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【17.06.03】 今日の新聞社説は、全てがアメリカの「パリ協定」離脱を批判

環境最先進国・日本の存在感を示すべきである(産経)。今こそ安倍さんの出番です。

1、パリ協定 米離脱でも結束守れ(朝日社説)
「米国第一」の身勝手な振る舞いに、怒りを禁じ得ない。
トランプ米大統領が、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの離脱を表明した。
米国は、二酸化炭素など温室効果ガスの総排出量が、中国に次ぐ世界2位だ。パリ協定は、今世紀後半に世界全体の排出量を森林や海による吸収分以下にする「実質ゼロ」をめざしており、離脱は大きな打撃となる。
温暖化対策に積極的な欧州の主要国や、中国、日本などは米国への失望や協定の維持を表明した。まずは国際社会が結束し、繰り返しトランプ氏に再考を促していかねばならない。
パリ協定合意への長年の交渉では、化石燃料を大量に使いながら経済発展を果たした先進国と、成長の恩恵を十分に受けていない新興国・途上国が、利害対立を乗り越えた。目標や具体策は各国にゆだね、強制力もないが、190を超える国が温室効果ガス削減に取り組むことになった。協定は画期的で、人類共通の財産と言ってよい。
合意を主導した国の一つが米国だったが、トランプ政権はその功績を捨て去ろうとしている。石炭産業などを念頭に、パリ協定が雇用創出の重しになっていると主張しており、国内での支持基盤固めを優先した。
しかし、その米国内でも強い批判が噴出している。
石油関連を含む産業界では、温暖化対策をビジネス機会ととらえる取り組みが既に加速している。離脱は米国への国際的な信頼やリーダーシップを揺るがし、他の政策にも悪影響を及ぼす。トランプ氏はなぜわからないのか。
米国は、温暖化対策で途上国を支援するための国連基金への拠出を停止する考えだ。海面の上昇で国土が水没しそうな島国もあるだけに、対策の遅れをどう防ぐかが当面の課題となる。
さらに心配なのは、地球環境への危機感が目先の自国第一主義に押されて後退することだ。
異常気象による災害や凶作は世界各地で頻発している。米国に振り回されて時間を空費してはならない。日本の政財界には、温暖化対策が一部の産業に逆風になるとして消極的な意見も聞かれるが、対策強化が世界の潮流と見定めるべきだ。
地球温暖化は、人類の将来をにらんだ超長期の課題だ。
一時的に足並みが乱れても、持続可能な地球環境を維持するという目標に向け、着実に前進していく意思を持たねばならない。そして、有効な対策づくりに知恵を絞る努力を続けていきたい。

2、米パリ協定離脱 世界の信頼失う愚かな判断だ(読売社説)
地球温暖化対策をリードすべき責任を投げ出す軽挙である。
トランプ米大統領が、パリ協定からの離脱を表明した。国際社会の結束が問われる問題よりも、石炭産業の復興など、内向きの選挙公約を優先した。
先の主要国首脳会議(タオルミーナ・サミット)で、日独仏などの首脳が残留するよう説得したにもかかわらず、思いとどまらなかった。自由貿易や対露政策を巡り、米欧間には溝がある。亀裂がさらに広がるのは避けられまい。
英国のメイ首相は、トランプ氏との電話会談で「失望した」と非難した。メルケル独首相もツイッターを通じて「決定を残念に思う」と述べた。当然の反応だ。
温暖化対策で最も重要なのは、世界全体の排出量を減らすための国際協調である。全排出国が参加したパリ協定は、それを具体化した枠組みだ。山本環境相が「人類の英知に背を向けた」と指摘したのは、もっともである。
中国に次ぐ排出国の米国は、京都議定書からも2001年に離脱している。トランプ氏は、今回の愚かな判断が米国の信頼を失墜させ、国際的な指導力を低下させる現実を認識せねばならない。
トランプ氏は離脱の理由として、「米国の競争力をそぐ不公平なルールだ」と主張している。的外れと言うほかない。
先進国のみに削減義務を課した京都議定書に対し、16年に発効したパリ協定では、各国が削減目標を自主的に決める。他国との比較で「不公平」になることは、仕組みの上からあり得ない。
トランプ氏は、地球温暖化に懐疑的だ。「中国のでっち上げだ」とさえ発言したことがある。地球温暖化は、人間の活動を原因として進行している、という科学的な結論を全く無視している。
温暖化対策は経済成長に逆行する、との古い考え方にとらわれているのも問題である。両立させるのが世界の潮流だ。太陽電池や電気自動車などの関連産業では、多くの雇用が生まれている。
そもそも、米国の石炭産業が衰退した主な原因は、温暖化対策ではない。安価なシェールガスが普及したためだ。
米国の離脱は手続き上、早くても20年になる。それまでにも、米国から途上国への資金支援が停止するなど、悪影響が生じよう。
日本など各国は、米国に翻意を促しつつ、パリ協定が骨抜きにならないよう、排出削減の取り組みを着実に進めることが肝要だ。

3、米国のパリ協定離脱表明 人類の未来への背信だ(毎日社説) 
地球環境にとっても、米国にとっても、長期的に大きなマイナスとなる決定だ。人類の未来に対する背信行為と言うしかない。
トランプ米大統領が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した。協定は米国にとって不公平で、経済や雇用の足かせになっており、再交渉や新たな枠組みの交渉を始めるという。
「温暖化はでっち上げ」と発言するなど、トランプ氏は非科学的な発言を繰りかえしてきた。だが、温暖化の進行は、科学的知見に基づく国際社会の共通認識だ。
米国は世界第2位の温室効果ガスの排出大国で、温暖化対策で高い貢献度を求められるのは当然である。 昨年11月のパリ協定発効で、脱炭素社会の構築に向かう世界の潮流は強まった。温暖化対策は新たなビジネスチャンスとも捉えられている。
米国にとっては、再生可能エネルギー分野などへの投資を拡大し、技術革新で世界を主導する方が、斜陽化した石炭産業などの復興にこだわるよりも、国益にかなうはずだ。
情報技術(IT)から金融や石油産業まで、米国の主要企業が相次いで離脱に反対する声を上げているのも、その表れだ。カリフォルニアやニューヨークなどパリ協定を支持する州も多い。
トランプ氏は、途上国の温暖化対策を支援する国連「緑の気候基金」への資金拠出の停止も宣言した。途上国は反発を強めている。「米国第一」にこだわるあまり、国際社会での影響力を低下させることは、外交上も得策とは言えまい。
パリ協定の詳細ルールは2018年までに決めることになっている。各国は米国の動向に左右されず、着実に交渉を進めるべきだ。米国の企業や自治体の温暖化対策を後押しすれば、トランプ氏に協定の重要性を再認識させることにもなる。
7月に開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議でも、トランプ氏に協定残留を働きかけたい。
日本政府は50年に温室効果ガスを8割削減する目標の実現に向けた長期戦略作りを進めている。パリ協定で策定を求められているもので、既に公表済みの国もある。他国と連携してトランプ氏の翻意を促すためにも、具体化を急いでもらいたい。

4、米離脱によるパリ協定の形骸化を防げ(日経社説)
トランプ米大統領が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した。協定は温暖化ガスの2大排出国の中国、米国を含め「全員参加型」である点が重要だった。米国が抜けたことで途上国などが削減意欲を失い、協定が形骸化する事態は避けたい。
トランプ氏は米国の利益にかなうような協定の見直しに言及したが、具体性はなく現実味に欠ける。温暖化がさらに進めば、海面上昇による浸水や異常気象の多発などのリスクは高まる。
大切なのは日本など他の協定参加国が温暖化ガスを目標通り着実に削減し、米国に追随して脱退する国が出ないようにすることだ。
パリ協定は2016年11月に発効した。規定では発効から4年を経た20年11月まで離脱できない。しかし米国は手続きの完了を待たずに、温暖化ガス排出を25年までに05年比で26〜28%減らす目標を放棄し、途上国支援も打ち切る。
米国はパリ協定の親条約「気候変動枠組み条約」の事務局費用の2割程度を受け持つ。途上国支援の基金も30億ドル(約3300億円)の分担を約束していた。
途上国は支援と引き換えにパリ協定に合意した経緯があり、米国の方針転換を受けて温暖化ガスの削減努力をやめる国が出かねない。日本や欧州は技術供与などに力を入れ、これを食い止めなければならない。
パリ協定では18年までに温暖化ガス排出量の測定や報告の詳細ルールを決める予定で、米国の役割が期待されていた。日本は中国や欧州などと協力し、透明性の高い公正なルールづくりを主導して着実に削減を進めるべきだ。
トランプ氏はパリ協定に基づく環境規制が雇用を奪い、経済を縮小させると主張する。しかし、それは間違いであることを各国の実績をもとに示す必要がある。
温暖化ガスの排出を減らす革新的な製造・物流技術や新エネ技術は新たな産業や雇用の創出につながる。米経済の重要な担い手であるIT(情報技術)やエネルギー業界はそれに気付き、パリ協定からの離脱に異を唱えてきた。
カリフォルニア州は厳しい独自規制を続けつつ、環境関連の産業育成に力を入れている。こうした動きを後押しし、将来の米国のパリ協定復帰への扉は閉ざさないようにしたい。協定離脱は外交上の地位や国際的な信頼の低下を招いたことも認識させるべきだ。

5、米のパリ協定離脱 日本は傍観で済ますのか(産経主張)
米国が地球環境問題で示す2度目の不誠実である。身勝手に過ぎる振る舞いだ。
トランプ米大統領が地球温暖化防止対策の世界の新たな取り組みである「パリ協定」からの離脱を発表した。
先進国のみが削減義務を負う現行の「京都議定書」に代わり、途上国も削減に加わるパリ協定の細目を固めつつある段階での翻意である。米国の離脱は、全世界がそろえた二酸化炭素(CO2)排出削減の足並みを乱すものだ。
パリ協定への期待の高さは、2国で世界の全CO2排出量の約40%を占める中国と米国が名を連ねたことにあった。
先進国を代表する存在でありながら対策に背を向けてきた米国の参加で、気温上昇抑制への実効が望めるようになったことが大きかった。その期待の基盤が、トランプ氏の保護主義的な対応で損なわれるのは遺憾である。
離脱の理由として同氏は、パリ協定が米国にとって不利益をもたらすことを挙げた。露骨な「米国第一主義」の表れと言えばそれまでだが、実は地球温暖化問題の本質の一部を鋭く突いている。
温暖化防止をめぐる国際交渉の現実は、CO2を弾丸とする経済戦争でもあることを如実に物語る対応なのだ。かけがえのない地球を守る美しい理想論だけで解決できる問題ではないことを、日本政府は再認識すべきである。
加えて単純な批判も難しい面がある。パリ協定を離脱しても米国の排出量は、CO2の発生が少ないシェールガスの利用によって減少が見込まれるからである。
それに対して日本の場合は、コストをかけて再生可能エネルギーの導入に努めてもパリ協定で約束した26%削減の達成はおぼつかない。CO2を出さない原発の再稼働が進まないためだ。
米国が抜けたパリ協定の枠組みの下では、排出大国・中国の発言力がおのずと増そう。このままでは、日本が中国から教育的指導を受けることにもなりかねない。
安倍首相は、こうした実情を正確に把握した上で、トランプ氏にパリ協定への復帰を強く働きかけるべきである。
パリ協定の新機軸である削減の自主目標方式の生みの親は、日本の産業界ではないか。この地球の難局にこそ、環境最先進国・日本の存在感を示すべきである。

6、パリ協定離脱 米国は独りぼっちに(中日社説)
 米国の身勝手ぶりは目に余る。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明した。地球温暖化を食い止める国際協調に水を差すばかりか、米国も時流に置き去りにされるだけだ。
トランプ氏は離脱表明演説で「私はパリ市民ではなく、ピッツバーグ市民を代表して選ばれた」と述べた。
昨年の大統領選でトランプ氏は、かつて鉄鋼業で栄えたピッツバーグを擁する東部ペンシルベニア州で、番狂わせの金星を挙げた。この発言には、白人労働者を中核とする支持層をつなぎとめたい思惑がにじんでいる。
だが、代表的な支持基盤である炭鉱労働者の雇用を確保できるかというと、離脱によって石炭産業が復活する見込みは薄い。シェール革命に伴い価格が低下した天然ガスには競争力で劣る。
米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで多い。その穴を埋めるのは困難だ。米国の動きを見て温暖化対策に後ろ向きになる国が出てくる可能性もある。
オバマ前政権は途上国の温暖化対策支援に30億ドルの拠出を約束したが、トランプ氏は取りやめを表明した。これも懸念材料だ。
ただし、米国全体が消極姿勢に転じるわけではない。ハワイ州は2045年までに電力をすべて太陽光などの再生可能エネルギー発電に切り替える目標を設定し、カリフォルニア州でもこれに追随しようという動きがある。
新たな技術や雇用を生み出す脱炭素社会への移行は、止めようのない世の流れである。
電気自動車(EV)メーカーのテスラが時価総額でゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて米自動車業界のトップに立ったことは、それを象徴する。
ゼネラル・エレクトリック(GE)やアップル、マイクロソフトなどの米主要企業がこぞって離脱に反対するのは当然だ。
パリ協定に未参加の国はシリアとニカラグアの2カ国だけで、離脱は米国の孤立をいやでも印象付ける。
しかも、温暖化対策で指導的立場を占めていくのは、米国とともにパリ協定を主導した中国になる。国際社会での米国の地位低下は避けられない。
同じ共和党のブッシュ政権が2001年、京都議定書から離脱し温暖化対策の停滞を招いた。その一方的な行動を思い出させる。
時代に逆行するだけの離脱を、トランプ氏は再考すべきだ。

しんぶん赤旗主張を追加します。米のパリ協定離脱 人類への責任放棄 通用しない

トランプ米大統領が、地球温暖化対策の2020年以降の枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に表明したことに、世界中の市民や国々などに怒りと失望が広がっています。
温室効果ガスの排出量が世界第2位の米国は、地球温暖化対策に大きな責任を持つ立場です。温暖化の深刻な脅威に国際社会が一丸となって立ち向かおうとするときに、その流れに背を向けるトランプ政権の姿勢は、現在の人類と将来世代に対する重大な責任の放棄です。
「パリ協定」は、国際交渉を積み重ね、「先進国」と「途上国」が対立を乗り越え、すべての国が排出削減に取り組むとして2015年に採択された条約です。世界の気温上昇を産業革命前から「2度」を十分に下回る水準に抑える(1・5度もめざす)ために、化石燃料から脱却し、今世紀後半には人間活動による温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、などを目標にしています。16年9月には二大排出国の米中がそろって締結し、11月に発効しました。日本も含め現在147カ国・地域が批准しています。
このまま温室効果ガスの排出が続けば、今世紀後半には気温上昇は4度以上になり、豪雨や巨大台風などの異常気象、海面上昇、食料不足、生態系の喪失など人類の生存が危機を迎えるというのが世界中の科学者からの警告です。米国以外のG7(主要7カ国)首脳は「パリ協定」について「迅速に実施する」と表明し、大排出国の中国・インドも協定順守を言明しています。トランプ大統領の離脱表明は「米国第一主義」の危険を改めて示しています。
トランプ大統領は離脱表明に当たって「(協定は)米国の経済を弱らせ、労働者をくじく」などと述べましたが、実態とかけ離れた主張です。「パリ協定」の流れにもとづき、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は米国でも進み、太陽光発電関連だけで26万人以上が働き、15年には石油、ガス、石炭関連の雇用を上回りました。風力発電なども含む再生エネ全体では77万人以上が働いている、との統計もあります。今年1月には米国内の630以上の企業や団体が「パリ協定」順守を求める要望書を提出し、1000を超える企業が「低炭素経済の構築」を訴える声明に署名しています。トランプ大統領の離脱表明は米国経済をも損なうものです。
排出大国である米国の離脱による地球温暖化対策への影響は重大ですが、すでに発効している「パリ協定」の枠組みは崩れません。欧州連合と中国は「パリ協定」は「歴史的成果である」とする共同声明をまとめ、その全面的な履行をうたっています。米国が離脱したとしても、低炭素社会への流れは止まりません。トランプ大統領が大義なき行動をとり続けるならば、米国の国際社会からの孤立は必至です。
日本は世界第5位の排出国であり、地球温暖化対策に大きな責任を持っています。日本政府は米国に働きかけるとともに、日本自身の削減目標の引き上げや対策を強化し、締約国として「パリ協定」の目標達成に全力をあげることが求められています。

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