活動日誌−活動日誌

【18.02.07】 今日の「しんぶん赤旗」の主張

生活保護・緊急提案 貧困への認識改め責任果たせ

貧困の広がりは日本が直面する大問題です。
ところが安倍政権は、貧困は悪化していないと繰り返し、憲法25条に明記された生存権を保障する生活保護の生活扶助費削減を強行しようとしています。
国民の深刻な実態が全く見えていない。
衆院予算委員会の基本的質疑で日本共産党の志位委員長は、安倍首相の認識を追及するとともに、使いやすい制度にするために生活保護法を「生活保障法」にするなどの法改正を緊急提案しました。貧困打開に向けた切実で道理ある提起です。安倍政権は真剣に受け止め、検討すべきです。
志位委員長がまず質したのは、日本の貧困の現状に対する安倍首相の基本認識です。安倍首相は相対的貧困率が下がったとし「(貧困悪化という)指摘は当たらない」と主張します。しかし相対的貧困率の低下は、貧困の改善を意味しません。
相対的貧困率は「貧困ライン」(等価可処分所得の順に国民を並べたとき中央にくる人の額の2分の1)に満たない所得の人の割合で、一般国民の所得が下がると「貧困ライン」も下がります。そうなると、これまで「貧困ライン」以下とされた人が収入などが同じでも「貧困ライン」の上にきてしまい貧困でないと数えられる―それが相対的貧困率低下の内実です。
実際、日本の「貧困ライン」は1999年の157万円から2014年の133万円へと下がり続けています。経済協力開発機構(OECD)データでみるとアメリカ、イギリスなど6カ国の「貧困ライン」は大幅に上がっているのに、低下しているのは日本だけです。具体的事実を示し、世界でも異常な姿だという自覚はあるか、と志位委員長が迫っても安倍首相は認めません。
深刻な実態を見ようとしない姿勢からまともな政策が出るはずがありません。その典型が生活保護で食費や光熱費にあたる生活扶助費を10月から最大5%引き下げるという方針です。利用世帯の67%が減額され、被害は甚大です。
安倍首相は、全体を引き下げるものではないとか、所得の少ない「一般低所得世帯」との均衡のためなどと削減を正当化しようとしますが、厚労省の数字からみても、とても通用しません。志位委員長が、生活保護を現在利用している母子世帯の実情を、当事者の言葉でリアルに紹介しながら、一般低所得世帯との比較で生活扶助費をカットすることが、困窮世帯をどれほど過酷な生活に追い込むことになるかを告発すると安倍首相は反論できません。
生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している人の割合(捕捉率)が2割程度と国際的に極めて低い水準にあることが大きな問題になっているのに、安倍政権は国民に約束した捕捉率の調査すらしていませんでした。生活扶助費削減の不当性はいよいよ浮き彫りになるばかりです。削減方針の撤回・中止こそ必要です。
“生活保護利用は恥”との意識をなくすためにも、その利用は憲法25条に基づく正当な権利と表明すべきだとの志位委員長の提起に、安倍首相は「偏見をなくす」と述べたものの権利とは明言しませんでした。
全ての国民に生存権が保障され、使いやすい生活保護にするため「生活保障法」への名称変更、国民への周知義務づけなど緊急の法改正の実現が重要です。

5日の衆議院予算委での志位委員長の基本的質疑(全文)

生活保護削減に道理なし 貧困打開に向け「生活保障法」に

{志位 生活保護のあり方は、すべての国民の権利にかかわる重大な問題} 
志位 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。
今日は、限られた時間なので、生活保護の問題について質問します。
今年は、5年に1度の生活扶助基準の見直しの年となっていますが、安倍政権が、最大5%という生活扶助基準引き下げの方針を決めたことに対して、国民の不安と批判が広がっております。
生活保護の問題は、制度を利用している人だけの問題ではありません。今日の日本で、貧困は、特別の事情ではなく、倒産、失業、リストラ、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥っておかしくない状態におかれています。
また、生活扶助基準の引き下げは、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動し、広範な国民の生活に重大な影響を与えます。憲法25条に明記された国民の生存権を保障する最後のセーフティーネットである生活保護のあり方は、すべての国民の権利にかかわる重大な問題であります。

{志位 「貧困ライン」が下がるもとでは、相対的貧困率が低下しても、貧困の実態が改善したとはいえないのではないか  首相 (質問に答えず)子どもの貧困率が大きく改善した  志位 指摘を否定できなかった。低所得世帯では子どもを持つこと自体が困難になっている}
志位 まず総理にうかがいたいのは、今日の日本における貧困の実態をどう認識しているかについてです。
私は、1月25日の(衆院)本会議の代表質問で、安倍政権の5年間で、貧困が悪化したという事実を認めるかどうかをただしました。総理は、2014年の総務省「全国消費実態調査」で、安倍内閣発足後、長期的に上昇傾向にあった相対的貧困率が低下に転じたとのべ、「貧困が悪化したという指摘は当たらない」と答弁されました。まず確認します。「全国消費実態調査」で、総世帯の相対的貧困率がどうなったか。この4回の調査結果について、総務省、数字を示してください。
千野雅人総務省統計局長 お答えいたします。総務省統計局の全国消費実態調査によりますと、相対的貧困率は、平成11年は9・1%、16年は9・5%、21年は10・1%、26年は9・9%となっております。
志位 いま、報告があったように、確かに直近の数字では相対的貧困率はわずかに低下しております。総理は、相対的貧困率が低下したことをもって、貧困が悪化していないといわれるわけですが、はたしてそうか。
相対的貧困率というのは、所得――厳密にいえば等価可処分所得の順に全国民を並べたとき、真ん中にくる人の額を「中央値」とし、その2分の1を「貧困ライン」とし、「貧困ライン」に満たない所得の人の割合であります。一般の国民の所得が下がると「中央値」が下がるので、それに連動して「貧困ライン」も下がることになります。
次は総理にうかがいます。パネルをごらんください(パネル1)。
これは、この間の「貧困ライン」の推移です。「全国消費実態調査」のデータにもとづき総務省に実質ベースの数値を計算してもらいました。1999年は157万円、2004年は151万円、2009年は140万円、2014年は133万円、一貫して下がり続けています。
「貧困ライン」が下がるとどうなるか。これまで「貧困ライン」以下にいた人――貧困に数えられていた人が、これまでと同じ収入・暮らしであっても、「貧困ライン」が下がることによって「貧困ライン」の上にきてしまい、貧困ではないと数えられてしまうことになります。パネルをごらんください。2009年から2014年でいえば、パネルのこの点線で囲まれた部分の人たち――所得133万円から140万円の人たちは、収入や暮らしがよくなって貧困から抜け出したのではありません。収入も暮らしも変わらないけれども、「貧困ライン」が下がったために、貧困ではないと数えられてしまう。すなわち、「貧困ライン」が下がりますと、貧困の実態が変わらなくても、相対的貧困率を押し下げるという効果が働くのであります。
そこで、総理にうかがいます。総理は、相対的貧困率が低下したことをもって、貧困が悪化していないと答弁されました。しかし「貧困ライン」が下がるもとでは、相対的貧困率が低下したとしても、それだけをもって貧困の実態が改善したとはいえないんじゃないですか。端的にお答えください。
安倍首相 実は、相対的貧困率論争というのは、私が出したのではなくて、かつて野党側から安倍政権が進めている経済政策では相対的貧困率がおそらく伸びていくだろうと。安倍政権ではそれはまだとっていなかったんですがね、とっていなかったんですが、そういって私を批判したものですから、では、安倍政権がとったときにそれを見て議論しましょうといったら、これがよくなったものですから、その後、相対的貧困率についての議論というのを挑まれることが実はなくなったという、いままでの経緯をご説明をさせていただきたい(志位「質問に答えてください」)、こう思うわけであります。
念のために申し上げますと、相対的貧困率について、雇用が大きく増加するなど、経済が好転するなかで、低下に転じました。とくに、子どもの相対的貧困率は、2016年に公表された総務省によれば、10年前の9・7、5年前が9・9と上がってきたものが7・9と、2ポイント、これは大きく改善をした。
そこで、実は、相対的貧困率、野党から質問を受けたときに、こちら側のほうから、これは絶対値とは違いますよという反論をさせていただきましたし、いまの中央値のお話も、こちら側からもお話をさせていただいたことがあるんですが、ではなぜ日本で中央値が下がっているかといえば、高齢者の世帯、要するに高齢者が増えてきたことによって、当然、団塊の世代の方々は年金生活者に変わりますから、一人ひとりの収入が落ちてきた。その数が大きくなってきたことによって中央値が下がってきた、このように認識しております。
志位 いま子どもの(相対的)貧困率が下がったことをおっしゃいました。しかし、「貧困ライン」が低くなりすぎた結果、「貧困ライン」以下の世帯では、子どもを持つこと自体が困難になっているという、より深刻な事態が子どもの貧困の場合はあるんですよ。
それから高齢者の世帯の問題もいわれましたけれども、全体として「貧困ライン」が下がった、こういうもとでは、相対的貧困率が下がったことをもって、貧困の改善にはならない。この私の指摘を否定することはできませんでした。

{志位 「貧困ライン」が下がり続けているのは日本だけ。異常な国という自覚はあるか  首相 デフレの影響が非常に大きい  志位 物価を反映した実質値で下がっているではないか}
志位 もう1枚ごらんください(パネル2)。
これは、OECD(経済協力開発機構)のデータから作成したアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、そして日本の「貧困ライン」の2000年から2015年までの推移です。名目値で計算したものです。日本以外のどの国も、「貧困ライン」は大幅に引き上がっている。「貧困ライン」が下がり続けているのは日本だけですよ。高齢化というのは、ある程度、他の国も共通している。しかし、これだけ下がっているのは、日本だけです。
「貧困ライン」が下がり続けているということは、一般の国民の所得が下がり続けているということですよ。雇用がよくなったといいますけれど、安倍政権の5年間で、働く人の実質賃金は15万円、年間で減っているわけです。全体の所得が下がるなかで、「貧困ライン」が下がっている。これは日本だけですよ。総理、この点で、日本は異常な国だ、異常な国になっているという自覚はありますか。
首相 これは、下がっているのは、一つは、デフレが続いておりますから、このデフレの影響というのは非常に大きいんだろうと、こう思うわけであります。それはちょっとさきほどお話もさせていただいたとおりでございます。
また、他の国も高齢化が進んでいるではないかというご指摘がございましたが、日本の高齢化のスピードというのは非常に速いということでございます。まさに団塊の世代が年金世代に入るというなかにおいては、それが顕著であるということでございます。
こうしたなかで、たとえば国民にとってみんなの稼ぎである総雇用者所得をみますと、名目でみても、実質でみても、2015年7月以降、前年比プラスになっておりますし、こうしたなかで2017年の内閣府の調査によれば、1万近くのサンプルをとり、6000以上の回答を得ている非常に大掛かりな調査でございますが、現在の生活に満足と回答したものの割合は73・9%、これは過去最高となっています。そして、所得と収入で満足と回答したものの割合も、平成8年以来、21年ぶりに不満を上回っている。実は、その間、ずっと不満だったんですが、不満を、これは大切な点なんですが、逆転させることができたのではないかと、このように思います。
志位 私は、国民の全体の貧困の問題について論じている。
そして、デフレだと、日本はデフレだから(「貧困ライン」が)下がったんだとおっしゃった。しかし、さきほど、パネル(パネル1)を見せたじゃないですか。あれは実質値ですよ。物価上昇あるいは下落を反映した実質値で日本は「貧困ライン」が下がり続けている。さっき見せたじゃないですか。

{志位 所得が最も少ない10%の層の実質所得が下がり続けている。貧困の悪化を認めよ  首相 (質問に答えず、関係のない数値を答弁)  志位 都合のよい数字だけを宣伝し、深刻な実態を見ようとしない、そんな姿勢からはまともな政策は出てこない}
志位 次に進みたいと思うんですが、もう1枚パネルをごらんください(パネル3)。
では実態を見てください。貧困の実態を見るうえでは、貧困層の所得そのものがどうなっているかを見ることが、たいへん重要になります。
これは、所得が最も少ない10%の層――第1・十分位の上限値の所得がどう変化したかのグラフです。総務省「全国消費実態調査」のデータをもとに、総務省に実質ベースの数値を計算してもらいました。これは実質値です。所得が最も少ない10%の層の所得は、1999年は162万円、2004年は154万円、2009年は140万円、そして安倍政権になっての2014年は134万円と、下がり続けています。これが貧困の実態を反映した数字ですよ。
総理にうかがいます。安倍政権のもとで貧困は改善した、この認識をあらためてください。貧困の実態が悪化しているという事実を、きちんと正面から認めるべきじゃありませんか。いかがでしょう、総理。
加藤厚生労働相 さきほど、中央値のお話があったんですけれども、最初のやつだったと思いますけど、この等価可処分所得なんですが、これは、1人当たりの可処分所得が変化するのと、世帯人員が変化するのと両方の影響を受けるわけであります。とくに世帯人員の場合には、たとえば夫婦お二人100万円ずつだとしますと、世帯収入全体は200万なんですが、これを2で割るんではなくて、ルート2、1・4で割ります。したがって、夫婦ご一緒だったらそれぞれ100万なんだけれど、1人が141万、これがお一人が亡くなって100万になったら100万になっちゃうという、こういう世帯が小さくなることに伴う影響もそこに出てきている。
実際、私どもの厚労省とさきほどのは総務省なので、ちょっと時間が違うんですけれども、2012年と2015年をみるかぎりは、1人当たりの可処分所得というものの低下がですね、ずっときたものが止まって、やや上昇に転じている、こういったことも指摘できるんじゃないかと思います。
志位 12年と15年の数値で(可処分所得が)上昇に転じているということが言われましたが、これは別の調査(国民生活基礎調査)だと思うんですが、(上昇に転じたのは)名目値です。実質値ではマイナスです。実質値では、直近の3年間でマイナスになっているのです。
それから、等価可処分所得で比較するのはおかしいというお話がありましたけれども、貧困をはかる物差しとしては、等価可処分所得、すなわち家族の人数で調整された可処分所得を使うのが国際標準なんですよ。だから日本政府もそれで貧困の問題を議論している。
総理、お答えください。これは明らかですよ。等価可処分所得で見た場合に、あなたの内閣になってからも、最も所得が少ない10%の層の所得が落ち込んでいるんです。貧困が改善したとはいえない。悪化したという事実を正面から認めていただきたい。
首相 悪化はしていないと思います。これは何回も申し上げているわけでありますが、たとえば、最低賃金にしても、これは低所得者のみなさんにとっては大変効くわけでありますが、安倍政権になる前の10年間、民主党政権とその前の7年間の自民党政権を足し込んだ10年間、10年間でやっと86円上がったわけであります。しかし、安倍政権は5年間で100円上げているんです。時給ですね。そういう意味においては、相当これは、低所得者のみなさんにとって、もちろんパートのみなさんにとっては過去最高の収入になっていますが、そうしたものは伸びているということであります。
そこで、ご指摘の等価可処分所得の中央値でありますが、これはさきほど来申し上げておりますように、高齢者の増加等にともない、長期的に低下傾向にある、長期的にずっと下がっているわけでありまして、これは安倍政権になって急に下がったわけではなくて、いわば、高齢化が進むなかにおいて、さきほど厚労大臣からも答弁をさせていただいたわけであります。
しかし、こうしたなかで、アベノミクスのもとで、われわれが進めてきた経済政策を進めてきた結果、相対的貧困率は改善に転じているわけでありますし、子どもの相対的貧困率はさきほど申し上げたとおりでございまして、さらにしっかりと、われわれ、いまの経済政策を進めることによって、さらに、たとえば最低賃金についても1000円を超えていきたいと、こう考えているところでございます。
志位 所得の少ない高齢者が増えたからだと繰り返されるんですけれども、もう一つ、政府の統計を使いますと、(等価可処分所得でなく)1人当たりの可処分所得をみても、この直近の5年間では(所得の最も少ない10%の層の所得は)実質でマイナスになっているんです。だから、どの指標を見てもマイナスなんです。ですから、高齢者世帯が増えたということだけで説明できるものじゃないんですよ。
そして、最低賃金のことを言われたけれど、その最低賃金の効果も含めて、この数字(パネルで示した数字)が出ているんです。
こう議論しますと、総理は、自分に都合のよい数字だけを宣伝し、深刻な実態を見ようとしない。そんな姿勢からは、私は、まともな政策は出てこないと思いますよ。安倍政権のもとで、所得が最も少ない10%の層の実質所得が減り続けている、貧困の実態が悪化している。この事実を正面から捉えてこそ、まともな政策が出てくると思います。

{志位 生活扶助見直しは、誰がどう見ても、全体として引き下げるものとなっている  首相 (「全体として引き下げるものではない」と繰り返す)  志位 切り下げを押し付けながら、痛みを感じていないのは大問題だ}
志位 次に今回の政府の生活扶助基準の見直しの方針についてうかがいます。
総理は、本会議での私の質問に対する答弁で、「今回の見直しでは、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに、一般低所得世帯の消費の実態と生活保護基準額との乖離(かいり)を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じる」「モデル世帯、夫婦子1人世帯では、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではない」――「全体として引き下げるものではない」、こう答弁されたんです。
パネルをごらんください(パネル4)。これが今回の政府の生活扶助(基準)見直しの全体像であります。データはすべて厚生労働省の説明資料のものであります。
総理は、「上がる世帯、下がる世帯が生じる」と言われましたが、生活保護を利用している世帯で、生活扶助費が上がる世帯は26%、変わらない世帯は8%、下がる世帯は67%ですよ。7割近くの世帯で生活扶助基準が引き下げられることになります。
生活扶助費は、最大5%、平均1・8%削減される。生活扶助費総額は、年間210億円、国費分で160億円削減される。
総理は、この見直しを、「全体として引き下げるものではない」というんでしょうか。誰がどう見たって、全体として引き下げるものになっているじゃないですか。明らかじゃないですか。総理どうですか。総理の答弁なんだから、総理答えなさい。
厚生労働相 これまでもご説明させていただいているんですけれども、この生活扶助の考え方というのは、今回の場合、一般の低所得世帯の消費の実態と見比べながら決めていくわけであります。その上で、モデル世帯、夫婦子1人世帯でこれを比較する。そしてその結果として一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準がおおむね均衡しているということであります。
それから、一般低所得世帯というのをどうやって選ぶかというときにも、そこにおける、たとえば、だんだんだんだん所得が減ってきますと急に消費が減る、いわゆる変曲点というんですが、そういったところ、あるいは消費のなかに占める固定経費の割合、ここが変わる、こういうのをみながら、どこを対象にすべきかというのを判断をし、そしていま申し上げた10分の1の低所得世帯を選び、そしてそれと現行とを比較して判断をした結果として、いま均衡している。したがって、全体は動かしていない。
しかし、給地別とか、それから世帯別とか、年齢別というのがございます。それを一つひとつ見ると、たとえば級地別を見ると、これまでも指摘をされていたんですけれども、たとえば東京と地方とを比べると、東京のほうが高くて、地方が低いということで、かなり機械的にやってきたんですが、実態を見ると、かならずしもそうではなくて、やはり地方のほうも高い、あるいは都会のほうがそれほどでもない、そこを是正したというのが今回の個々の見直しと、こういうことであります。
志位 要するに「モデル世帯」(夫婦子1人世帯)をあなた方が選んで、そこでは「一般低所得世帯」と「均衡」していたと。しかしそれにいろんな数値をかけ、指数をかけていった。その結果がこれじゃないですか。その結果、全体の世帯で見たら210億円の削減ですよ。これを、「全体として引き下げるものではない」というのかと。まぎれもなく引き下げじゃないですか。
総理、今度は答えてください。総理が言ったんだから。「全体として引き下げるものではない」と。それを言うんですか、この数字を見て。この数字に間違っているところがあるんですか。
首相 いま基本的には加藤厚労大臣から答弁したとおりでありますが、いつもそうなんですが、今般の検証では、生活扶助基準について年齢・世帯人員・地域を組み合わせた世帯特性によって、一般の低所得世帯の消費の実態より生活扶助基準額が高い場合と低い場合の双方があると確認されたわけです。これは加藤大臣から答弁した通りでありますが。
今回、実態と乖離のある基準を世帯類型ごとに是正したため、その結果、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じています。そのうえで、モデル世帯は夫婦子1人の世帯でありますが、比較しますと一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、ですから私が本会議で答弁した通り、生活扶助基準を全体として引き下げるものではないと、このように申し上げさせていただいた通りであります。
志位 この数字に、どこか間違いがあるのかと聞いたのに対して、お答えがありません。これは間違いないんですよ。こういうのを全体として引き下げるというんです。
しかも今回の引き下げというのは、2013年の最大10%、平均6・5%、総額890億円の削減に続く連続引き下げになります。2回の引き下げを合わせると、総額で1100億円もの引き下げになります。圧倒的多数の生活保護世帯が削減となります。こういう切り下げを押し付けながら痛みを感じていない。あなた方は、痛みを感じていない。これは私は、大問題と言わなければなりません。

{志位 現在の生活扶助基準は、健康で文化的な生活と言える水準になっているか首相 専門家による科学的な分析で検証している  志位 具体的な例をあげてただしたのに、まともな答えがない}
志位 次に進んでいきたいと思います。
今回の政府の生活扶助基準の見直しの最大の問題点は、「一般低所得世帯」――所得が最も少ない10%の層に合わせて、生活扶助基準を引き下げるという方針になっていることにあります。
まず、現在の生活扶助基準が憲法25条が保障する健康で文化的な生活と言える水準になっているか。総理に基本認識をうかがいたいと思います。
私は、先日、千葉県で、生活保護を利用して、高校生、中学生、小学生3人、5人のお子さんを育てているシングルマザーの方から直接、お話をうかがいました。
「生活保護を利用するようになって、子どもたちの給食費が毎月きちんと納められるようになったのがうれしかった。子どもたちが持っている能力を最大限発揮させて、社会の役に立つ人になってほしいと願っている」と話されていましたが、生活の実態は本当に大変であります。こういうお話でした。
「買い物は値段が下がるまで待って行きます。食パンは8枚切りで98円が49円と必ず半額になってから買います。品物ごとに安売りの底値が頭に入っていて、底値以上の値段のものは食べてはいけないと思っています。子どもに食べさせるのが最優先で、私は、子どもたちが食べた後で残りがあったら食べるという程度です。
お風呂は冬場に週1回沸かすだけで、あとは水シャワー。お風呂は絶対に1人で入らず、まとまって短時間ですませています。
テレビも、炊飯器も、掃除機も、冷蔵庫も、壊れてしまい、買い替えることができません。冷蔵庫だけは夏までに何とかしなければと悩んでいます」
総理にうかがいます。こうした生活が、憲法25条が保障する健康で文化的な生活と言えますか。ご認識をうかがいたい。総理どうですか。(厚生労働大臣が答弁に立とうとする)総理に聞いているんです。総理の認識です。あなたはいいですよ。総理に聞いている。
厚生労働相 いま個々具体的なお話を、人はそれぞれいろいろな事情を抱えている方がいらっしゃると思います。そういうなかで、いまお話があった生活保護法のなかで、この法律による保障される最低限な生活が、健康で文化的な生活を維持することができるものでなければならないと、こういう規定がございます。それを踏まえて私どもはさきほど申し上げたような形で現状の水準までそれぞれの世帯にとって最低限の生活をするために必要かどうかを科学的に専門的に分析して検証させていただいていると、こういうことであります。
志位 私は、総理に聞いています。
実際に、こういう生活を余儀なくされている方がいて、それが健康で文化的な生活といえるかどうかの認識を聞いています。答えてください。総理です。
首相 たとえば、今回、一般低所得、これは消費水準に合わせて、一般の、生活保護ではない方々の消費水準と合わせて、ここで均衡とならなければならないのは事実であろうと、このように思います。
生活保護ではなくて、普通に生活をしておられる低所得の方々の消費水準と、この低所得の方々の生活保護を受けている方々の消費水準が逆転をしてはならないわけですから、さきほど加藤大臣から答弁をしたように、専門家による科学的な分析をした結果、今回こういうことを、こういう対応をとったわけであります。
ですから全体ではなくて、その対象ごとにこれは決定をしていくわけでございますが、そこでですね、おそらく共産党としてはそれは消費水準が低下したためではないかというご指摘があるかもしれませんが、それは……。
志位 聞いてないことを答えないで。
首相 いや、ちょっと先の話をお答えさせていただこうかと思ったんですが……。
志位 聞いていないことを答えなくていい。時間がもったいないから。
首相 分かりました。いずれにせよ、結論から言えば、消費水準は減少はしていないということを申し上げておきたいと思います。
志位 私は、具体的な例をあげて、これが健康で文化的かと聞いたんですが、まともなお答えがない。そして、「一般低所得世帯」との「均衡」「均衡」とおっしゃる。

{志位 生活扶助基準を「一般低所得世帯」に合わせて引き下げたら、つらくて惨めな生活に引きずり戻すことになる  首相 子どもに対する加算などを行う  志位 「一般低所得世帯」が生活扶助基準以下なら、やるべきは生活保護削減でなく、「一般低所得世帯」への支援だ}
志位 現在の生活扶助基準でも、憲法25条が保障する健康で文化的な水準とは到底言えません。それを「一般低所得世帯」――所得が最も少ない10%の層に合わせてさらに引き下げたら、どういう事態が生まれるか。
もう一人、具体的なお話をしたいと思います。大阪府で、中学生、小学生の2人の子どもを育てているシングルマザーの方の訴えを紹介したいと思います。先日、「反貧困ネットワーク大阪」などが主催した集会での発言です。紹介します。よくお聞きください。
「今回の政府案が通ってしまうと、私の世帯は引き下げ率が高い世帯となってしまいます。引き下げの理由は、『一般低所得世帯』と比べた時、私たちの支出額の方が上回ったからだと聞きました。でも私はここは大変疑問に思うところです。
生活保護が受けられるようになる前、つまり今回で言うところの『一般低所得世帯』であった頃の私たちの生活は、とてもとても厳しいものでした。
私は、今より8キロ以上痩せていました。子どもたちを食べさせるために自分はあまり食べずにいました。生活に対する不安感が強すぎて感覚が鈍くなっているのか、外に出ているときはおなかがすいているのに、家に帰って子どもたちを目の前にするとその感覚を失うのです。貧しいのは私のせいなのだから私は食べてはダメ、という強迫に近い感情が、そこにはありました。
お風呂はお湯の温度をギリギリまで下げてお湯をため、シャワーは使わず、3人一緒に入っていました。お風呂からあがる時は、浴槽の中にはずいぶんと冷めたわずかなお湯が残っているだけ。当時、子どもたちは『寒い、寒い』と言いながら、大急ぎで体を拭いていました。
室内の電気も暗くなるギリギリまでつけず、子どもたちを早く寝かせて私も電気を消して早々と布団に入っていました。夜、テレビを見ることの楽しみもない夜です。
一番つらかったのは無保険だった期間です。3年間、幼い子どもたちを一度も病院に連れていけませんでした。息をひそめ、薄氷の上を歩いているかのような生活でした。
でもそんな生活は、外側からは見えにくい状態であったと思います。あまりにも恥ずかしい生活なので、周囲には悟られないようにしていました。
『一般低所得世帯』の中には、そんな生活をしている世帯が多く存在しているかもしれません。国には、そんな生活が人として健全な暮らしであるかどうか、目を向けていただきたい。本当に必要な対策は、生活保護費を下げることではなく、保護受給世帯や低所得世帯の生活実態を把握して考えていくことではないでしょうか。
つらくて惨めな生活は、生活保護を受けるようになってから天国のようになりました。子どもたちに食べさせてあげられる安心感、それは母親としてとても幸せなことでした。私には、国が神様のように見えました。心から感謝しました。
そして思ったことは『この負の連鎖を断ち切りたい。子どもたちを心も体も丈夫な子に育てよう。それが助けていただいた国に対して私のできる恩返しなんだ』――そう思って今を生きています。
ただ、今回の引き下げが決定したとき、『今度はどこを削って生活しよう』と。光熱費も食費も今が限界です。子どもたちの将来かかってくる学費や、今現在使っている塾代を削る。そこしかありません。本当は感謝したい国に対して、反対意見を出すということがとても悲しいです。どうか親子ともに自立しようと思う気持ちを折らないでください」
こういう訴えであります。
総理にうかがいます。(政府は)生活扶助基準を「一般低所得世帯」に均衡させる、こちらが低かったらそれに合わせて引き下げようという。それはこの母子家庭を、かつて置かれていた生活扶助基準にすら満たないつらくて惨めな生活に、引きずり戻すということではありませんか。総理お答えください。総理の認識を聞いている。
厚生労働相 今のお話を聞かせていただきながら、生活保護は生活に困窮する方に健康で文化的で最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットですから、それをしっかり活用すべき人は活用していただく、それが大事なことなんだろうと、おっしゃっておられたのだと思います。そのうえで生活保護基準でありますが、現在の生活保護法の8条で「保護は、厚生労働大臣の定める基準のうち要保護者の需要をもととしたもののうち、そのものの金銭又は物品ができない不足の限度をもとに行うものとする。前項の基準は要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した、最低限度の生活を満たすに十分なものであって、かつこれを超えないものでなければならない」。こう書いてあるわけであります。この観点にそってさきほど申し上げたような検証を専門家の方々にしてもらいながら、今回の見直しをさせていただいている、そうしたことであります。
志位 総理に聞いております。このお母さんの訴えというのは、「一般低所得世帯」にあわせて、「均衡」ということで生活扶助費を引き下げるのはおかしいじゃないか、そんなやり方はないじゃないか、そういう訴えなんですよ。総理いかがですか。
首相 そこで、さきほど、一般の低所得世帯の消費支出の推移を見ますと、平成21年は13万1500円だったものが、平成26年は13万6600円と、5100円、3・9%増加しているわけでありますから、ここが下がったから、生活保護世帯が世帯属性等で同じように下げられるわけではない、と申し上げておきたい。これは夫婦子1人の世帯でありますが。
と同時に、私どもとしては、厚労大臣が申し上げたように、子どもがいる世帯については、母子加算の見直しは行いますが、児童養育加算の給付対象者を高校生に拡大します。また約6割では基準が増額となる見込みであります。例えば、地方に暮らす、母1人、中学生と高校生の子ども2人の母子世帯の場合は、年額で11万1000円の増額となるわけでございますし、さらに、大学進学等への進学準備金として自宅から通学の場合は10万円、自宅外から通学の場合は30万円の給付を創設します。また自宅から大学等に通学する場合、行っていた住宅扶助費の減額を取りやめるなど生活保護世帯の子どもに対する支援を強化していきたい、こういうメニューがあることもテレビを通じて知っていただきたい、活用していただきたいと思います。
志位 私が聞いたのは、このお母さんが、「一般低所得世帯」の水準に合わせて生活扶助基準を引き下げるのはおかしいじゃないかという、この声なんですよ。まったくお答えになっていない。
子どもに対する手厚い手当てやっているんだとお答えになった。母子加算は2割カットじゃないですか。児童養育加算ということもおっしゃった。たしかに高校生には拡大するかもしれない、でも3歳未満には5000円カットじゃないですか。そして、このケースで言えば、小学校と中学校ですから児童養育加算はまったく増えません。この世帯の場合は、(政府の見直しで)扶助費は年間10万円下がるんです。
これが実態なんですよ。そもそも生活扶助基準とは、憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をおくるために、「これ以上の貧困があってはならない」という最低ラインを定めた基準です。「一般低所得世帯」の方が、そちらの生活水準がより低いというなら、あるいは「均衡」がとれていないというのであるなら、やるべきことは、生活扶助基準を引き下げるのでなく、「一般低所得世帯」の支援であり、それこそが憲法25条に基づく政治の責務だ、ということを強く訴えたいと思います。

{志位 低すぎる生活保護の捕捉率 ――“利用率”の調査を定期的に実施しているか  厚生労働相 (この7年間)推計している結果はない  志位 系統的に調査すれば“利用率”の動向がつかめるはずだ}
志位 次に進みます。
なぜ「一般低所得世帯」――所得が最も少ない10%の層の生活水準が、これほどまでに困窮した状態に置かれているのか。
その原因の一つとして、生活保護の捕捉率――生活保護を利用する資格のある人のうち、実際に利用している人の割合――が、2割程度にとどまっているという問題があります。大問題です。現在の生活保護の利用者数は約213万人ですが、その背後には数百万人の単位で利用できていない生活困窮者が存在している。
捕捉率の実態はどのようなものか。
私は、ここに持ってまいりましたが、厚生労働省は、民主党政権時代の2010年4月に、「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」という報告書を出しております。パネルをごらんください(パネル5)。
それによりますと、「生活保護基準未満の低所得世帯数に対する被保護世帯数の割合」、つまり“生活保護利用率”は、「所得のみ」で推計した場合には15・3%、「資産を考慮」して推計した場合で32・1%、こういう数字が出ております。たいへんに低い“利用率”であります。
この報告書では、この結果について、最後にこう述べております。「現状把握の指標として捉えるべき一つの数値が明らかになった」、「今回と同様の調査を定期的に実施し、その動向を把握していく」。
今度は、厚生労働大臣です。この7年間、定期的に動向を把握するための調査をやりましたか、やったかやらないか、それだけでいいです。長い答弁はいりません。やったかやらないか。
厚生労働相 今のやつは、一つの数字をお出しになっているんで、全国(消費)実態調査でいきますと、所得のみの場合が29・6、資産を考慮すれば87・4ということで、(調査によって)非常に数値にばらつきがあって、なかなかこれを取るには至らないという、たしかそういう議論になっていたというふうに承知をしているところであります。
そして実際にそれぞれを推計するにしても、その方の所得のみならず、もちろん(申請の)意思がございます。稼得能力、資産、それらを全体的に把握しなければ、なかなかその方が生活保護の対象となるかどうか判断し得ないということで、そうしたことの推計というのは非常に難しいというのが今の現状でございます。
志位 だから、調査はやったんですか。この7年間、やったかどうか聞いているんです。やったかどうか、それだけですよ。
厚生労働相 この間には、その時以降、推計をしている結果はございません。
志位 調査をやってないわけですよ。
いま、いろんなこと言われました。(調査のもとになった)「全国消費実態調査」、あるいは「国民生活基礎調査」、この間にはばらつきがある。確かにそうですよ、統計によっていろんな幅がある。
しかし、その全体を、系統的に動向調査していけば、“利用率”の全体がどうなっているか、それをつかめるはずです。だからこそあなた方は、引き続き調査をすると2010年に約束した。これは民主党政権の時代です。民主党政権はいいことをやっているんです。この点では評価したいと思います。自民党(政権)になって、まったくやってない、これは本当に理由になりませんよ。いろんなばらつきがあったら、それも含めて全部調査したらいいじゃないですか。

{志位 “生活保護は恥”=「スティグマ」の解消のためにどんな措置をとったか   厚生労働相 偏見をなくしていくことは重要だ}
志位 もう一点うかがいます。
日本の生活保護の捕捉率は、専門の研究者の推計で、だいたい2割程度にとどまっていると言われています。諸外国に比べてもきわめて低い。なぜこんなに低いのか。専門の研究者、支援団体の方々にうかがいますと、共通して「三つの原因」を指摘しておられます。
第一に、「スティグマ」といわれる“生活保護は恥だ”という意識や、生活保護に対する「バッシング」から、生活保護を申請することをためらってしまう。
第二は、自分が生活保護を利用できることを知らない方が多い。年金があったらダメ、働いていたらダメ、持ち家があったらダメなどと誤解している方が多い。これは制度の周知不足が招いていることであります。
第三に、勇気をもって役所の窓口に行っても、間違った説明で追い返される。いわゆる「水際作戦」が依然として横行していることであります。
この「三つの原因」のそれぞれに対して対策が必要ですが、第一にあげた「スティグマ」と言われる“生活保護は恥”だという意識や生活保護「バッシング」をなくしていくことは、たいへん重要な課題だと思います。
さきほど、私は、千葉県の5人の子どもさんを育てているシングルマザーの方からお聞きした話を紹介いたしました。この方は、生活保護を自分が利用するかどうか考えたさいに、「恥ずかしいという思いがものすごくあった。親友に相談してみたら『生活保護を受けてのんきに暮らすつもりなの。恥ずかしい』と言われて大変ショックだった」ということをおっしゃっておられました。(この方はまだ)なかなか働くことができない、病気がまだ癒える段階なんですね。
2013年、国連の社会権規約委員会は、日本政府に対して次のような勧告を行っています。総理にお聞きします。
「委員会は……、締約国に対して、公的福祉給付――生活保護のことですが――の申請手続きを簡素化し、申請が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう求める。委員会はさらに、公的福祉給付に付随したスティグマ――恥の意識――を解消する目的で、締約国が国民の教育を行うよう勧告する」
政府は、この勧告を受けて、どのような措置をとったんですか。
厚生労働相 その前に、生活保護の最近の動向は、平成21年から27年に比べて、利用者世帯数で言えば、127万が163万ということで増加をしていると、こういう状況にあるということはまず申し上げておきたいというふうに思います。
そのうえで、さきほど申し上げましたが、生活保護、まさに最後のセーフティーネットであります。生活保護を受給することへの偏見をなくして、本当に真に保護を必要な方、確実に保護を利用、適用することが重要であります。実際、生活保護の窓口では、きめこまかな面接・相談を行うとともに、生存があやぶまれるような窮迫した状況の場合は、申請をせずとも保護を行う、こういうこともさせていただいております。また一般の住民の方にも制度を周知し、厚労省のホームページにものせておりますけれども、また民生委員等と連携して生活困窮者の発見に努めるように福祉事務所の取り組みもまた促しているところです。また生活困窮者自立支援制度、その入り口といいますか、そこにおける窓口においても生活保護が必要な方を把握した場合には、こうした生活保護の窓口につないで適切な支援に結び付けていく、こういった形で対応させていただいているところであります。
志位 私は、国連の勧告に対してどういう措置を講じたかということを聞いたんです。答弁がありませんでした。きちんと(制度を)つかえるようにしているとおっしゃいますけどね、捕捉率がたいへんに低い。これが実態なんですよ。

{志位 生活保護の利用は、国民の正当な権利だと表明してほしい  首相 偏見をなくし、保護を必要とする方には確実に保護を適用する}
志位 総理にここで一つ提起したい。
「スティグマ」と言われる“生活保護は恥”という意識をなくしていくことの重要性は、あなたも認めるところだろうと思います。総理の口から、ぜひ、「生活保護を利用することは決して恥ずかしいことではない、憲法25条にもとづく国民の正当な権利だ」ということを、国会のこの場で表明していただきたい。どうですか。
首相 生活保護制度は、生活に困窮する方に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットであります。このため本人からの申請を待つばかりではなく、住民に対する制度の周知や民生委員等々と連携して、生活に困窮している者の発見等を努めるよう、福祉事務所の取り組みをうながすなど、生活保護が必要な方が適切に支援を受けられるようにしているところであります。生活保護を受給することへの偏見をなくし、保護を必要とする方は、確実に保護を適用という方針のもと、適正な運用に取り組んでいく考えであります。
志位 正当な国民の権利であるということをお認めになりますね。一言でいいです。総理、正当な国民の権利だということをお認めになりますね。(首相は答弁に立たず、厚労大臣が立とうとする)。いいですよ。もう時間がないんだから、あなたはいい。総理答えてください。
厚生労働相 さきほど申し上げたように、生活保護を受給することへの偏見をなくして、真に保護を必要とする方に確実に保護を適用することが重要で、ということでありますから、これは適用する側でありますから、当然、利用される方はそうした生活保護が必要な方は、こうした制度を利用していただく、これは当然のことだと思います。

{志位 生活保護を使いやすくする緊急提案――真剣に検討を求める  首相 国会でご審議をいただければと思う  志位 政府として検討することを求める}
志位 今日るる申し上げてきたように、今回の政府の生活扶助削減の方針は、まったく道理のないものです。生活扶助削減の方針を撤回し、2013年の削減前の水準に戻すことを強く要求します。
そのうえで提案があります。
貧困打開のためには、最低賃金の引き上げ、年金の底上げ、非正規社員の正社員化、男女の賃金格差の是正など総合的対策が必要ですが、それらと一体に、生活保護法の改正が緊急に必要だと思います。すでに日本弁護士連合会などが具体的提案を行っていますが、それらも踏まえ、日本共産党として、生活保護を使いやすくするための緊急提案として、次の柱からなる生活保護法の改正を提案したいと思います。
パネルをごらんください(パネル6)。
第一は、法律の名称を「生活保障法」に変える。これによって「スティグマ」をなくしていく。
第二は、国民の権利であることを明らかにし、制度の広報・周知を法律で義務づける。
第三は、申請権を侵害してはならないことを明記し、「水際作戦」を法をもって根絶する。
第四は、定期的に、捕捉率を調査・公表し、捕捉率の向上に努める。
以上、四つの柱ですが、総理に真剣な検討を求めたいと思います。検討していただけますね。
首相 それは議員としてのご提案でございますから、国会においてご審議いただければと思います。
志位 政府に検討を求めております。さきほど生活保護がきちんと受給できるように、きちんとやっていると(答弁した)。やっているんだったら、法律に明記することに何の障害もないわけです。いかがですか。政府として検討してください。
首相 いずれにせよわれわれは、先ほど加藤大臣からも答弁させていただいたように、適切にこの現行法を運用していかなければならないと考えております。
志位 これで終わりますが、憲法25条の生存権がすべての日本国民にきちんと保障される、そういう社会をつくるために、全力をあげる決意を申し上げて質問を終わります。
(パネル1−6は省略)

  

   


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