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【18.05.03】 国保(国民健康保険)の「都道府県化」(広域化)について

国の悪政に付き従うのか、住民生活を守る“防波堤”となるのか。

 安倍政権下で4月から始まった国保の「都道府県化」によって、今でも高すぎる国保料を値上げする自治体が出ています。一方、独自に負担軽減を行う動きもあります。国の悪政に付き従うのか、住民生活を守る“防波堤”となるのか。国と自治体の姿勢が問われるとともに、負担軽減などを求める住民運動が必要です。
(註:桑名市は今年度、基金(貯金)を取崩し値上げはしません。しかし、基金は私たちが払った高い保険税の余ったお金で、いつまで続くか分かりません。)

 国は1980年代から国庫支出を縮小し、都度府県に肩代わりをさせて国の責任を後退させています。国保会計の収入の約5割を占めていた国庫支出を約2割(2015年度)に削減し、市町村国保の財政悪化に拍車をかけました。

 新制度(「都道府県化」)は、市町村ごとの国保の財政運営責任を都道府県に担わせるもので、国の公費支出削減のため、医療費抑制や国保料の値上げ、取り立て強化につなげる仕組みです。市町村に対し、市町村ごとの医療費水準等を反映した納付金の完納を義務付けるとともに、「標準保険料率」等を示す事になりました。これまでより低い国保料だった市町村を、法定外繰入金の削減・解消=国保料の値上げへ誘導しています。国は、財政支出の配分要件として、自治体間で繰入金の削減や国保料の徴収強化、医療費削減を競わせる「保険者努力支援制度」までつくりました。

 加入者が支払う2018年度国保料は各世帯の所得を反映して6月中に決まり、7月中旬に通知書がきます。65歳以上の方の場合、介護保険料が4月から値上げされており、市町村によってはダブルパンチになる可能性もあります。

 国保加入者は、年金生活者や非正規雇用の低所得者が8割を占め、生活苦は深刻で、保険料滞納世帯は全国で290万にのぼる構造的問題を抱えています。保険料を払えずに無保険状態になったり、市町村による“正規保険証の取り上げ”によって医療にかかりにくくなり、病気が重症化する人が相次いでいます。重症化・手遅れで亡くなった事例が2017年には全国で63人にものぼりました。



三重短期大学 長友薫輝教授(社会保障論)の発言(桑名市在住)

1、都道府県に医療費抑制・削減を進める“管制塔”の役割をさせていくものだ。
2、“様子見”で何とか国保料を据え置いたり、値下げをする自治体がある一方、値上げしたのは、安倍政権が求める法定外繰入金の削減・解消=医療費削減路線に便乗した形です。
3、新制度で負担増を迫れば、住民が健康に生きる権利や医療を受ける権利はさらに阻害されます。市町村は、都道府県化によって地域医療・福祉の責任を放棄するのではなく、地方自治の観点で住民の命や健康を守るため、国の財政措置と繰入金を使って国保料をさらに値下げすることこそが必要です。
4、国は法定外繰入金による値下げをやめさせようとしていますが、繰入金は国が減らした国庫支出を一部肩代わりするものです。財政健全化や医療費削減は手段であって目的ではありません。住民の命と健康を守る社会保障をいかに実現するかが大切です。お金持ちから低所得者へと、税と社会保障を通じた所得再配分を強化することで生活を底上げし、地位経済の好循環にもつながります。国庫支出を抜本的に増やすことこそが必要です。
(参考 5月2日、3日しんぶん赤旗)

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