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【17.12.23】 自民の改憲案の論点整理から

毎日社説 自民が改憲案の論点整理 重層的な掘り下げが必要

自民党が10月の衆院選公約に盛り込んだ憲法改正の4項目について論点整理を発表した。
安倍首相が5月に提起した「自衛隊の明記」に関しては、憲法9条1、2項を維持したうえで自衛隊の規定を加える首相案と、第2項を削除して自衛隊の目的・性格を明確化する案の両論併記となった。
9条2項は「陸海空軍その他の戦力」を保持しないと定めた条文だ。それを削除して自衛隊を明記すれば事実上、軍隊の位置づけとなる。
自民党が2012年にまとめた改憲草案も第2項を削除して「国防軍」を保持する内容だ。自民本来の主張と言えるが、公明党や野党の同調は見込めず、国民投票にかける前の国会発議すら難しいといえる。それを承知で両論併記としたのは、党内の「ガス抜き」なのだろう。
自民党憲法改正推進本部は首相案で意見集約を図る構えだ。ただし、自衛隊を明記すれば済むというような単純な話ではない。
実力組織を憲法に書き込む場合にはシビリアンコントロール(文民統制)の原則を確認する規定も併せて検討する必要がある。憲法規定の影響を直接受ける自衛隊法などの法体系全体について、重層的に掘り下げた議論が求められる。

大規模災害などの「緊急事態対応」については、国会議員の任期延長を可能とする案のみならず、「政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項」案も併記された。
非常時に衆院解散などで国会が機能しない状況を避けるための議論から、国家権力を強化する方向へ対象を広げる意図が感じられる。

残る「参院の合区解消」「教育の充実」の2項目も議論は生煮えだ。参院議員の改選時に都道府県から1人以上を選出する規定を設けるというが、参院のあり方など統治機構を見直す議論が欠けている。
自民党は各党に具体的な提案を呼びかけているが、自民の論点整理は提案できるレベルにはほど遠い。
自民党内からは、来年の通常国会に改憲原案を提出し、秋の臨時国会で発議を目指すという声も聞こえてくる。東京五輪の開かれる2020年を改憲目標とする首相のスケジュールにひきずられ、拙速に進めるようなことがあってはならない。

中日社説 自民論点整理 「改憲ありき」では困る

自民党憲法改正推進本部が提示した改憲4項目に関する論点整理は、改憲を前提としているが、それでいいのか。改憲しなければ本当に対応できないのか。根源的な議論に立ち返るべきである。
論点整理は同本部でのこれまでの検討結果をまとめたもので、10月の衆院選で政権公約の重点項目に掲げた、自衛隊の明記▽教育の無償化・充実強化▽緊急事態対応▽参院の合区解消−の4項目を取り上げている。
焦点の9条については、1、2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する案と、戦力不保持と交戦権の否定を定めた2項を削除して「自衛隊の目的・性格をより明確化する改正を行う」案を併記した。
前者は安倍首相(党総裁)の意向に沿った案、後者は党が野党時代の2012年にまとめた改憲草案に近い内容である。
20日の同本部全体会合では2項維持、削除の両論に割れた。党内で意見集約を図る一方、「各党各会派から具体的な意見・提案があれば真剣に検討する」という。
戦力不保持の2項を削除する9条改憲案に比べると、維持したまま自衛隊を明記する案は、より穏当に見えるかもしれない。それが首相の狙いなのだろう。
しかし、本当に9条改憲が必要な切迫した状況にあるのか。
歴代内閣は、専守防衛に徹する自衛隊は戦力には該当せず、9条の下でも合憲と位置付けてきた。憲法に自衛隊の存在を明記しないことが活動領域や予算の膨張を防ぐ歯止めとなったことも現実だ。
安倍内閣は「集団的自衛権の行使」を一転容認したが、このまま自衛隊を憲法に明記すれば、歴代内閣が違憲としてきた活動が許される存在として、自衛隊を追認することになってしまう。

他の3項目も同様だ。法整備や予算措置の努力を怠り、改憲によって問題を解決しようというのは安易な発想だ。そもそも改憲によって「一票の不平等」を積極的に認め、参院の合区を解消するやり方は、法の下の平等に反する。
憲法に改正手続きが規定されている以上、改憲の議論自体は否定されるべきではないが、現行憲法に著しい不備がないにもかかわらず、改憲に向けた議論を強引に進めるのなら「改憲ありき」との批判は免れまい。
憲法について議論するのなら、そもそも改正が必要なのかという問題意識を常に持つべきだろう。自民党が一方的につくる議論の土俵に、安易に乗ってはならない。

共産党は、自民の改憲論点整理 断じて認められない。

 日本共産党の小池書記局長は22日、国会内での会見で、自民党の憲法改正推進本部がまとめた改憲の論点整理について問われ、「いずれも断じて認められない中身だ。こんなものを発議することなど許されない」と述べました。
 論点整理では憲法9条について戦力不保持を定めた2項を削除する案と2項を維持した上で自衛隊を明記する案が併記されています。
 小池氏は「9条2項を残しても自衛隊の存在を書き込めば、2項は死文化し、海外での無制限の武力行使に道を開く」と指摘。その上で、自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行が「2回目には2項は削る」という9条の「2段階」改憲に言及していることにもふれ、「ねらいははっきりしている。頭隠して尻隠さずだ」と批判しました。
 
 自民党が創設をねらう「緊急事態条項」について、論点整理では「政府への権限集中や私権制限」または「国会議員の任期延長」などを規定すべきとの意見が書き込まれています。
小池氏は「災害対策なら現行法でできる。戦時独裁体制を想定したものに他ならない」と指摘。戦前も戦争に突き進んでいた1941年に国会議員の任期延長法が成立したことにもふれながら、「全体として海外で戦争をする国に向けた改憲だ」と告発しました。
 「教育無償化の話も、いまの憲法には教育の機会均等が明記されている。参院選の合区解消も、1票の格差・投票価値の平等をいうなら、比例代表などの制度にすればいい。改憲なしでもできる話だ。ためにする議論としか思えない」と述べました。

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