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【17.09.23】 北朝鮮問題(朝日と中日の違い)

日米首脳の言動

中日は、主にトランプ米大統領の演説を指摘している。
朝日は、安倍首相の演説も引用し、日米首脳の言動は冷静さを欠いていると指摘している。

朝日 対北朝鮮政策 圧力は手段にすぎない 

圧力の連呼で解決できるほど朝鮮半島問題は単純ではない。危機をあおることなく、事態を改善する外交力こそ問われているのに、日米首脳の言動は冷静さを欠いている。
ニューヨークの国連総会での一般討論演説である。各国が北朝鮮を批判し、国際社会として懸念を共有したのは前進だ。
しかし、当事者であるトランプ米大統領と安倍首相の強硬ぶりは突出し、平和的な解決をめざすべき国連外交の場に異様な空気をもたらした。
「米国と同盟国を守らなければならない時、北朝鮮を完全に破壊するほか選択肢はない」(トランプ氏)。「対話による問題解決の試みは、無に帰した」「必要なのは対話ではない。圧力だ」(安倍氏)。
安倍首相は、続く日米韓の首脳会談後も、「最大限の圧力」を記者団に強調した。
確かに今は、北朝鮮への国連制裁を各国が一致して履行すべき時である。核・ミサイルの開発を断じて許容しない警告は、発信し続ける必要がある。
しかし、圧力はあくまで対話に導き出すための手段にすぎない。日本を含む周辺国に甚大な影響をもたらす武力行使の選択肢はありえず、どうやって交渉での沈静化に落着させるかの道筋を練ることが必要だ。
ところが安倍首相からは、そのための重層的な政策がうかがえない。軍事力を誇示するトランプ氏に寄り添い、対話の扉を閉ざすような発言に終始するのは思慮に欠ける。衆院選をにらんで脅威を強調する思惑を詮索されても仕方あるまい。
そもそも北朝鮮問題の流れを顧みれば、事態の悪化の原因を「対話の試み」だけに求めるのは誤りだ。日米韓の対応として圧力一辺倒だったり、あるいは無視を続けたりした時期もあったが、事態は改善しなかった。
圧力と対話の双方を駆使する方策を紡ぎだし、北朝鮮政権と交渉を重ねるしか道はない。
マクロン仏大統領は「売り言葉に買い言葉で圧力を増すのではなく、緊張を緩め、人びとを守らねばならない」と米メディアに語り、交渉を導く努力を呼びかけた。国際社会が求めるのは忍耐を伴う外交努力なのだ。
安倍首相が今すべきは、荒い言動を続ける米大統領と、同胞との対話を求める韓国大統領との橋渡し役を務め、日米韓の結束の強化を図ることだろう。
乱雑な舌戦や一方的な対話拒否を続けるだけでは、打開の糸口はつかめない。国連決議の実行を果たしつつ、交渉の接点を探る知恵が求められている。

中日 北朝鮮と日米韓 軍事衝突防止に総力を 

米国と北朝鮮の指導者による「言葉の戦争」が止まらない。対話がないままでは、東アジアで軍事衝突が起きる恐れがある。日米韓は経済制裁を強めながらも、衝突防止に総力を挙げねばならない。
国連総会の会場で、どよめきが広がった。トランプ米大統領が演説で、核、ミサイル開発を続ける北朝鮮を「ならず者」と非難し、「米国と同盟国の防衛のためには、北朝鮮を完全に破壊する」と述べたからだ。さらに北朝鮮と取引する企業に制裁を科す大統領令にも署名した。事実上の「経済封鎖」を目指すものだ。
金正恩労働党委員長は自身として初の声明を発表し、「史上最高の超強硬措置の断行を慎重に考慮する」と述べた。国連総会に出席中の李容浩外相は記者団から超強硬の意味を聞かれ、おそらく水爆実験を太平洋上で行うのではないかと語った。
トランプ政権の高官らは軍事攻撃から対話まで異なる趣旨の発言をしているが、大統領自身の感情的な言い方が最も危うい。米朝双方が相手の意図と行動を読み誤る危険性が増したと、深刻に受け止めざるを得ない。
ニューヨークでは日米韓の首脳会談が開かれ、北朝鮮に最大限の圧力をかけていくことで一致したが、政策調整の必要性も確認した。文在寅政権が北朝鮮に対する800万ドルの人道支援を打ち出した事に、圧力を優先する日米が疑問を呈した為だ。
北朝鮮と米韓は軍事力を誇示してにらみ合う。もし偶発的な衝突が起き、対応を誤れば本格的な交戦になりかねない。まず韓国と北朝鮮の軍当局間の通信回線を復活させ、緊急時の連絡網を築くことが急務である。
核、ミサイルを議題とする本格的な米朝交渉は現段階では難しいとみられる。しかし、国連代表部を置くニューヨークで高官レベルの接触はできる。双方の考えを正確につかみ誤解を解くためにも必要なことだ。
安倍首相は総会演説で「対話は無に帰した」と断言したが、軍事衝突を防ぐためにも日米韓が結束し、中国とロシアにも働きかけて北朝鮮を交渉の席に着かせる努力が欠かせない。
これまで北朝鮮情勢に比較的関心が薄かった欧州連合(EU)諸国も、ドイツやフランスが対話による解決を呼び掛け、スイスは会談場の提供など仲介をしたいと名乗り出た。困難でも対話の道を探る努力を続けていきたい。

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