活動日誌−活動日誌
【13.04.01】 小野市の「福祉給付制度適正化条例」の問題が、今日の朝日新聞社説に掲載された。
それぞれの意図を見極めないと。
私が、星野公平ニュースNo.180でも紹介した、兵庫県小野市の条例の問題が、朝日新聞社説に掲載された。風当たりが強くなってきた生活保護の問題、支給額も含めて真剣に取り組んでいかなければならない。
「星野公平ニュースNo.180」より
生活保護問題 憲法の精神に反する「小野市福祉給付制度適正化条例」
ハートフルシティを標榜する兵庫県小野市では、3月議会で「小野市福祉給付制度適正化条例」を制定しようとしています。
市長の挨拶によれば、「国においては、生活保護に関する生活扶助費を、本年8月より削減する方針でありますが、本条例では、生活保護世帯の増加とともに社会問題となっている保護費の不正受給を防止するため、国に先んじて、公的な金銭給付の不正受給や、受給者が給付された保護費等をギャンブルなどに費消し、生活の安定向上に努める義務に違反する行為を、市と地域社会が一体となって防止(市民や地域社会は、生活に困窮され保護を必要とされている世帯や、不正受給の疑いのある事案等があれば市へ情報提供すること)し、福祉給付制度の信頼確保と受給者の自立した生活を支援することを目的とする」と言っています。更に「この条例と、『小野市いじめ等防止条例』、『小野市空き家等の適正管理に関する条例』の3条例は、全国どこにでも起こりうる課題に対して、『言われてからやるのではなく、言われる前にやる』、まさに、『後手から先手管理』への転換の実践を、全国に知らしめる、『先手管理3本の矢』である」と自己評価しています。
全国公的扶助研究会会長の吉永純花園大学教授は、「条例が成立すれば、監視の対象が無限に広がり、江戸時代の5人組のように地域でお互いを見張らせる事になります。貧困となった人が福祉事務所に相談に行けなくなり、貧困を放置する事になります。生活保護費の使い方は個人の自由です。パチンコやギャンブルなどの依存症のケースこそ、ケースワーカーの役割です。生活保護利用者に自立を促すことを目的とするのならケースワーカーの増員こそすべきです。」と話しておられます。(吉永先生には桑名市内で生活保護を受けられずに餓死する事件があった時に、当時のケースワーカーの方を対象に講演していただいています。)
「生活保護―本当に自立支援なら」朝日新聞社説
生活保護の受給者を「お荷物」とみるのか、それとも社会の一員と受け止め、手をさしのべていくのか。
パチンコや競輪、競馬などに生活保護費や児童扶養手当を常習的に使っている人を見つけたら、速やかに通報することを市民の「責務」とする――。
兵庫県小野市で、こんな条例が成立した。
「密告制度」「監視社会」。そんな言葉が頭に浮かぶ。
ただ、保護費をギャンブルなどに浪費する人がいるのは確かだ。それを不愉快に思っている市民も少なくないだろう。
事実、各地の福祉窓口には、受給者がパチンコ漬けになっているとか、車や高級バッグを持っているといった「通報」が珍しくないという。
小野市は、そこをあえて条例化するのだから、住民を巻き込んで受給者の支援にもっと真剣に取り組むという宣言かもしれない。
提案した蓬莱(ほうらい)務市長も市のサイトで「監視ではなく、地域の絆を深める見守り社会を目指す」「無関心から関心へと市民の意識改革を促す」と書く。
ところが、条例を読んでも、自立支援をどうするかという肝心な点がはっきりしない。
市民の責務として「市の調査や指導への協力」をうたうものの、具体的には「市への情報提供」、すなわち通報だけだ。
疑問なのは、条例は1日から施行されるのに、福祉の適正な運用や自立支援を検討する新たな協議会の設置が先送りされていることだ。1年以内に設けるというが、順番が逆である。
県の弁護士会や保険医協会が「差別や偏見を助長する」「使途を監視・干渉することは憲法に反する」と反発するのは当然だろう。
市民の意識改革というなら、市は通報者に、受給者の自立や生活を支援する活動への参加を求めてはどうか。受給者は社会から孤立しがちだから、話し相手になるだけでも立派な支援になる。
通報者は自らの名前を明らかにする。匿名だと、単に相手をおとしめるための無責任なものが交じりやすいからだ。
こうした手立てなしでは、受給者がまるで「二等市民」のように扱われる印象が拭えない。
生活保護に対する世の中の目は厳しい。しかし、受給者の多くは、今の状況に陥ったことで自分を責める感情が強い。本当は保護が必要なのに申請しない人も多い。
こうした状況は、通報ではとても解決しない。
生活保護監視条例を強行 兵庫・小野市 本会議で藤原議員反対(しんぶん赤旗3月28日(木))
生活保護や児童扶養手当受給者などがギャンブルで浪費していないか市民に監視させる兵庫県小野市の「福祉給付制度適正化条例」案が27日、市議会本会議で、日本共産党の藤原章市議以外の賛成で可決、成立しました。
同条例は、兵庫県弁護士会や自由法曹団兵庫県支部、兵庫県保険医協会などが憲法違反の条例として反対を表明し、撤回・廃案を求めていました。
討論に立った藤原市議は、個人の自由や幸福追求権を侵害することや、市民に情報提供させることが受給者への差別や偏見を助長し申請・受給をためらわせること、弁護士会などが憲法に抵触するおそれがあるとの意見を示し、「この条例は制定すべきではない」と反対しました。
条例制定に反対し運動に取り組んできた全日本年金者組合小野支部の森本均支部長は、「昔の隣組のように住民同士で監視させることに通じます。条例の本当の狙いは生活保護の受給を抑えることにあります。市民に条例の本質や憲法違反の問題などを知らせ、条例の実施や具体化をさせないようにしたい」と話しました。
生活保護関連、今日午後5時過ぎよりNHKが報道
タイトルは「生活保護Gメンに密着」となっている。
NHKが何をしようとしているのか注目だ。