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【15.09.11】 今日(9月11日)、「労働者派遣法改悪案」が成立しました。

「生涯ハケン」「正社員ゼロ社会」に道を開くもの。労働者に厳しく、資本家にやさしい(優遇)。

 「労働者派遣法改悪案」に対する小池副委員長の反対討論(参院本会議、9月9日)

 反対する最大の理由は、1985年の労働者派遣法成立以来30年間、「臨時的・一時的業務に限る」「常用雇用の代替とはしない」とする大原則を投げ捨て、制度的保証だった業務ごとの期間制限をなくし、派遣労働者を切れ目なく受け入れ可能としたことです。
 派遣元で無期の雇用契約を結んだ派遣労働者を、期間制限の対象から外し、有期契約の派遣労働者についても過半数労働組合等からの意見聴取さえすれば、際限なく延長できる仕組みとなっています。個人単位でみても、有期雇用の派遣労働者は課を変えれば使い続けられるため、いつでも、どこでも、いつまでも、派遣先企業が派遣労働者を使い続けることを可能にします。
 政府は雇用安定措置が「正社員への道を開く」と言いますが、派遣元から派遣先に「お願い」するだけで、直接雇用される保証などありません。塩崎厚生労働大臣も、雇用されるかどうかは「経営判断だ」と認めざるをえませんでした。
 「キャリアアップ措置がある」とも言いますが、正社員になれないのはキャリアがないからではありません。実効性のないキャリアアップ制度は慰めにすらなりません。

 反対理由の第二は、派遣労働者の待遇を改善するものでもなければ、正社員との均等待遇を実現するものでもないことです。法案の「均衡処遇確保措置」には、なんの実効性もありません。派遣元企業は「均衡処遇」を考慮した内容を労働者に説明さえすればよく、派遣先は、同種の業務に従事する派遣先労働者の賃金情報提供などについて「配慮」さえすれば実現しなくてもよいものだからです。
派遣労働者の86%が年収300万円という低賃金の是正も、正社員との賃金格差解消も、世界で当たり前の「均等待遇」の実現にもほど遠いものです。
 日本経済新聞社などの調査では派遣労働者の68%が、「派遣社員の根本的な地位向上にならない」「派遣社員が固定化する」という理由で反対しています。「正社員になりたい」「労働条件改善と安定雇用を」と望む労働者の切実な声を踏みにじる法案は、断固として廃案にすべきです。

 第三は、10月1日から始まる「みなし雇用制度」を骨抜きにするために、その直前に、なりふり構わず駆け込みで施行させようとしていることです。
 「みなし雇用」では、期間制限違反の労働者が正社員になる道が開かれます。だからこそ、自民党も公明党も、3年前に賛成したのでしょう。それを今になってやめてしまうのは背信行為ではありませんか。この法案が派遣労働者保護法ではなく、派遣企業保護法であることを露骨に示すものではありませんか。
 付則9条「経過措置」の解釈をねじまげ、法案施行前に派遣契約を結んだ労働者に、専門業務偽装などの期間制限違反があっても「みなし雇用」を適用しないことも重大です。
 3年前に成立した法令を前提として契約した派遣労働者には「みなし雇用」の権利が発生しています。それを新法施行で奪うという過去に例を見ない悪らつ非道なやり方だと言わねばなりません。
与党が強行した9月30日への施行日修正では円滑な施行などできません。41項目以上の省令・指針を労働政策審議会で検討しなければならず、周知期間はわずかしかなく、大混乱を招くことは必至です。立法府として無責任であり、重大な禍根を残すものです。
 与党は、採決直前になって、施行日のみならず内容の修正まで提案し、審議もせずに強行しました。「良識の府」のやることでしょうか。与党が内容上の修正を求めるという事態は、本法案が欠陥法案であることを自ら示すものにほかならないではありませんか。
本法案は、法案自体も審議経過も理不尽の極みというべきものです。これほどあからさまに労働者の権利を踏みにじり、骨の髄まで企業側の要求に応える法案を、私は見たことがありません。「生涯ハケン」「正社員ゼロ社会」に道を開く「改悪派遣法案」は廃案にすることを強く求めて反対討論を終わります。

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