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【14.06.30】 集団的自衛権行使容認 政府の想定問答集

明日、閣議決定なのか。(問答集、今日のしんぶん赤旗に掲載)

問1 憲法解釈を変更したのか。
・我が国を取り巻く安全保障環境の大きな変化を踏まえ、昭和47年の政府見解の基本的な論理の枠内で導いた論理的な帰結。
・解釈の再整理という意味で一部変更ではあるが、憲法解釈としての論理的整合性、法的安定性を維持(「解釈改憲」ではない)。

問2 憲法改正によるべきであり、なぜ閣議決定で解釈変更をするのか。
・憲法改正の是非は国民的な議論の深まりの中で判断されるべきもの。
・他方、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変化。国民の命と平和な暮らしを守り抜くための法整備が急務。
・昭和47年の政府見解の基本的な論理の枠内で論理的な帰結を導ける以上、必ずしも憲法改正を行う必要はない。
・論理的な帰結の範囲にとどまるものであり、憲法の範囲内で必要な法整備をすることは政府の責務。

問3 どのような場合に集団的自衛権を行使できるのか。
・「新3要件」を満たす場合に限り、国際法上は集団的自衛権が根拠となる「武力の行使」も憲法上許容される。「新3要件」に該当するか否かは政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断する。
・その上で、実際上、「武力の行使」の要否は、高度に政治的な決断。時の内閣が、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何が最善か、あらゆる選択肢を比較しつつ、現実に発生した事態の個別具体的な状況に即して、総合的に判断。

問4 要件が曖昧。武力行使に「歯止め」がないのではないか。戦争に巻き込まれるのではないか。
・「新3要件」を厳守する以上、憲法上「歯止め」がないということではない。その要件に該当するか否かは政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断する。
・その上で、集団的自衛権の行使は「権利」であり「義務」ではない。備えであり、実際に行使するか否かは政策の選択肢。時の内閣が、あらゆる選択肢を比較しつつ、国民の命と平和な暮らしを守り抜く観点から主体的に判断。
・事態の個別具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思・能力、事態の発生場所、その規模・態様・推移などの要素を考慮し、総合的に判断。
・実際の行使には国内法が必要。個別的自衛権と同様、国会承認も求める。民主主義国家の我が国では慎重にも慎重を期して判断される。

問5 昭和47年の政府見解の枠内で、なぜ結論が変わるのか。
・「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」について、これまでは、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に対処」するものであるとして、「武力の行使」は我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限定。
・しかし、パワーバランスの変化や急速な技術革新により、脅威がどの地域で発生しても、我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼすことがあり得る。
・この変化を踏まえれば、他国に対して発生する武力攻撃でも、その目的・規模・態様等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。
・この現状を踏まえ、我が国に対する武力攻撃が発生していなくとも、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」であれば、従来の政府見解と同様、自衛の措置として「武力の行使」が憲法上許容されると判断。

問6 国民の生命、自由及び幸福追求の権利が「根底から覆されるという急迫、不正の事態」を含め、昭和47年の政府見解の基本的な論理を維持し、この「基本的な論理に基づく自衛のための措置」というのであれば、他国に対する武力攻撃が発生した場合にこれらの権利が「根底から覆される明白な危険」も、昭和47年の政府見解にいう「急迫、不正の事態」に含まれるということか。
・「新3要件」の第1要件に当たる事態は、昭和47年の政府見解にいう「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」ということである。
・昭和47年の政府見解にいう「急迫、不正の事態」に該当するものとして、従来は「我が国に対する武力攻撃が発生した場合」に限ると考えていたが、現在の安全保障環境においては、我が国に対する武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合であっても、この「急迫、不正の事態」に該当するものがあると判断するに至った。

問7 「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」は、「我が国の存立が脅かされ、」といかなる関係にあるのか。
・国家と国民は表裏一体のものであり、我が国の存立が脅かされるということの実質を、国民に着目して記述したもの(加重要件ではない)

問8 「新3要件」は、いわゆる自衛権発動の「新3要件」なのか、「武力の行使」の「新3要件」なのか。
・従来のいわゆる自衛権発動の3要件を改めたもの。憲法第9条の下で許容される自衛の措置としての「武力の行使」の「新3要件」である。

問9 今次閣議決定により憲法上許容される集団的自衛権の行使は、あくまでも我が国を防衛し、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置であり、他国を防衛するためのものではないという理解でよいか。
・「新3要件」の第2要件にあるとおり、憲法第9条の下で許容される「武力の行使」は、我が国の存立を全うし、国民を守るためのもの。
・我が国の存立と国民を守ることと関係なく、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではないが、他国を防衛することがすなわち、我が国を防衛することになるということは想定される。

問10 「武力の行使」関連の8つの事例で集団的自衛権を行使できるのか。
・いずれの事例も、「新3要件」を満たす場合には、集団的自衛権の行使としての「武力の行使」が憲法上許容される事例。
・8事例のような活動が新たに可能となるが、実際には、個別具体的な状況に即して総合的に判断。

問11 シーレーンでの機雷掃海や民間船舶の護衛は憲法上できるのか。
・我が国の存立を全うし、国民を守るために、「武力の行使」に当たるものであっても、シーレーンにおける機雷掃海や民間船舶の護衛が必要不可欠な場合があり得る。これらは(湾岸戦争やイラク戦争での戦闘と異なり)航行安全を確保する限定的で受動的な活動。「新3要件」を満たす場合には憲法上許容される。
・実際には、個別具体的な状況に即して、総合的に判断。
・「新3要件」を満たす場合、邦人が乗船する船舶以外でも、共同の退避計画の下で外国人が乗船する船舶や外国のチャーター船等の護衛も可能。

問12 地理的制限はないのか。他国の領域に行くのか。
・「新3要件」に照らせば、我が国がとり得る措置には自(おの)ずから限界がある。
・武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領域へ派遣するいわゆる「海外派兵」は一般に許されないとする従来の見解は変わらない。

問13 他国の領海内では機雷掃海はやらないということか。
・他国の領海内における「武力の行使」に当たる機雷掃海であっても、「新3要件」を満たす場合には、憲法上許されないわけではない。
・実際には、個別具体的な状況に即して総合的に判断。

問14 「我が国と密接な関係にある他国」とはどこか。
・同盟国である米国はこれに当たる蓋然(がいぜん)性が高い。
・米国以外は、「新3要件」に照らし、一般には相当限定されるが、個別具体的な状況に即して総合的に判断。
・具体的な手続等は、法整備の過程で更に検討。

問15 いわゆる集団安全保障では「武力の行使」はできないということか。
・かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはない。
・武力攻撃が発生した直後に、あるいは我が国が「新3要件」を満たす活動を実施中に、国連安保理が武力行使を容認する決議を採択しても、「新3要件」を満たすならば、憲法上「武力の行使」は許容される。国連安保理決議が採択されたからといって、「新3要件」を満たす活動を途中でやめなければならないわけではない。
・この場合、国際法上、国連安保理決議が根拠となるが、「新3要件」を満たす「武力の行使」は、憲法上、我が国による自衛の措置として許容される。我が国が実施できる活動が、集団的自衛権が根拠となる場合より広がることはない。
・我が国有事の際に国連安保理決議が採択された場合についても、従来から、これと同様の考え方。

問16 「専守防衛」の変更になるのではないか。
・武力攻撃が発生しなければ武力行使をしないことに変わりはなく、あくまで受動的なもの。「専守防衛」(憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢)は不変。

問17 日米安保条約は改正するのか。
・改正は考えていない。集団的自衛権の行使は義務ではなく、改正の必要もない。

問18 後方支援で「現に戦闘行為を行っている現場」をどう判断するのか。
・「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている現場」。
・隊員が支援活動を実施する地点で、人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われていれば、客観的に明らか。現場の部隊で判断し、直ちに休止・中断。隊員の安全確保からも当然の対応。

問19 「現に戦闘行為を行っている現場」で支援活動を実施しないのは「一体化」するおそれがあるためか。
・「現に戦闘行為を行っている現場」での支援活動は、「武力の行使と一体化」するおそれが排除されないとしてきたことは事実であるが、今般、そのような現場での支援活動は必要性が低いことから、基本的に「現に戦闘行為を行っている現場」では支援活動は実施しないという政策上の判断をしたもの。

問20 なぜ駆け付け警護や任務遂行のための武器使用が可能になるのか。
・PKO参加5原則の下でのPKO活動や、領域国の同意に基づく邦人救出等に伴う武器使用は、基本的には「武力の行使」に当たらない「武器の使用」。警察比例に類似した厳格な比例原則が働く。
・その上で、国家安全保障会議で、情勢分析・審議等を行い、「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場しないことを事前に判断する仕組みを設定し、自衛隊の活動が「武力の行使」に当たらないことを担保。

問21 臨時国会に法案を提出するのか。グレーゾーン先行なのか。
・今後の国内法制の在り方については、今次閣議決定で示された事項全般の検討と並行して、十分に検討。
・準備ができ次第国会に提出したいが、その段取りについて具体的に述べる段階でない。
・準備ができた段階で、与党にも御議論頂き、進め方も十分相談したい。

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