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【18.06.30】 「働き方改革」一括法、環太平洋連携協定(TPP11)の関連法 成立

1、「働き方改革」一括法に対する反対討論 参院本会議

日本共産党の倉林明子議員の反対討論(要旨)。
与党は、継続、徹底審議を求める野党の要求を打ち切り、野党3会派が提出した厚生労働委員長解任決議案を棚上げするという前代未聞の暴挙の上、厚生労働委員会を再開させて採決を強行しました。これは二重の暴挙であると断ぜざるを得ません。
本法案は立法事実が破綻しています。議論の出発点である労働時間のデータの捏造、データの隠蔽が発覚し、法案から裁量労働制を削除せざるを得ないという異例の事態となりました。2割にも上るデータを削除した後も、残りのデータに次々と誤りや記載ミスが見つかっただけでなく、削除後のデータに重大な乖離が生じていたのです。更に、管理監督者を一般的な働き方に含めたデータを労政審に提出していたことも発覚し、大臣は誤りだったと認めています。誤りを認めるのであれば、労政審に差し戻すのが当然ではありませんか。労政審も国会も冒涜し、国民世論も過労死家族の会の願いも踏みにじる本法案は廃案とするのが、立法府としての責任です。
本法案が「過労死促進法」であることが審議を通じて明らかになっています。高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制をいっさい取り払うもので、戦後の労働法制上、やったことがない異次元の規制緩和となるものです。対象業務は限定するというものの、どんな業務が対象になるのか明らかになるのは法案成立後です。肝心の年収要件も高収入とは看板倒れで、実はパートも含む労働者の平均が根拠だったこと、通勤手当など固定的な手当もふくまれること、1075万円の総額は示されているものの、手取り額の実態は最後まで明らかになりませんでした。
この制度が最初に法案として盛り込まれた当時の厚労相は「小さく生んで大きく育てる」と発言していた通り、高プロの対象となる業務も労働者も大きく膨らむ危険が極めて強いのです。
更に裁量権があるから自由な働き方が可能だと説明しながら、裁量権は法案で規定されていません。対象業務など省令や指針、通達で決める項目は90を超えています。こんな危険な白紙委任は到底認められません。
時間外労働の上限規制については、過労死ラインの時間外労働を合法化するものとなっています。罰則付きの上限規制が長時間労働を助長する危険性は極めて高い。
本法案で、雇用対策法の役割を大きく変質させることは重大な問題です。法律の名称を「雇用対策」から「労働施策」に変え、「労働生産性の向上」を目的に据え、「多様な就業形態の普及」が国の施策と位置付けられています。労働者保護法制が適用されない働き方も含む「多様な就業形態の普及」を国の施策に加えることは、無権利・低所得の労働者を増大させることにつながります。
2014年6月、この議場で「過労死等防止対策推進法」が全会一致で可決成立し、翌年には「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されました。大綱策定からわずか3年、政府が過労死促進法ともいうべき本法案を提出すること自体、言語道断、到底許されるものではありません。過労死の悲劇を繰り返さないという総理の言葉は、過労死家族もすべての働く人々も欺くものだといわざるを得ません。国民を欺く安倍政権には一刻も早い退陣を強く要求します。

2、「TPP11関連法」に対する反対討論 参院本会議

日本共産党の田村智子議員の米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)の関連法への反対討論(要旨)。
本法案の成立は、TPP11を批准する条件となります。「嘘つかない ぶれない TPP断固反対」と自民党もポスターに掲げたTPP協定の関税撤廃、非関税障壁の緩和水準がTPP11に受け継がれています。凍結事項は極めて限定的であり、食の安全など2016年の国会審議で焦点となった問題点は何ら解決されていません。
国会決議で関税撤廃の交渉から除外することを求めた、米・麦などの重要5品目のうち無傷のものは一つもなく、批准は明白な国会決議違反です。多国籍企業の利益のために、経済主権や食料主権を侵害するTPPの本質と何ら変わらず、批准には断固反対です。
TPP11はTPPよりも深刻なダメージを日本の農業にもたらす危険があります。米国が抜けたにもかかわらず、乳製品等の低関税輸入枠も、牛肉・豚肉等の輸入急増への対策であるセーフガード発動の基準もTPPで合意されたままになっています。TPP11で、カナダ、ニュージーランドなどがすでに対日輸出の大幅増を見込んでいます。
茂木TPP担当相は“米国の動向によりセーフガード基準の見直しを要求する。各国の理解を得ている”と繰り返しました。しかし、発言内容や各国の反応などが確認できる文書の提出を求めると、議事録は作成していないと述べ、日本側のメモの存否すら明らかにしませんでした。
米国のトランプ大統領は貿易赤字を重大視しており、TPP枠の外でも日本への輸出増を要求することは明らかです。TPPの枠組みにしがみついて日米交渉を進めれば、TPP合意は最低ラインとなり、更に対日要求に応える事になりかねません。
本法案による国内農業支援策は、長年にわたる厳しい価格競争の押し付けを前提としています。支援策は「意欲ある生産者」との前提つきで、その多くは新たな、大規模な設備投資が条件です。参考人質疑で北海道の小麦農家の山川秀正・北海道農民連委員長は、さまざまな形態の農業が生き残ってこその地域社会、地域経済の発展だと陳述しました。それぞれの事情、経営スタイル、規模があって良いはずです。国策で価格の安い輸入品とのさらなる価格競争を農家に強い、競争に耐え続ける農家を支援する政策はまともな農業支援ではありません。
日本の農林水産業を第1次産業にふさわしく位置づけ、農家の方々が望んできた価格保障・所得補償を進めて自給率を大幅に引き上げることこそ急務です。食料自給率が4割を切る国で輸出を進めて「稼ぐ農業」を推進するなど本末転倒です。
TPP11交渉では多くの国が凍結事項を主張し、マレーシアのマハティール首相はTPP11の再協議に言及しました。多国籍企業の利益追求から国内産業や自国民を守るためです。経済・食料主権を尊重しながら国際的な経済関係を築く新たなルールの構築にかじを切るべきです。

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