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【16.04.06】 これで良いのかTPP、国会での審議が始まる。

国民利益と経済主権売り渡すTPP承認案・関連法案審議入り 笠井氏 廃案を主張

環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案が5日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の笠井議員は「TPPは、暮らしと経済のあらゆる分野で国民の利益と経済主権を多国籍企業に売り渡すものだ」と述べ、廃案を強く求めました。
笠井氏は、参加各国で反対世論が沸き起こっているにもかかわらず、批准に前のめりの安倍内閣を厳しく批判しました。その上で、TPPが農産物の重要5項目を関税撤廃の対象から「除外」または「再協議」にするとした国会決議に明確に違反し、同決議が求める情報提供も行われていないと強調。安倍内閣が秘密裏に進めてきた交渉の全経過を国会と国民に報告することをはじめ、十分な情報開示を行うよう求めました。
安倍首相は、5項目のうち3割の品目で関税撤廃されるのに「国会決議の趣旨にそうもの」と偽り、情報についても「丁寧に提供してきた」などと強弁しました。
笠井氏は、日米の財界・多国籍企業がTPPを強く要求する一方、国民からは「TPPを結んでくれ」などの声は上がっていないと指摘しました。
さらに、農業分野では、日豪EPA(経済連携協定)やウルグアイラウンド農業合意をはるかに上回る関税撤廃が求められるとして、「史上最悪の農業つぶしにほかならない」と批判しました。
一方、「非関税措置の撤廃」をめぐっては、食の安全、医療、労働、金融・保険など、あらゆるサービスが規制緩和の対象になると指摘。その上、緩められた規制を元に戻せない仕組みや、企業や投資家が損害を受けたとすればISD(投資家対国家紛争解決)条項を用いて相手国を訴えられる仕組みまで盛り込まれているとして、「今後の国民生活と営業を脅かすことは明白だ」と迫りました。
首相は「TPPが開いた新しいチャンスに果敢に挑まなければならない」などと精神論を繰り返しました。
笠井氏は、「政府試算」についても、農業への打撃を極めて過小に評価し、経済面でも失業が起きないと見込んでいることをあげ、「まやかしの『試算』で国民を欺くことは断じて許されない」と批判。「日本は、各国の経済主権・食料主権を尊重しながら、平等・互恵の経済関係を発展させる貿易・投資のルールづくりの先頭にこそ立つべきだ」と主張しました。

他に、「TPP あすから総括的質疑 衆院特別委理事懇で合意 首相出席へ」「TPP審議入り 与党も懸念 首相の楽観」「TPP承認案・関連法案への笠井議員の質問 衆院本会議」の記事あり。

朝日、読売、毎日の社説より

1、朝日 TPPと国会 承認ありきは許されぬ 
環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と、関連する11本の法律を一括改正する法案の審議が、衆院で始まった。
世界貿易機関(WTO)が機能不全に陥った後、二国間や多国間の自由貿易・経済連携協定が自由化の推進役となっている。中でもTPPには世界経済を引っ張るアジア太平洋の12カ国が参加し、国内総生産(GDP)で世界の4割を占める。低成長が続く日本にとって、その効果への期待は小さくない。
TPPが扱うのは関税の撤廃・引き下げや投資の自由化などのほか、知的財産や環境・労働分野に及び、「21世紀型」と呼ばれる。さまざまな産業や国民生活への影響が予想され、不安や疑問、反対論も根強い。
審議を通じてそうした声に向き合うことが、国民の代表としての国会の責任だろう。各党は「消費者の利益」を基準に、是非と対策を考える姿勢で審議を尽くして欲しい。
気がかりなのは、今の国会でTPPを承認しようという与党と政府の前のめりな姿勢だ。
参加12カ国は2月にTPPに署名したが、発効には各国が議会承認を含めて必要な手続きを終えねばならない。TPPの規定では、2大国である米国と日本の手続き完了が不可欠だ。
大統領選の最中にある米国では、民主、共和両党とも有力候補はこぞってTPPに否定的。議会承認は11月の大統領選後、との見方がもっぱらである。
安倍政権はTPPをアベノミクスの柱の一つと位置づける。「日本が率先して発効への機運を高める」と意気込むが、拙速な審議は許されない。夏の参院選や、取りざたされる衆参同日選をにらみ、懸案を片付けておこうとの思惑なら本末転倒だ。
民進党は、農林水産分野の関税撤廃・引き下げ問題を中心に追及する構えだ。
衆参の農林水産委員会は3年前、コメなど重要5項目に十分に配慮するよう決議している。TPPの協定案が5項目を「聖域」として守っているかを突くだけでなく、幅広い視点からの議論を心がけてほしい。
徹底した審議には十分な情報が必要だ。交渉で主役を演じた甘利明・前TPP担当相とフロマン・米通商代表部代表の会談資料について、政府はようやく開示に応じることを決めたが、黒塗りだという。できるだけ情報公開に努めるべきだ。
甘利氏が金銭授受疑惑について説明責任を果たすことも、改めて求めたい。体調がすぐれず難しいなら、なおさらTPPの承認を急ぐべきではない。

2、読売 TPP審議入り 新貿易圏の活用へ議論深めよ 
日米など12か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案について、国会での審議が始まった。
関連法案には、著作権の保護期間の延長や、畜産業者への経営支援の拡充などが盛り込まれている。
安倍首相は衆院本会議で、「TPPを我が国の成長戦略の切り札にしていく」と述べ、加盟の意義を強調した。
世界経済の先行き懸念が強まる中、透明性の高い新たな自由貿易圏を構築し、アジア太平洋地域を活性化する重要性は一段と増している。与野党は、今国会での着実な承認を図るべきだ。
民進党の山尾政調会長は、TPP合意が、コメや麦など「重要5項目」の関税維持を求めた国会決議に違反すると主張した。「国益が守られたと強弁するには無理がある」などとも批判した。
だが、日本の農林水産品の関税撤廃率は81%で、軒並み90%を超える他国を大きく下回る。
首相が、「決議の趣旨に沿うものと評価してもらえる」と反論したのは理解できる。
野党からは、交渉経緯や合意内容に関する政府の情報提供が不十分で、食の安全などへの不安が強まっているとの指摘も出た。政府は丁寧に説明し、国民の懸念や誤解を払拭する必要がある。
与野党は、交渉経緯をまとめた文書を政府が提出したことなどを受け、TPP特別委員会の審議に入ることで合意した。
夏に参院選を控えて国会会期の延長は難しく、審議日程は窮屈だ。与野党がいたずらに対立し、時間を浪費してはならない。
巨大な自由貿易圏をどのように活用して、力強い成長につなげるか。そうした建設的な議論を深めることが大事だ。
政府が昨年11月にまとめたTPP政策大綱は、農家の保護策が手厚い一方で、農産品の輸出促進といった「攻め」の施策は全体として手薄だった。
TPPの負の影響を和らげる配慮は大切だが、過度な保護行政は、かえって日本農業の弱体化に拍車をかけかねない。国会では、国際競争力を高める具体策について、話し合ってもらいたい。
気がかりなのは、11月に大統領選を控える米国で、民主、共和両党の有力候補がそろってTPP反対を表明していることである。
TPP発効には、日米両国の承認が不可欠だ。米議会に早期承認を促すためにも、日本の国会での迅速な審議が求められる。

3、毎日 TPP審議入り 損も得も誠実に説明を 
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案と農業対策などの関連法案が昨日衆院で審議入りした。後半国会で最大の焦点だ。
TPPは世界最大の自由貿易圏を形成する。日本にもアジア太平洋地域の活力を取り込む好機となる。
だが、内容が国民に十分理解されているとは言い難い。政府は、国会審議を通じて、国益にかなうと判断できる根拠を明確に示すべきだ。
主要な論点の一つは、国内農業に及ぼす影響だ。政府は昨年末、TPPによる農林水産業の生産減少額を最大2100億円と試算した。
2013年に公表した試算は減少額を約3兆円としていた。大幅に少なくなったのはなぜか。政府は「農産物の関税が残ったことに加え、農業の競争力を強化する対策の効果も考慮した」と説明している。
だが、政府・与党は、競争力強化策の具体化を今秋に先送りしている。国会に提出している関連法案は、畜産農家の赤字穴埋め比率を引き上げる保護策などに限られる。
野党は「対策を考慮しない試算も公表すべきだ」と主張している。政府は「現実とかけ離れた数字が独り歩きする」と拒んでいる。
だが、具体化されていない対策が効果を発揮すると想定するのは楽観的すぎる。これでは農家の不安は拭えないのではないか。
政府はTPPが国内総生産(GDP)を実質約14兆円押し上げるとも試算する。13年の試算から4倍以上に増えた。関税撤廃だけでなく、日本企業の競争力向上に伴う賃上げなどの効果を加えたためという。
しかし、政府が効果をいくらアピールしても、「試算が甘い」との疑問を持たれると、国民の理解は進まない。プラスとマイナスを含めた全体像を分かりやすく示すべきだ。
野党は交渉過程の情報公開も求めている。「国益を守る交渉をしたかどうかのチェックが必要」との立場だ。政府は交渉相手国との秘密保持を理由に拒否してきた。ただ、いかなる交渉過程をたどったにせよ、問われるのは協定の中身だ。
TPPの影響は広範に及ぶ。安倍首相は「国家百年の計」と語った。国民の理解は欠かせず、政策を丁寧に説明するのが政府の役割だ。
日米が承認しなければTPPは発効しない。だが、米国では大統領選の有力候補者が軒並み反対を表明している。保護主義の勢いが増し、承認手続きは難航が予想される。
安倍首相は審議に先立ち「日本が率先して動き、早期発効に向けた機運を高めていく」と述べた。拙速は禁物だが、日本が発効への動きを主導していくためにも国内の理解を着実に得ていくことが大切だ。

「しんぶん赤旗」主張より TPPの審議入り 国民の不安に応える姿勢ない

日本やアメリカなど12カ国が参加し、輸出や輸入にかかる関税を原則撤廃するなどの環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、関連国内法案の審議が衆院で始まりました。国会決議も選挙公約も踏みにじって協定への署名を強行した安倍政権は、審議にあたっても協定の全体像や交渉経過を明らかにしておらず、農業など国内への影響も責任ある試算を示さないなど、国民の不安にまともに応えない不誠実な態度です。このまま審議を強行し、短期間で承認・成立を押し通すなどというのは許されず、協定承認案も関連法案も徹底審議のうえ廃案にすべきです。
TPPの承認案は審議が始まるといっても、国会には英文で約8400ページあるものが、日本語の訳文では約2900ページしか提出されていません。これでは国会議員はもちろん、広範な国民が協定全体について検討することもできず、審議の条件は整っていません。
12カ国の交渉参加国で行われてきた協定交渉の経過は、交渉中はもちろん、交渉が「大筋合意」した後も、秘密のままです。交渉は各国の交渉担当者が中心で行われましたが、日本の交渉担当大臣だった甘利前経済再生相は「口利き」疑惑で辞任しました。TPP交渉では経済力の大きいアメリカと日本の交渉が大きな比重を占めたといわれますが、アメリカのフロマン通商代表と何を話し合ったのか、議事録さえ公表されていません。交渉の経過も明らかにせず、結果の一部だけ見せて承認を求めるのは横暴の極みです。
関連法案として提出される法案も、特許法や著作権法、医薬品の安全にかかわる法律など、本来なら七つの委員会にかけられる11本の法案を「一括」したものです。こうした法案を協定とともに特別委員会に付託して一気に承認・成立させようというのは、文字通り国会審議を形骸化するものです。
TPPで関税を原則撤廃し、さまざまな基準や制度をアメリカなどに合わせればどんな事態が起きるのか、農業関係者はもちろん中小企業や社会保障関係者など、多くの国民から不安の声があがっています。日本農業新聞が3月末、農政モニターを対象に行った調査では、「不安が全然払(ふっ)拭(しょく)されていない」が71・2%、「少し払拭されたが、まだ不安」が19・9%と、9割が「不安」と答えています。これまでの政府の説明で不安が払拭されてないのは明らかです。
日本農業新聞の調査では、安倍政権が示した政府の国内対策で国内農業の打撃は1300億〜2100億円に抑えられるという試算にも「影響を少なく見すぎている」という回答が76・7%に達しました。国民のこうした不安を踏みにじって、TPPの押し付けを強行すべきではありません。
安倍首相は衆院本会議でのTPPの審議入りにあたり、「日本が率先して動き、早期発効に向けた機運を高めていく」と、国民の不安に応えず、しゃにむに批准を急ぐ姿勢をあらわにしました。
TPPの発効に批准が不可欠なアメリカでも、議会での審議、承認の見通しは立っていません。国民の不安に応えず、アメリカや財界の“期待”にこたえるため、「批准ありき」で前のめりになる安倍政権の姿勢は極めて重大です。

みんなで学習し理解して、きっぱりと答えなくては。

1、情報公開が不完全
2、国の主権とは何なのか
3、私たちの生活は守られるのか

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