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【17.05.25】 核兵器禁止条約

核兵器禁止条約 国連会議議長 草案発表へ

今年3月に第1会期が開かれた「核兵器禁止条約の国連会議」のエレン・ホワイト議長(コスタリカ)は22日、ジュネーブの国連欧州本部で核兵器禁止条約の草案を発表します。同議長が16日付でジュネーブとニューヨークに駐在する各国政府代表に宛てて送った書簡で明らかにしました。
ホワイト議長は第1会期の最終日の3月31日、第2会期(6〜7月)に向けて、6月までに条約草案を提示する意向を示していました。
議長の書簡は、第1会期で「積極的で励まされる議論が行われた」ことに改めて感謝を表明。各国から出された「建設的な見解や提案」に留意していること、また参加したすべての代表団に対し演説原稿、作業文書を提出するよう求めたことに触れています。
第1会期には115カ国以上が参加しました。日本は参加しませんでした。各国政府のほかNGOなど市民社会が参加し、被爆者や核実験被害者のほか、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表らが発言しました。
日本共産党からは志位委員長を団長とする代表団が「核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)」の一員として参加しました。代表団は文書発言を提出したほか、志位氏が発言しました。

核兵器禁止条約の草案(要旨)

【前文】
この条約の締約国は、核兵器のあらゆる使用がもたらす破滅的な人道的結果と、いかなる状況の下においても核兵器が二度と使用されることがないようあらゆる努力を行う当然の必要について重大な関心を持ち、核兵器の破滅的な結果が国境を越え、人類の生存や環境、社会経済的発展、世界経済、食料安全保障、将来世代の健康に重大な影響を与えること、電離放射線が妊婦の健康と女性へ不均衡な影響をあたえることを認識し、核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)および核実験の被害者の苦難に留意し、国際人道法の原則と規定、特に武力紛争の当事者がどのような兵器や手段を選択するかは無制限ではなく、兵器が自然環境を広範・長期・激烈な被害から保護できるように注意する規定、そうした被害を自然環境に与え、住民の健康や生存を害することを意図したり、そうした被害が想定される戦闘手段・兵器の使用は禁止されているという規定に立脚し、核兵器のいかなる使用も、武力紛争に適用される国際法の規定、特に人道法の原則と規定に反していると宣言し、国連憲章の目的と原則の実現に貢献することを決意し、核兵器の禁止が包括的な核軍縮への重要な貢献となることを認識し、核兵器とその運搬手段を国の兵器庫から撤廃することを促進するため核軍縮のさらなる効果的措置の達成が緊急に必要であることを強調し、厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的な核軍縮に至る交渉締結を誠実に追求し実現する義務が存在することを確認し、核不拡散条約(NPT)の決定的な重要性、包括的核実験禁止条約(CTBT)の不可欠の重要性、非核地帯条約の貢献を再確認し、核兵器完全廃絶の呼び掛けのような、人道原則を促進するための市民的良心の役割を強調し、その目的のための国連、赤十字国際委員会、多数の非政府組織およびヒバクシャの取り組みを認め、以下のように合意した。
【第1条 一般的義務】
締約国は、次のことを行わないと約束する。
核兵器を開発し、生産し、製造し、別の方法で取得し、所有し、貯蔵すること。
核兵器の管理を直接・間接に移転すること。
核兵器を使用すること。
核兵器実験爆発、他の核爆発を実施すること。
締約国はその領域で、次のことを禁止・防止することを約束する。
核兵器を配備し、設置し、展開すること。
核兵器実験爆発、他の核爆発。
【第2条 申告】
【第3条 保障措置】
締約国は、原子力が平和的利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されることを防止するため、保障措置を受諾することを約束する。
【第4条 自国の核兵器を廃棄した国のための措置】
2001年12月5日以後、核兵器を製造し、所有し、または他の方法で取得し、この条約の発効前に廃棄した締約国は、その核物質及び核施設のリストの完全性を検証する目的で、国際原子力機関(IAEA)と協力することを約束する。
【第5条 第4条がカバーしない状況のための措置】
核軍縮に関連するさらなる実効性のある措置の提案は、締約国会議または再検討会議で検討することができる。
【第6条 支援】
締約国は、その管轄下・支配下地域での核兵器の使用または実験によって影響を受けた諸個人に、年齢・性別に留意した支援を十分に提供し、かつ、彼らの社会的かつ経済的包容を提供する。
締約国は、核兵器の実験または使用の結果として汚染された地域の環境改善に向けた支援を要請し、受け取る権利を有する。
【第7条 国内の実施措置】
締約国は憲法手続きに従って、この条約のもとでの義務を履行するために必要な措置をとる。
【第8条 国際協力】
締約国は、この条約の義務の履行を促進するために、他の締約国と協力する。
【第9条 締約国の会合】
締約国は定期的に会合を持つ。
第1回締約国会合は、条約発効から1年以内に国連事務総長によって招集される。以降は隔年に招集される。
発効から5年後、再検討会議の招集を決定できる。
関連の非政府組織は、締約国会合と再検討会議へオブザーバーとして参加するよう招待されうる。
【第10条 費用】
【第11条 修正】
【第12条 紛争の解決】
【第13条 普遍性】
すべての国から条約への支持を得るために、非締約国に対し、この条約の批准、受諾、承認、加盟を促す。
【第14条 署名】
【第15条 批准】
【第16条 発効】
この条約は、40カ国による批准、受諾、承認または加盟がなされた90日後に発効するものとする。
【第17条 留保】
【第18条 継続期間】
この条約は無期限とする。
脱退する国は、3カ月前に通知するものとする。
【第19条 他の協定との関係】
この条約は、核兵器不拡散条約締約国の権利および義務に影響を及ぼさない。
【第20条 受託】
【第21条 正本】

「核兵器禁止条約」草案を心から歓迎する 日本共産党が声明(志位委員長)

核兵器禁止条約を交渉する国連会議のエレン・ホワイト議長(コスタリカ)は22日、ジュネーブの国連欧州本部で会見し、同条約の草案を公表しました。     それを受け、日本共産党の志位委員長は23日、国会内での記者会見で、草案を歓迎する声明を発表し、同議長にも送って党の立場を伝えたいと述べました。
(1)「核兵器禁止条約の国連会議」(「核兵器全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議」)のホワイト議長は、22日(現地時間)、ジュネーブの国連欧州本部で、核兵器禁止条約の草案を発表した。歴史的な核兵器禁止条約草案を強い感動をもって受け止めるとともに、心から歓迎する。
(2)草案は、条約前文で、核兵器の使用がもたらす人道上の破滅的な結果を強調するとともに、「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)および核実験被害者の苦難に留意」するとのべている。さらに、核兵器廃絶のための「市民的良心の役割」を強調し、「多数の非政府組織およびヒバクシャの取り組み」を高く評価している。条約に草の根の運動の意義が明記されることは異例なことだが、被爆者の一貫した核兵器廃絶の訴え、日本と世界の反核平和運動の願いを正面から受け止めた条約草案が起草されたことは、大きな意義あることである。
(3)草案は、核兵器の法的禁止の内容として、核兵器の「開発、生産、製造、取得、所有、貯蔵、移転、受領、使用、核爆発実験」などを禁止している。また、締約国は、その領土と管轄地域への核兵器の「配置、導入、配備」などを禁止する義務を負うとしている。これらは、核兵器の法的禁止の主要な要素を、包括的に規定したものであり、文字通り核兵器を違法化し、「悪の烙印」を押す内容となっている。さらに、草案は、「自国の核兵器を廃棄した国のための措置」を盛り込み、すべての国連加盟国に条約の加入を促すなど、核兵器保有国にも条約参加の道を開いている。草案が、各締約国に、「核兵器の使用または実験によって影響を受けた諸個人」に対して「支援を十分に提供」することを義務づけていることは、長年にわたって被爆者援護を求めてきた被爆者の切望にこたえるものである。草案は、核兵器を法的に禁止するとともに、「核兵器全面廃絶につながる」意義をもつものであり、国連総会が「国連会議」に与えた任務に立派に答えるものとなっていると考える。
(4)この草案が、6月15日から7月7日まで行われる「国連会議」の第2会期での議論の基礎となり、さらにその内容が豊かにされ、可能なかぎりの多くの国連加盟国の賛同を得て、採択されることを強く期待する。日本政府は、核兵器禁止条約に背を向ける態度を根本的にあらため、今からでも条約への参加を真剣に検討すべきである。
日本共産党は、「ヒバクシャ国際署名」をはじめ草の根からの取り組みをさらに発展させるとともに、「国連会議」の成功のために引き続き力をつくす決意である。

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