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【17.08.02】 朝日と毎日が「陸自日報問題」、中日は「森友学園問題」を解説

稲田前防衛相は国会で事実を話すべき。詐欺だけでなく忖度の解明も。

【朝日社説】陸自日報問題 稲田氏まで隠すのか 
 
公開すべき文書を隠し、調査では事実関係を曖昧にして、果ては稲田前防衛相まで覆い隠そうというのか。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報問題で、自民党が、衆院安全保障委員会の閉会中審査への稲田氏の出席を拒否すると民進党に伝えた。
耳を疑う。即刻、これを撤回し、委員会に稲田氏を参考人として招致すべきだ。
「大臣を辞任し、一番重い責任の取り方をした」。自民党の竹下国会対策委員長はそう述べたが、辞任しても国会に呼ばない理由にはならない。
稲田氏はこの問題の直接の責任者であり、虚偽答弁が疑われている。問題を調べた特別防衛監察の結果は国会閉会後の7月末になってようやく公表され、同時に稲田氏が辞任した。
だとすれば、監察結果を国会に報告し、質疑に応じるのが、防衛相の任にあった者としての最低限の責任である。
稲田氏自身、辞任を表明した記者会見で、国会から呼ばれれば出席する姿勢を示していた。安倍首相も「国会から要請があれば政府として協力していくことは当然」と語っていた。
「丁寧な説明」を誓った首相の言葉は「期間限定」だったのか。辞任後も稲田氏をかばい続けているとすれば、この問題に厳しい目を向ける民意を無視していると言うほかない。
真相究明がうやむやでは再発防止策はたてられない。情報公開や文書管理、文民統制をめぐる議論も深める必要がある。
稲田氏の招致を拒否する方針に、野党は「最悪の隠蔽工作だ」と反発している。多くの国民も同じ思いだろう。自民党は批判を真摯に受け止め、隠蔽を重ねるような振る舞いを改めるべきだ。
ところが自民党の姿勢は、全く後ろ向きだ。国防部会では「そもそも日報を公開するべきではなかった」との意見が続出した。情報公開法の開示義務違反と結論づけた監察の判断と正反対で、国民に説明を尽くそうとする態度からはほど遠い。
二階自民党幹事長の発言が、安倍政権下の党の体質を象徴している。
「自民党がいろいろ言われていることは知っている。だけど、そんなことに耳を貸さないで我々は正々堂々頑張らなくてはならない」
国民に向き合わず、誰に対して「正々堂々」なのか。稲田氏を国会に呼び、質疑を通じて問題を解明する。政権与党として当然の務めである。

【毎日社説】PKO日報めぐる国会質疑 筋が通らぬ「稲田氏隠し」 
南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐる国会の閉会中審査で、自民党は稲田前防衛相の出席を拒否した。
防衛省と陸上自衛隊による日報隠蔽の真相解明には疑惑の渦中にある稲田氏の説明が欠かせない。
それを封じるなら自民党の疑惑隠しと言われても仕方ない。
驚くのは、自民党の竹下国会対策委員長が口にした拒否の理由だ。
「稲田氏は辞任という一番重い責任の取り方をした。辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけないと判断した」
これは論理のすり替えだ。
辞任は内閣としてのけじめであり、国会には事実を解明する責任が残る。稲田氏は閣僚を辞めても衆院議員という公職にある。
安倍首相は稲田氏辞任を受け「国会から要請があれば政府として協力する」と述べていた。
しかし、自民党には辞任した閣僚の国会招致を慣例化させたくない思いがあるようだ。
稲田氏の招致を認めれば、関係閣僚の交代も指摘される学校法人「加計学園」問題などに飛び火し、招致の連鎖が起きることを恐れたというのが本音ではないか。
過去には田中真紀子元外相が在職中の職務に関し参考人招致された例がある。だが、問題を抱える閣僚は辞任と引き換えに疑惑を封印するのが常態化しているのが実情だ。
こうした古い政治的な悪弊を断ち、国会が党派を超えて疑惑を解明する姿勢を明確にすべきだ。
稲田氏に聞くべき点は多い。
稲田氏が陸自内に日報データが残っているとの報告を受けたという疑惑について、防衛省の特別防衛監察は稲田氏と陸上幕僚監部幹部との協議で「何らかの発言があった可能性は否定できない」と認定している。
協議があった2月は国会で日報問題が取り上げられた時期だ。陸自内の日報の存否が議論されなかったという方が不自然ではないか。
報告がなければ稲田氏が陸幕に再確認を求めるなど正確な情報を把握する責任があったはずだ。
支持率が急落する安倍政権はあす内閣改造を予定している。しかし、疑惑にふたをしたままで国民の信頼を取り戻せるとは思えない。

【中日社説】籠池夫妻逮捕 「神風」の真相に迫れ 
 「教育勅語」の奉唱など復古調の教育方針を掲げる学校法人を舞台に、どんな「神風」が吹いたのか。検察が前理事長夫妻の逮捕に踏み切った。疑惑の全容を解明すべく、捜査を尽くしてほしい。
大阪市の学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典容疑者と妻諄子容疑者が詐欺の疑いで大阪地検特捜部に逮捕された。
小学校建設に関して金額の異なる三通の契約書を作り、最も高額の契約書を国に提出して補助金をだまし取った、とされる。
事は厳正であるべき公金の支出である。なぜ、行政のチェックが利かなかったのか。学園側と行政の間で重ねられた具体的なやりとりを解明する必要がある。
森友学園の小学校計画をめぐっては、いくつもの「特別扱い」が明らかになっている。その最たるものが国有地の格安売却だ。
建設用地として、財務省は鑑定価格九億五千六百万円の国有地を一億三千四百万円で学園に払い下げた。国は、ごみ撤去費八億円余を差し引いたと説明するが、その経緯ははっきりしていない。
財務省の佐川前理財局長(現国税庁長官)は学園との交渉について、国会答弁などで「記録は既に破棄した」などとし、説明を拒み続けてきた。
一方で、関係者の話から、近畿財務局が学園側との交渉で買い取り可能な金額を尋ね、双方が具体的な数字を出して協議していた疑いも新たに浮上。八億円値引きをめぐる疑惑は深まる一方だ。
多くの国民が注目するのは、小学校の名誉校長を務めていた安倍首相の妻昭恵氏の存在であろう。国有地の交渉に際し、昭恵氏付きの政府職員が財務省に問い合わせていたことも発覚している。契約の成立に向け、官僚が政権の意向を忖度したのか、否か。
逮捕容疑となった補助金問題ばかりでなく、特捜部は、国有地問題についても背任容疑の告発状を受理している。背任の立件には、職員が自己または第三者の利益を図る故意の立証が必要となり、ハードルは高いとされる。だが、不可解な特別扱いをうやむやにしておくことは許されまい。
財務省との交渉進展について、泰典容疑者は三月、国会の証人喚問で「神風が吹いた」と証言している。それで国民の財産たる国有地が格安で売却されてしまうのであれば、とても納税者は納得できまい。検察には、捜査を尽くして「神風」の真相に迫り、疑惑の全容を解明してもらいたい。

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