活動日誌−活動日誌

【17.10.25】 朝日は「核兵器禁止条約」参加への模索を、中日は「アベノミクス」検証と見直しを

「核兵器禁止条約」 背を向けず参加模索を(朝日)

被爆国に対する国際社会の期待を裏切る行動だ。
日本政府が国連に提出した核兵器廃絶決議案が波紋を呼んでいる。7月に122カ国の賛同で採択された核兵器禁止条約に触れず、核保有国に核軍縮を求める文言も弱くなったためだ。
日本は24年連続で決議案を出しており、昨年は167カ国が賛成した。だが、今回の案には、条約を推進した非核保有国から強い不満の声が出ている。
条約づくりに尽力したNGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN〈アイキャン〉)がノーベル平和賞に決まった際も、外務省が談話を出したのは2日後。「日本のアプローチとは異なる」とし、やはり条約に触れなかった。
条約の意義を改めて確認したい。核兵器を「絶対悪」と位置づけ、「決して使われてはならない」という規範を国際法として打ち立てたことだ。
72年前、米軍が広島、長崎に投下した原爆で、人類は核兵器の圧倒的な非人道性を知った。
だが戦後、米国や旧ソ連をはじめとする大国は「核兵器を持つことで、他国からの攻撃を未然に防ぐ」という核抑止論を持ち出し、核軍拡に走った。
ICANや広島、長崎の被爆者らの努力で生まれた核兵器禁止条約は、非人道性という原点に立ち返り、核抑止論を否定しようとしている。「核兵器のない世界」の実現に向けた着実な一歩であることは確かだ。
この流れになぜ被爆国があらがうのか。
安倍首相は8月に条約への不参加を明言した。河野外相は「北朝鮮や中国が核兵器を放棄する前に核兵器を禁止すれば、抑止力に問題が出る」との見解を表明した。米国の「核の傘」に頼る安全保障政策が、最大のネックになっている。
北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返し、核の傘の役割は増しているとの見方さえある。トランプ米大統領は米国の核戦力を増強する考えを再三表明し、緊張に拍車をかけている。
だが、「核には核を」の悪循環は、偶発的に核が使われる危険性を高めるばかりだ。すぐには困難だとしても、核の傘からの脱却と、条約参加への道筋を真剣に模索するのが、被爆国としての日本の責務だろう。
9月以降、53カ国が条約に署名したが、核保有国や核の傘の下にある国はまだ一つもない。日本が参加の意思を示せば、インパクトは計り知れない。核保有国と非核保有国の橋渡し役を自任するなら、国際社会の多数が支持する条約に背を向け続けるべきではない。

「アベノミクス」 再加速の前に検証せよ(中日)

総選挙に勝利した安倍首相はアベノミクスを再加速させるというが、待ってほしい。物価目標も財政再建目標も達成できず、大企業や富裕層を利して格差を広げる政策を強化していい訳がない。
選挙で勝利が決まるやいなや、早くも来年の通常国会への補正予算案提出が話題に上っている。
ある時は景気拡大が戦後二番目の長さで続いていると喧伝する。またある時は国難だとか、少子高齢化が最大の課題だと危機を煽り、財政出動の必要性を強調する。少子高齢化はもう積年の課題である。ご都合主義も甚だしい。
第一の矢である異次元緩和は、2年で2%の物価上昇を目標とした。だが、もう6回も達成時期を先送りし、いつ実現するか展望できないままだ。
第二の矢の機動的な財政出動は、超低金利ですっかり財政規律が緩み、大盤振る舞いが止まらない。国と地方の借金は1000兆円を軽く超えた。赤子からお年寄りまで国民1人800万円超の借金を背負う状態だ。財政健全化目標だった2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させる国際公約も達成できない。
毎年、看板を付け替える成長戦略も、経済の実力を示す潜在成長率が1%に届かない現状をみれば不発だとわかる。
「成長と財政健全化の両立」をうたったアベノミクスは完全に失速している。再加速させれば、何とかなるとでも思っているのか。
首相は選挙中、正社員の有効求人倍率が一倍を超え、雇用環境が改善したと胸を張った。だが地域差が大きいうえ、高倍率は警備や建築・土木、接客・給仕、介護、トラック運転手など厳しい労働条件の割に待遇が良くない職種だ。
そもそも首相が国難と呼ぶ少子高齢化が人手不足を生み、それが雇用の数字を改善させているだけなのではないか。
企業業績が最高益を記録するのに賃金はほとんど伸びない。金融資産を3000万円以上保有する富裕層の比率が上昇する一方、保有ゼロ世帯は3割を突破した。自らに都合のいい数字ばかり取り出して強調するのではなく、高まる一方の財政や金融のリスクも同時に俎上に載せ検証すべきだ。
格差を放置せず、効果が見込めないアベノミクスには見切りを付け、労働分配率を高めさせたり所得の再分配に力を入れるべきだ。
今のままでは確実に主要先進国に置き去りにされる。再加速よりもまず検証と見直しを求めたい。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)