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【18.07.05】 悪法の連続、「水道法改定案」

1、「水道法改定案」実質審議入り(6月29日) 水道事業育成こそ必要

 衆院厚生労働委員会で6月29日、地方自治体の水道事業の運営権の民間企業への委託(コンセッション方式)を推進する「水道法改定案」が、実質審議入りしました。日本共産党の高橋議員は、必要なのは民営化ではなく、「水道事業の担い手を育て、必要な財源を投じてライフラインを守ることだ」と主張しました。
改定案は、自治体が水道事業者であり続けながら、民間業者が厚労相の認可を受け水道施設の運営権を受託する仕組み。与党は大阪北部地震による損壊を根拠に、「老朽化対策」を進めるとの口実で成立を狙っています。
高橋氏は、課題として指摘されている経営基盤の脆弱性がなぜ生じたのかと質問。加藤厚労相は「広域化が進まない中、節水意識の向上など、水需要の減少に伴い料金収入が減少した」ためと答弁しました。
高橋氏は、職員数がピーク時より3割減り、給水人口5万人未満の事業体の職員は1〜2人、技能職はゼロだと紹介。世界では民営化後の管理運営水準の低下などから再公営化が進むなか、政府がサービス水準の担保策として掲げる民間業者への「モニタリング(監視)」についてただすと、宇都宮啓審議官は、全てを自治体自ら行う必要はなく、「専門的知見をもつ第三者を活用する」と答弁。高橋氏は、すでに8割の事業者が水質検査を外部に委託しているとし、「結局、モニタリングも民間委託になるではないか」と指摘しました。
高橋氏は、民営化推進は水道事業の維持・向上につながらず、「自治体がリスクはとって、儲けは民間に回すもの」と批判しました。

2、民営推進の「水道法改定案」急浮上 世界の流れに逆行

延長国会で安倍政権は、地方自治体の水道事業の運営権を民間企業が獲得する「コンセッション方式」を推進する「水道法改定案」の成立を狙っています。同改定案は昨年の通常国会に提出され衆院解散で廃案となりましたが、与党は今回、大阪北部地震での被害を口実に、「民間活力」で老朽化対策を進めると主張。日本共産党は、水道民営化によって国民の生命にかかわる分野で利益が優先され、老朽化などの諸課題の解決に逆行し、人件費削減や住民サービス後退を招くと批判しています。
改定案は、人口減少に伴う水需要・収益の減少や人材不足などを理由に「水道の基盤強化」「官民連携の推進」を掲げ、自治体を水道事業者としながら、施設の運営権を厚労相の許可で民間事業者に設定するものです。
厚労省によると、水道事業の現状は、法定の耐用年数を超えた水道管の割合(経年化率)は2015年に13・6%。職員数はピーク時に比べ3割減り、給水人口5000人未満の事業体では1〜2人で、技能職は「ゼロ」となっています。
日本共産党の高橋議員は6月29日の衆院厚生労働委員会で、民営化ではなく、水道事業の担い手の育成や、必要な財源を投じてライフラインを守ることこそ必要だと強調しました。
民営化が「老朽化対策」どころか弊害を生むことは海外の事例からも明らかです。欧米でも、水道料金が高騰し、設備投資がまともに行われないなどの問題が噴出(表略、フランス・パリ市、アメリカ・アトランタ市、ドイツ・ベルリン市)。2000年から2015年3月にかけて民営の水道事業が再び公営化された事例は235件にのぼり、再公営化は世界の流れになっています。
政府はこうした海外の事例を踏まえ、サービス水準を保つためとして、民間事業者に対し「モニタリング(監視)」を行うと説明しています。しかし厚労省は質疑で、必ずしも自治体が行う必要はなく「第三者」を活用すると答弁し、高橋議員は「結局、『モニタリング』も民間委託になるではないか」と批判しました。
安倍政権は「日本再興戦略」で、コンセッション方式の導入を進める公共施設として、空港や下水道などと並び上水道を「重点分野」に位置付けています。世界の流れに逆行して、公共サービスの責任を投げ捨てる方向へと突き進んでいます。

3、「水道法改定案」を質す 民営業務範囲は不明確

日本共産党の高橋議員は4日の衆院厚生労働委員会で、水道事業の広域化の推進や民間企業への運営権の譲渡の仕組みを盛り込んだ「水道法改定案」について質しました。
高橋氏は、災害時に自治体同士で応急給水を行うなどの応援体制が民営化後も担保されるのかと質問。厚労省の宇都宮啓審議官は民間業者との「実施契約で定めればできる」とし、明確な担保は示しませんでした。
水道管路の老朽化対策について、宇都宮氏は業務範囲や水道料金などの枠組みを事前に条例で定めるとし、「水道施設の更新や費用負担などを行わせることが可能」と説明。高橋氏が、民間業者が管路の更新などに全く責任を負わない場合もあるかを問うと「そういう契約になればありうる」と認めました。利用料金の上限や改修費などの按分率、災害対応など、条例などであらかじめ定めることが多すぎて現実的でないことが浮き彫りになりました。
また高橋氏は、改定案では、国の基本方針に基づき、都道府県が広域化などの「水道基盤強化計画」を定め、推進する責務が新たに設けられ、「都道府県が広域化の“推進役”にされる」と指摘。さらに、県議会も同計画をチェックできず、国の関与もなくなっていると批判。加藤厚労相は今までが特異で、今回が一般的な仕組みだと強弁しました。
 高橋氏は、給水人口が小規模である「簡易水道」が広域化に加わらない選択も尊重して、補助金も存続すべきだと要求。加藤氏は「財政支援は行っていく」と答えました。

4、「水道法改定案」衆院委で可決(7月4日) 高橋議員反対 住民負担招く

水道事業の広域化と民間参入の促進を図る「水道法改定案」が4日、衆院厚生労働委員会で自民党、公明党、維新の会などの賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党が反対し、日本共産党の高橋議員が反対討論に立ちました。
高橋氏は、水道事業について「安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するもの」と指摘。大阪北部地震で老朽化対策の必要性が浮き彫りになったものの、この法案では解決にならないと訴えました。
高橋氏は、法案の問題点を2点指摘。第1は広域化の押し付けです。法案では国が定める基本方針に沿って都道府県が基盤強化計画を策定し、広域化の推進役を担うことになります。高橋氏は、現在実施されている広域化でも自己水源の放棄や余剰化したダム水の押し付けが問題となっていると指摘。「結果として住民負担とサービスの後退を招く」と批判しました。
もう1点は、コンセッション(公設民営)方式の導入です。高橋氏は「利益優先の民間事業者の参入は、経営の効率化の名のもとに、事業の安全性・安定性の後退につながり、料金値上げなどの住民負担増を招く」と指摘。後継者不足の解消にもつながらないとして強く反対しました。

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