活動日誌−活動日誌

【17.08.04】 連日、「NIE(Newspaper In Education)教育に新聞を」が報道されています。

昨日の中日社説が「読み、考え、表現しようNIE」を書いています。

情報であふれ、偽ニュースも飛び交う時代です。そんな中、学校などの教材に新聞が活用されています。子どもたちの期待にも新聞はこたえていかねば。
子どもの学びに新聞を教材として役立てる取り組みを、総じてNIE(エヌ・アイ・イー=教育に新聞を)と呼んでいます。
Newspaper In Education(英語)の頭文字から取った言葉です。
小中高校がNIEの主な舞台ですが、その実践指定校などが成果を報告し合う全国大会が3、4の両日、名古屋市で開かれます。
22回目の今回は、小中学校の新学習指導要領が公表されてから初めての大会で、NIEにとっても重要な意味を持ちます。
米国が始まりだった その点については後でよく考えるとして、まずはNIEの歴史をひも解いてみましょう。
NIEの始まりは、1930年代の米国とされています。
米国は、そもそも移民国家ですが、当時アジアや中米などから、さらに大勢の移民を受け入れ、彼らに英語を覚えてもらうため新聞を活用したそうです。それがやがて、学校の教材になっていったというわけです。
フランスやドイツ、韓国など、今ではヨーロッパやアジアをはじめ、世界の80カ国以上に広がっています。
日本でNIEの導入が提唱されたのは85年、静岡で開かれた「新聞大会」の場が最初でした。
数年後には、学校に新聞を提供する活動が、東京都内の小、中学校でスタートしました。
全国の新聞社と学校とが手を携え、活字文化の発展はもとより、子どもたちの豊かな人間性や社会性を育てたいと、それらの活動を全国に広げていき、ついには、NIEの活動が全都道府県に及んだのでした。
新指導要領より先行 国語や社会など教科の授業や時間外活動で、いろいろな新聞活用をするのがNIEの基本です。
クラスの仲間と新聞を読み比べることも、テーマを決めて集めた記事の切り抜き新聞作りも、記事から討論の主題や主張の素材を探すことも、全部NIE。その方法はさまざまです。
子どもの活字離れや読解力、表現力低下がいわれる中、その改善にNIEは貢献してきました。
東京都の教師を長年務めてきた日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんは、目に見えるかたちの成果をあげます。
「前より教室や職員室、中でも図書館で、新聞が子どもたちに身近な存在になった」と。
さて、先に触れた新しい学習指導要領とNIEの関係についてです。2020年度から学校に順次導入されることになっています。
新指導要領は、物ごとを自分で深く考え、それを言葉で表現する力を高めていく学習に変えてください、と求めています。
実は、その「深く考え、表現する学び」という性格それ自体を、NIEは既に持っているのです。
それどころか、近い将来は、子どもたちの発想から、教師や新聞を提供する新聞記者など、大人も学んでいくことになる。大人と子どもが互いに学び合う関係ができてくるのかもしれません。
もうひとつ。社会に開かれたカリキュラム、との視点も不可欠になってくるでしょう。NIEのあり方は、本来が学校の中にとどまらず、家庭や地域の生涯教育にも通じているからです。
多忙な学校の先生がすべてを背負わず、地域も、家庭も、新聞社(記者)も、みんながともに組んで、でき得るなら、子どもたちとともに情報を選び、表現していくというイメージです。
NIEによって社会で起きている事を知り、考える力がつく。それが「民主主義社会を支え、よりよい市民を育てる」と、多くの国で考えられてきた事実も見逃せません。
優れた新聞切り抜き作品を手がけ、今大会の座談会にも参加する愛知県豊川市の高校生、鈴木杏奈さんが話してくれました。
「小学4年生のときに新聞記者さんに取材を受けた経験があります。そのころから興味を持つようになりました。ネットは便利だけれど、新聞の方が信頼性がある。身近な地域版の記事をよく読んだり、人権問題に関係したニュースに関心があります」
生活の一部になって 鈴木さんの家では、家族で新聞を読むことが、生活の一部になっているそうです。
子どもにとって一冊の本が何かを変えるきっかけになるように、新聞の情報や表現が役に立ち、心を動かす時もあるでしょう。
NIEもそんな存在だと、もっと多くの子どもに気づいてもらえたら。そう、願っています。

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