」の仕組みを使い、約３兆円を貸し付ける案が検討されています。金利は民間銀行よりも、はるかに低い０・３〜０・４％程度に優遇する方向です。「マイナス金利」の“効果”を宣伝したい安倍政権の思惑もみえます。
住民が認可取り消し訴訟を起こすなど批判や異論が相次いでいるリニア計画を加速させるため、ここまで肩入れする安倍政権のやり方は、危険すぎます。リニア計画には環境省も「環境影響は枚挙にいとまがない」と警告する意見を出していますが、問題はなんら解消していません。そのうえ、人口減少社会に入っている日本で、利用者数の将来見通しも不安視され、リニア事業の採算性そのものに疑問が投げかけられています。南アルプスを巨大トンネルで貫く難工事については、費用の肥大化が懸念されています。巨額な公的資金を貸し付けたリニア事業が行き詰まり、そのツケが国民の負担として押し付けられる―。そんな危険が現実になりかねません。
破綻した｢アベノミクス｣の加速のため、問題だらけのリニアを使うことは国民の願いに反します。
住民訴訟に続き、南アルプスの自然をリニアで壊すなと幅広い登山家らの署名活動も新たに始まっています。国とＪＲ東海は計画を加速するのでなく、凍結・中止に向けた検討こそすべきです。公費を使うというなら、国会での徹底審議は不可欠です。なし崩し的に公的資金を投じるようなやり方は許されるものではありません。
