活動日誌−活動日誌

【18.02.11】 トランプの一般教書演説と「核態勢見直し」(NPR)

トランプ一般教書 軍事力重視と介入外交

トランプ米大統領は1月30日夜(日本時間31日午前)、連邦議会上下両院合同会議で就任後初となる一般教書演説を行いました。
11月の中間選挙を意識し“実績”( 「米国史上最大」の減税で、中間層や小規模事業者の基礎控除額が2倍になるなど)の列挙に時間を割いた異例の長さでした。世界に対しては、就任以来の「米国第一」を随所にのぞかせつつ、議会に制限をつけない軍事費増を要求し、米国への批判を許さない介入姿勢を明らかにしました。
インフラ整備を経済政策の中心に位置づけ「1兆5千億ドル投資の法案」を議会に要請しました。昨年の「施政方針」演説で主張した1兆ドルの焼き直しです。財源への言及はなく、あったのは規制緩和の要求でした。
注目された移民政策では、幼少期に親とともに入国した若者約180万人を「不法滞在」として強制帰国させるというこれまでの主張は内外から厳しい批判を受け、撤回しましたが、メキシコ国境との間での壁建設を要求しており、移民問題解決の方向は不明です。
外交政策では、軍事力強化と米国の主張を押し付ける姿勢が浮き彫りになりました。トランプ氏は「比類ない力こそ国を守る確実な手段」として、軍への「十分な予算」を議会に要求し、核兵器の近代化を打ち出しました。
北朝鮮の核・ミサイル問題で、これまで「最大限の圧力をかける」と明言しました。イランに対しては、「米国はイランの国民とともにある」として、反政府行動への支持を表明しました。さらにアフガニスタンに米軍を増派すると主張しました。出口戦略なしの関与拡大として、アメリカ国内から早くも懸念の声が上がっています。
エルサレムへのアメリカ大使館移設をすすめる考えを改めて示すとともに、国連総会で移設を批判した国はアメリカの対外援助の対象からはずすと言明。
トランプ氏は「アメリカ第一」をますます際立たせています。地球温暖化対策など世界が直面する問題での国際的協力についての言及はありませんでした。安倍政権が「トランプ・ファースト」の姿勢で、追随を続けることの是非が鋭く問われています。

トランプ新核戦略 世界の流れに背く

2日発表した、トランプ米政権の新しい核戦略「核態勢見直し」(NPR)は、核兵器を使う姿勢を強く打ち出し、新たな核軍拡の計画も示しました。
核兵器廃絶の世界的な流れに逆行する危険で、無謀な企てという他ありません。
NPRは「核攻撃の抑止が核兵器の唯一の目的ではない」と述べた上で、「抑止が失敗した場合の米国の目標達成」も、その一つに挙げました。相手を「抑止」できなかった場合には、核攻撃も辞さないというものです。「潜在的な敵国」に「耐え難い結果」を理解させなければならない、とものべ、核兵器で攻撃されなくても、核兵器を使用することを明記しました。
核兵器のいかなる使用も非人道的で、破滅的な結果をもたらすことは明らかです。そのことを多くの国が理解し、危機感を深めたからこそ、昨年7月、「核兵器禁止条約」が実現したのです。昨年秋の国連総会では、禁止条約を支持する国から「核抑止のいかなる失敗も、必ず壊滅的な結果になる」との声が上がるなど、「核抑止力」論が厳しく批判されました。
自国の「目標達成」のためには、核の惨禍を与えることもいとわないトランプ政権の戦略は、核兵器の禁止・廃絶を求める世界の流れにも、人類の文明と理性にも逆行するものであり、許されるものではありません。
トランプ政権は、中国、ロシアや北朝鮮などの核戦力増強を口実に、大規模な核軍拡に踏み出そうとしています。総額は1・2兆ドル(約131兆円)にもなるといわれます。潜水艦から発射できる弾道ミサイル(SLBM)や核巡航ミサイル(SLCM)など、「使いやすい」小型核兵器の開発と配備をすすめようとしていることに懸念が高まっています。
「使いやすさ」を競えば、偶発的な核使用の危険が高まり、全面的な核戦争にエスカレートする恐れもあります。米国と旧ソ連の対立した時代のような核破局の危機を再現させてはなりません。
NPRが「安全保障環境」の改善が核軍縮の「前提条件」だといい、「核兵器禁止条約」は「非現実的な期待にあおられたものだ」と非難していることは重大です。「核抑止力」の対峙こそが、人類の安全と生存に対する脅威です。その根絶をめざした「核兵器禁止条約」は、緊張を緩和し、すべての国に安全を保障する道です。
安倍政権はNPRの発表直後に、「抑止力」の強化として、これを「高く評価」(河野外務相談話)しました。唯一の戦争被爆国で、核兵器の非人道性を認めながら、アメリカの核攻撃態勢の強化を“歓迎”するなどということは、世界と国民を欺くものであり、断じて認められません。
核巡航ミサイルの原子力潜水艦などへの再配備は、日本への核持ち込みの危険を高め、非核三原則を蹂躙する可能性もあります。
安倍政権の米核戦略への追随は、被爆国にあるまじき恥ずべきものです。すみやかに「核の傘」から離脱して、「核兵器禁止条約」に署名、批准をおこなうべきです。それこそが、日本とアジアの情勢を前向きに打開し、核兵器の脅威を根絶する道です。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)