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【17.07.15】 連合の異常な動き

毎日社説 「成果型労働制」連合が容認 生活と健康を守れるのか

 所得の高い一部の専門職に残業代なしの成果型賃金を適用する「高度プロフェッショナル制度」の導入を連合が容認した。「残業代ゼロ法案」との批判を受けて2年以上も継続審議になっていた労働基準法改正案が成立に向けて動き出す。
政府は、年間104日以上の休日確保を企業に義務づけるなど連合の要請に沿って法案を修正するが、これで労働者の生活と健康が守られるのか疑問だ。今後は専門職以外に適用が広げられる懸念もある。
高度専門職とは年収1075万円以上のコンサルタントや研究開発職などとされている。労働時間規制から外れ、残業代もない。会社から高いレベルの成果を求められれば、いや応なく労働時間は延びるだろう。
政府と連合は企業に「年間104日以上の休日確保かつ、4週間で4日以上の休日取得」を義務づけることなどで合意した。しかし、週休2日にすれば有給休暇を含めずに年間104日になる。これで健康に特段の配慮をしたとは思えない。
適用される年収の基準は省令で定められることになっており、今後対象が拡大される可能性もある。
以前、「ホワイトカラー・エグゼンプション」という残業代なしの制度が議論された際、経営側は「700万円以上」や「400万円以上」を対象とするよう主張した。残業時間が長い割に成果の上がらない中高年の給与削減が狙いなのは明らかだ。制度が導入された後に対象拡大を求めることは容易に予想できる。
労使委員会の決議や本人の同意も必要とされているが、労働組合の組織率は2割を下回る。また、「高度専門職」とはいえ会社の管理下で長年働いてきた労働者が会社の要請をどこまで拒否できるかも疑問だ。
こうした数々の懸念がぬぐえないことから、連合は「成果型労働制」に強く反対してきた。なぜこのタイミングで政府と合意したのか。「(与党多数の)政治状況の中で(健康確保が)不十分なまま改正案が成立するのは耐えられない」と言うが、やはり唐突感は否めない。
秋の臨時国会に提出される労基法改正案の目玉は残業時間規制だ。過労死をなくすための法案に、残業代ゼロの「成果型労働制」を盛り込むのはつじつまが合わない。

しんぶん赤旗が「残業代ゼロ」法案を解説

首相が修正表明したが… “時間規制外し”変わらず
過労死するほど働かせたうえ、残業代を支払う必要性もなくなる「残業代ゼロ」法案(労働基準法改定案)について、安倍首相は13日、連合の神津会長の要請を受けて、制度の骨格は変えないで法案を修正する考えを示しました。安倍首相は秋の臨時国会で法案成立をねらう姿勢を強めています。修正案の中身と「修正劇」の背景をみると。

連合 事実上の容認へ 過労死遺族・組合から批判も
「いまの法案がそのままの形で成立してしまうことは耐えられない。できる限りの是正をしないといけない」。神津氏は要請後、修正を求める方針に転じた理由を記者団にこう釈明しました。
連合は「長時間労働を助長する」として、「導入阻止」を掲げてきました。しかし、安倍首相が、連合も合意した残業時間の上限設定の法案とセットで成立させる考えを示しているため、修正を言い出さざるをえなくなった背景があります。
同法案について労働界は一致して反対。野党4党は廃案を求め労基法改正案の対案を提出しています。これに押されて2年余、審議入りできていません。
加えて安倍内閣は、加計学園疑惑など国政の私物化と憲法破壊の政治に対する国民の批判を浴びて都議選でも惨敗、支持率急落に追い込まれています。
こうした中、修正に転じることには家族を過労死で亡くした遺族や連合の組織内からも批判する声が上がっています。傘下の全国ユニオンは「組合員に対する裏切り行為で、断じて認めるわけにはいかない」とする声明を出しました。

週5日“働かせ放題” 過労死の危険消えず
「残業代ゼロ制度」(法案では、高度プロフェッショナル制度)は、一定の専門職について労働時間規制を外し、残業代も払わなくてすむ制度です。「残業代ゼロ・過労死促進法案」と批判されています。修正によって、欠陥は是正されるのか。
連合が示した修正案では、高度プロフェッショナル制度を導入するさい、「104日の休日」付与を義務付けた上で、四つの「健康管理対策」から一つを選択させるといいます。
しかし、104日の休日とは、週休2日になっても、あとは祝日も盆も正月も関係なく24時間働かせることが可能です。過労死の危険は変わりません。
健康管理対策には「労働時間の上限」がありますが、残業は過労死ラインの月100時間を超えなければよいという緩い水準です。
何時間働いても一定時間しか労働時間と認めない「裁量労働制」を一部の営業職に拡大することについては、「商品販売のみの営業職は対象としない」としています。しかし、これも政府が説明してきたこととほとんど変わりありません。
損保ジャパン日本興亜では、一般営業職にまで脱法的に導入している実態があります。あいまいな規定では歯止めにもなりません。

押し付け狙う安倍政権 撤回求める声強く
会談で安倍首相は「残業代ゼロ法案といったレッテル貼りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたが、本日の提案は建設的なものだ」と歓迎しました。
安倍首相は、19日にも経団連を交えた3者会合で合意した上で、法案を修正。残業時間の上限設定も含めた「働き方改革」関連の統合法案として、秋の臨時国会に提出し成立させたい考えです。
しかし、過労死遺族や労働者、市民、弁護士などから、是正にもならない「修正」で成立させることに反対する声が急速に広がっています。日本労働弁護団は13日、「労働時間法制の根幹を脅かす法案の廃案を求めていく方針に何ら迷いはありません」と表明しました。
日本共産党の小池書記局長はツイッターで12日、「いったいどこが歯止めか」と批判。民進党の大串博志政調会長は「長時間労働の例外をつくるという本質が変わらない限り、賛成するのは難しい」(11日)と述べています。

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