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【16.04.04】 毎日新聞が、日銀の異次元緩和に、「早急に政策の功罪を総点検し、軌道修正を図るべきである。」と進言。

異次元緩和3年 総点検し軌道修正を (今日の毎日社説)

かつてない規模の大きさから、「バズーカ砲」の異名も取った日銀の異次元緩和が、導入から丸3年になる。黒田東彦総裁が「2年程度で物価上昇率2%を達成できる」と高らかに宣言した政策だったが、目標の達成はいまだ展望できない。
全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は1、2月連続で前年同月比の伸び率が横ばいだった。2%の目標達成時期について、日銀は度々、見通しを先送りしており、現在は異次元緩和導入から4年後の「2017年度前半」を見込む。今月末には、再び先延ばしの可能性がある。
目標達成の遅れ自体が問題というのではない。年2%の物価上昇が持続するようになるまで弊害の多い政策を続け、一段と強化する恐れさえあることを懸念するのだ。
異次元緩和は、「人々の期待に働きかける」心理作戦だった。つまり「日銀はそこまでやるのか」と世間が驚くような大胆な策を打ち上げ、物価上昇率2%達成への本気度を示すことで、日本経済はデフレからインフレに転じると人々を信じさせる戦術である。
無理があったことは3年が経過した今、明らかだ。円安や株高が進行し、その結果、企業収益の改善は起きたものの、日銀が約束したような物価や賃金の上昇は伴っていない。
この間日銀は、年間に買い増す長期国債の額を当初の50兆円から80兆円に増やす追加緩和を実施したほか、今年2月には初のマイナス金利政策にまで踏み切った。それでも、日銀が1日に発表した短観では、大企業・製造業の景況感が、3年前の異次元緩和開始直後の水準とほぼ並ぶところまで悪化した。
物価見通しの度重なる修正や追加緩和は、政策の効果が上がっていないことを日銀自ら認めたからに他ならない。にもかかわらず、黒田総裁は「(異次元緩和のもとで)経済・物価情勢は大きく改善している」「(異次元緩和策に)量的な限界や越えられない壁はない」などと強気の発言を繰り返している。
一方、異次元緩和によるゆがみは増幅されている。国債市場では負の利回りが広がり、借金する政府がもうかる逆転現象が常態化した。日銀の大量購入により、国債の品薄状態はますます深刻になっている。年金や保険による長期の資産運用は困難になり、銀行の収益悪化も問題視されている。異次元緩和を終え、政策を金利のある通常モードに戻す出口戦略は全く見えない。
このままでは、日銀の金融政策は信用を低下させ、将来にわたり深い傷を負うことになろう。早急に政策の功罪を総点検し、軌道修正を図るべきである。

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