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【14.07.29】 土用の丑の日、全国紙2紙(毎日、産経)が社説でウナギの危機に言及

私は家族で1日前に蒲焼きを食しました。今年は若干安いんだそうです(寺町で1匹1650円)。

1、ウナギの危機 土用丑の日に考えたい 毎日新聞社説

 夏はやっぱりかば焼き、という読者も多いだろう。価格が気になるが、本当に心配なのはウナギが絶滅の危機にあることだ。いずれ、私たちの口に入らなくなるかもしれない。世界のウナギ消費量の約7割を占める日本は資源の回復を主導する責務がある。29日は土用の丑の日。どうすれば日本の伝統的な食文化を守ることができるのかを考えたい。
 「個体数が30年間で少なくとも50%以上減った」として、国際自然保護連合(IUCN)は先月、ニホンウナギを「絶滅危惧1B類」に指定した。絶滅危惧種で2番目に高いランクで、インドゾウやコビトカバと同じだ。乱獲に加え、海流の変化や生息環境の悪化も影響している。
 指定に漁獲規制などの法的拘束力はないが、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の対象種を決める判断材料となる。同条約の次回締約国会議は2016年の開催で、加盟国は議題を提案できる。IUCNの指定で国際的な関心は高まるはずだ。
 ニホンウナギは完全養殖がまだ実用化されていない。国内供給の半分を占める輸入ものを含め、養殖ウナギはすべて稚魚(シラスウナギ)を捕獲して育てたものだ。規制対象種となれば輸入は難しくなり、価格は上がる。規制は避けられないことを見据え、保護対策に取り組みたい。
 ニホンウナギの資源回復には、消費量を減らし、産卵を控えた親ウナギは捕獲しないことが望ましい。パック詰めのかば焼きを安価に大量供給するようなことはやめるべきだ。消費者も、ウナギが危機的な状況にあることを認識する必要がある。
 ニホンウナギは太平洋で産卵し、稚魚は海流に乗って中国や台湾、日本にやってくる。中台などと連携した対策が極めて重要だ。水産庁は稚魚を養殖池に入れる量などを制限する方向で協議している。最大の消費国として、交渉の取りまとめ役となることを期待する。
 海外から別種のウナギを輸入することも控えたい。日本はかつて、中国で養殖されたヨーロッパウナギを大量に輸入した。ヨーロッパウナギは激減し、ワシントン条約の規制対象種となった。次々に別種のウナギを食べ尽くし、世界から非難を浴びることがあってはなるまい。
 環境省は昨年、IUCNに先駆けてニホンウナギを絶滅危惧種に指定し、今年から生息状況調査を始めた。2年程度かけて全国三つの河川を調べ、護岸改修などの際にウナギの生息に配慮した対応を求める指針を作成する。天然ウナギが生息できる環境は、多様な生物をはぐくむ環境といえる。ウナギの保護対策を河川の生態系の再生にもつなげたい。
 
 あるものを食す。ウナギ激減の本当の理由は他にありそうだ。

2、土用のウナギ 資源と食の文化の永続を 産経新聞主張

 つまるところは、捕りすぎなのだ。資源が激減してしまったウナギのことである。
 今シーズンは、養殖用のシラスウナギ(稚魚)の漁獲高が少し回復したために、かば焼きなどの価格が落ち着いた、と歓迎されている。
 だが、激減傾向の中での小回復なので、本来はシラスウナギの多獲を控えるべきだったはずだ。
 国際自然保護連合(IUCN)によってニホンウナギは6月に絶滅危惧種に指定されたばかりであるにもかかわらず、今夏の消費に抑制傾向はみられない。
 ウナギの生活史は特殊だ。成熟した親ウナギは秋に川を下って海に出て南のマリアナ海嶺で翌年の5月ごろ産卵する。生まれた子供は黒潮に乗って、年明けの1、2月ごろ、シラスウナギとなって日本沿岸の河口に現れる。このシラスたちが親になって海に向かうのは5〜10年後のことだ。
 資源回復を目指すなら、まずは秋の下りウナギの捕獲をやめなければならない。この措置を厳しく講じているのは、鹿児島などの九州3県と高知県に限られ、愛知と静岡県が緩やかな対策をとっているだけだ。
 次には河川シラスウナギの漁獲制限と漁獲量の把握が不可欠だ。高値が付くことや夜漁のため、暴力団などによる密漁も行われ、正確な参入資源量が分かっていないのが実態だ。
 もっと言えば、日本列島におけるウナギの自然分布さえ判然としていない。東北地方や北陸地方の川や池にウナギがいても、自然の個体か、養殖に由来する個体なのか、簡単には分からない。
 ニホンウナギの再生には、基礎調査からの着手が急務である。環境省が大学への委託研究で利根川など7河川での総合調査に乗り出したことを評価したい。
 農林水産省も新たに成立した内水面漁業振興法に基づいて養鰻業の実態把握に動き出す。中国からのヨーロッパウナギの輸入で国際社会から後ろ指をさされるようなことをなくすためにも必要だ。
 ウナギの減少は約40年前から目立ち始めた。気候変動に伴う海流の変化などの影響もあるだろうが、即応性のある対策は過食の抑制だ。人工の種苗生産が期待されるが、実用化には時を要する。
 土用の丑の日には絶滅危惧の重みまでを舌に乗せて考えよう。

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