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【18.06.03】 生活保護利用は、わずか23%

保護基準以下所得は705万世帯 「厚生労働省の推計」より

生活保護基準以下の所得(収入から税、社会保険料などを差し引いたもの)で暮らす世帯が2016年は705万世帯あり、そのうち実際に生活保護を利用していた世帯は22・9%(161万世帯)しかいないことが「厚生労働省の推計」でわかりました。格差と貧困が広がるもと、国民の暮らしを守る最後のセーフティーネット(安全網)の周知徹底と利用しやすくするための制度改善が大きな課題であることを改めて裏付けました。
同推計の公表は10年以来で安倍政権では初めて。同省は立憲民主党・石橋通宏議員の要求に応じて資料を作成。5月29日の参院厚生労働委員会に提出されました。
現行の生活保護は、所得が保護基準(最低生活費)以下でも、預貯金が最低生活費の1カ月未満とほとんどない場合でないと利用できません。この預貯金額を考慮した推計でも、預貯金がほとんどない保護基準以下の所得世帯のうち実際の保護利用世帯は43・7%にとどまりました。
推計は、16年の国民生活基礎調査のデータをもとに行われたもの。07年の同調査を利用した前回(10年公表)との比較では、利用率は上昇していますが、低水準であることに変わりありません。

生活保護の機能果たさず 吉永純 花園大学教授(公的扶助論)談

「厚生労働省の推計」は、憲法25条にある「健康で文化的な生活」を保障するための生活保護の機能が、依然として十分に果たされていないことを示すものです。
前回の推計結果と比べてやや改善していますが、それでも貯金のみを考慮した場合でも、保護を利用できる人のうち半分以上が排除されています。「厚労省の推計」では、保護基準以下で生活する低所得世帯の割合自体も10%を超え高い水準にあり、深刻な貧困問題が続いていることも表れています。
こうしたなかで政府は10月から、生活保護で日常生活費に充てる「生活扶助」を引き下げる計画ですが、実施されれば生活保護から排除される人がさらに生まれることになり、貧困問題の解決に逆行することになります。
生活保護削減計画は中止し、まずは生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している割合(捕捉率)を上げるための政策こそ力を入れて取り組むべきです。

生活保護の捕捉率って?

Q 生活保護の「捕捉率」って何?
A 生活保護を利用する資格がある人のうち、実際に利用している人の割合です。捕捉率に関わるものとして、厚生労働省は5月、所得が生活保護の基準を下回る世帯のうち保護を利用している世帯は22・9%という推計結果を発表しています。研究者の推計でも、だいたい2割程度でかなり低い状況です。(グラフ)
Q 低い理由は?
A 生活保護は恥(スティグマ)との意識や制度が正確に知らされていないこと、市役所などの窓口に行っても間違った説明で追い返される「水際作戦」が横行していることが指摘されています。
生活保護基準は、憲法25条で保障された「健康で文化的な生活」をおくるために「これ以上の貧困があってはならない」という最低ラインを定めたものです。捕捉率が低いことは最低ライン以下の生活を多くの人が強いられていることを意味しますから、捕捉率向上は緊急に取り組むべき課題です。
Q 向上のためには何が必要?
A 安倍自公政権は2012年末の発足から今年の5月までは捕捉率の推計すら行わず、向上に積極的に取り組んできたとは言えません。それどころか保護費を連続削減してきました。

日本共産党の志位委員長は2月に、定期的に捕捉率を調査・公表し、向上に努めることを盛り込む生活保護法の改正を提起し、国の責任で生活保護を使いやすくすることを求めています。

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