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【17.04.25】 今日の新聞各紙の社説はフランス大統領選挙の結果を論じている。

マクロン氏とルペン氏が決選へ、二大政党初めて進めず。

フランス大統領選挙(第1回投票)が23日、投開票され、新自由主義的政策を掲げるマクロン前経済相と、移民排斥を掲げる極右・国民戦線(FN)のルペン党首が5月7日の決選投票に進出しました。
今回の大統領選挙では、第2次世界大戦後に政権を担ってきた社会党と共和党の二大政党の候補者が初めて決選投票に進めない事態になりました。欧州債務危機を理由にした緊縮政策などをめぐり有権者が二大政党へ強い不満を示した形となりました。
最終結果によると、マクロン氏は23・75%を得票し、首位を獲得。ルペン氏が21・53%で次点につけました。以下、最大野党・共和党のフィヨン元首相が19・91%、仏共産党などが支援するメランション前左翼党党首が19・64%と続きます。与党・社会党のアモン候補は6・3%にとどまりました。(しんぶん赤旗、2人に対しての論評はしていない。)

トランプ旋風がここでも吹くのだろうか。
だれも予測できないことが、イギリスでアメリカで起こってきた。
ヒットラーの再来も否定できない。
話は違うが、沖縄の新基地の埋め立てが始まったようだ。
原発もどんどん再稼働されていく。
多数の民意を如何に政策に反映させていくかを真剣に考えていかなければならない。

ちょっと長いですが、全部掲載します。

1、仏大統領選挙 国際協調の針路を問え (朝日)
国際社会と協調して繁栄を目指すのか。それとも自国第一主義を掲げて国を閉じるのか。
フランス大統領選挙は、グローバル化時代の国の針路を問う選択になりそうだ。
前者を訴えるのが中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏。後者が右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首である。
5月7日の決選投票は、正反対の立場をとるこの2人によって競われる。
いずれの道も利点と欠点があろう。しかし、グローバル化はもはや押しとどめがたい世界の現実だ。多くの先進国が直面する共通の課題だからこそ、この時代をどう生き抜けばいいか、突っ込んだ論戦を望む。
両者の違いは、国境の壁をなくして人や物の往来を促してきた欧州連合(EU)への態度とも重なり合う。
親EU派のマクロン氏は、伝統産業が他国に移転したり、移民や難民が急激に流入したりする現実に対する人々の不満と不安の声にこたえてほしい。
一方、反EUを説くルペン氏は、経済問題や難民危機のように一国では解決できない課題にどう取り組むのか、明確な説明を果たす責任がある。
長年、交代で政権を担ってきた左右の2大政党の候補が、ともに決選投票への進出を逃したのも異例の事態である。
「成長重視の右派、分配重視の左派」という古い対立軸から抜け出せず、グローバル化時代への処方箋を示しきれない大政党の限界が露呈した。
公金流用疑惑など候補の金銭スキャンダルも浮上。「反エリート」を掲げるルペン氏、「右でも左でもない」が売り物のマクロン氏への追い風になった。
既得権に安住し、庶民の声に耳を傾ける努力を怠ってきた2大政党は、今回の敗北を真摯に反省して出直すべきだ。
02年に国民戦線が決選投票に進んだ時は、ほぼ全ての政治勢力が「反右翼」の包囲網を敷いて当選を阻んだ。
だが、今回も同じ手法が通用するかは疑問だ。たしかに移民規制などルペン氏の排外的な公約には懸念すべき点が少なくない。とはいえ、国民戦線がグローバル化を不安視する層の受け皿になっていることも否定しがたい現実である。
むしろマクロン氏がなすべきは、EUという国際協調の取り組みが、いかに平和と経済発展をもたらしてきたか、丁寧に説明を尽くすことだろう。それこそポピュリズム(大衆迎合)を封じる唯一の道でもある。

2、仏大統領選 社会の疲弊と分断を露呈した (読売)
長引く経済低迷に疲弊し、繰り返されるテロの傷痕は深刻だ。そんな厳しいフランス社会の状況が浮き彫りになった。
仏大統領選の第1回投票が行われ、中道で無所属のマクロン前経済相が首位に立った。極右・国民戦線のルペン党首は僅差で2位につけた。
上位2人を含む候補者4人がほぼ横一線の激戦となった。どの候補者も過半数を獲得できなかったことから、この上位2人が5月7日の決選投票に臨む。
今回の選挙は、フランス政治の重要な転換点と言えよう。
これまで交互に政権を担ってきた中道右派と中道左派の既成政党の候補はそろって、決選に進めなかった。現在の選挙制度が実施された1965年以来初めてだ。
欧州連合(EU)の要であるフランスで、「反EU」対「EU重視」が争点となった。EU統合推進の是非を巡って国民の分断が進行していることの表れだろう。
ルペン氏と、急進左派のメランション氏は、EUが低所得層を中心に国民生活を圧迫しているという主張では軌を一にし、離脱の是非を問う国民投票を提唱した。
半世紀以上、EUの屋台骨を支えてきた既成政党の凋落の背景には、近年、フランスが直面する険しい現実がある。
ギリシャに端を発した欧州財政・金融危機で、EU主導の緊縮財政を強いられ、失業率は10%前後で高止まりしている。
2015年のパリでの大規模テロ以来、非常事態宣言が出されたままだ。イスラム過激派の暴力は根絶できていない。投票日直前には、首都のシャンゼリゼ通りで警察官射殺事件が発生した。
テロ犯はフランスなどで育った移民系の若者が多い。15年には、中東から欧州へ大量の難民が流入した。移民や難民が治安を悪化させたという国民の不満が、排外主義の台頭を招いたのは明白だ。
オランド政権与党である中道左派・社会党は不人気に陥った。
大統領選は当初、中道右派・共和党のフィヨン氏が本命視されていた。だが、家族を架空雇用したとの公金横領疑惑で失速した。カネ絡みの醜聞が絶えないことも、既成政党不信に拍車をかけた。
既成政党に所属しないマクロン氏は、39歳という若さと清新なイメージを武器に、選挙戦を優位に戦おうとしている。
欧州の政治・社会を確実に混乱させるルペン氏の当選を阻めるのか。マクロン氏を軸にしたEU重視勢力の結集が欠かせまい。

3、ルペン氏2位の仏大統領選 決選へ世界の注目は続く (毎日)
フランス大統領選は第1回投票で中道・独立系のマクロン前経済相が1位、極右・国民戦線のルペン党首が2位となった。しかし、いずれも過半数に達しなかったため、5月7日の決選投票に持ち込まれた。
反欧州連合(EU)、反移民、反イスラムを掲げるルペン氏に、一時期の世論調査が示した勢いは見られなかった。だが、5年前に続く2度目の出馬で初めて決選にこぎつけた。得票率は前回を上回った。
2位にとどまったのは、極右の台頭を警戒する仏社会の空気がある程度作用したためだろう。国際社会にとって当面の安心材料にはなる。
国民戦線はルペン氏の父ジャンマリ氏の代に強硬な排外主義を唱えた。ルペン氏が党首になり、ややソフト路線に転じたが、今回も「フランス第一主義」を掲げ、EUからの離脱のほか、保護主義的な貿易、極端な移民の流入制限を訴える。
フランスはドイツとともにEUの中核である。ルペン氏が大統領になれば、フランスはEUに背を向け、欧州は統合から分断へ転じかねない。英国のEU離脱の動きに輪をかけて、欧州は混乱に陥るだろう。
首位に立った39歳のマクロン氏は「右でも左でもない」を旗印とする。オランド政権の閣僚だったため社会党寄りとみられていたが、超党派を掲げて出馬した。
選挙では社会、共和の2大政党が初めて、ともに決選投票へ進めず、既存政党への不信があらわになった。共和党のフィヨン元首相は妻らの不正給与疑惑が響いた。
マクロン氏は既存政党に属さないことが功を奏した。EUの統合推進、自由貿易、移民受け入れなど穏健策を掲げるため、浮動層らの反ルペン票を取り込んだともいえる。
敗れた2大政党の候補はマクロン氏への支持を表明した。ただし、これでマクロン氏優位が確定するわけではない。
トランプ米大統領の当選時と同様に、「自国第一主義」などへの隠れた支持があるかもしれないからだ。
決選投票ではEUとの関係や、グローバリズムの是非など争点が絞られてくるだろう。
しかも、結果は6月の英総選挙、秋の独総選挙にも影響を与える。引き続き注視が必要だ。

4、仏国民は開かれた経済・社会を守れるか (日経)
フランス大統領選挙の第1回投票で独立系中道候補のマクロン元経済産業デジタル相と、極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が1位と2位になり、5月7日の決選投票への進出を決めた。
反欧州連合(EU)を掲げる候補者同士による決選という展開は回避され、親EUで穏健な政策を説くマクロン氏が当選に向け前進した。ポピュリズム的な政治潮流が欧州で止まる節目となるか、仏国民の選択が問われる。
マクロン氏は39歳と若く、主要政党に属さない清新なイメージなどで中道層を中心に支持を集めたようだ。ルペン氏はトランプ米大統領のように自国第一主義を前面に出し、ユーロ圏からの離脱や移民制限といった内向きな政策で現状に不満を持つ層を取り込んだ。
ルペン氏が当選すれば、ドイツとともに欧州統合の中核を担ってきたフランスで反EUの大統領が誕生し、欧州に与える打撃ははかりしれない。保護主義的政策で世界を揺さぶることも予想される。
ルペン氏の党からは2002年の大統領選でも同氏の父が決選投票に進んだが、右派と左派の主要政党が結束して当選を阻んだ。今回も第1回投票で敗れた共和党と社会党の候補がマクロン氏支持を表明するなど、主流派の政党は反ルペンを訴えていく見通しだ。
目を引くのは、これら2大政党の候補者がいずれも決選投票に進めなかったことだ。
フランスの大統領選で極めて異例の事態は、既成の主要政党への批判が根強いことを示す。社会党から票が流れたとみられる急進左派のメランション氏がルペン氏とともに勝ち進み、反EUの候補者同士の対決になることも懸念されていた。
決選投票では、こうした主要政党への不満票がルペン氏にどれだけ向かうかがカギを握りそうだ。
マクロン氏が制すれば、欧州統合を推進するとともに、国内の経済改革で競争力強化をめざすことが見込まれる。
欧州では6月の英総選挙、9月のドイツ総選挙と、重要な選挙が続く。英国のEU離脱交渉もこれから始まる。フランスが次の大統領のもとで過激で内向きな路線にかじを切れば、欧州は深刻な混乱に陥りかねない。
EUとグローバル化を重視する現実的な道をフランスは堅持してもらいたい。有権者の冷静な判断が期待される。

5、仏大統領選 統合の理念を再認識せよ (産経)
フランス大統領選で、極右「国民戦線」のルペン党首と中道・独立系のマクロン前経済相が決選投票に進んだ。
マクロン氏が欧州連合(EU)を重視しているのに対し、ルペン氏は公約で離脱を問う国民投票の実施を掲げている。
フランスはドイツとともに欧州統合の両輪である。大陸欧州の2大国が牽引したのは、戦争の悲劇を二度と繰り返さないという、統合の理念そのものだったのではないのか。
結果次第でEU崩壊への引き金が引かれる大統領選の行方を、注視しなければならない。
英国がEU離脱を決め、「米国第一」のトランプ米政権が誕生した。欧州各国でも「自国第一」を唱える大衆迎合主義的、排他主義的政治勢力が台頭している。
フランスでも、ルペン氏に加えて、急進左派候補が反EUを掲げて一時、支持を急伸させた。ただ、最終的にはマクロン氏が上位2人のうちの1人に勝ち残ったため、反EU同士の決選投票は回避された。
3月のオランダ下院選では、EUを支持する与党が辛勝した。欧州各国で、EU支持派が辛うじて踏みとどまる流れを、つなげられるかどうかが問われよう。
ルペン氏は移民の入国制限を掲げるなど、反イスラム、自国第一主義の政策を打ち出す。国内産業・雇用の優先など経済的には保護主義の色彩が濃い。
マクロン氏は、オランド大統領の下で経済相を務めた。ユーロ圏予算の創設やEUの防衛協力強化など、欧州全体を視野に入れた戦略を描いている。
決選投票に向けて、EUにとどまることの意味合いを、よりていねいに語ることが必要である。
フランスはドイツとともにEUの核となってきた。ロシアや中国などを相手にする場合でも、EUの結束と影響力行使に欠かせない存在だ。安全保障の観点からも、国際秩序の維持に大きな役割を果たすべき立場だ。
今回の大統領選の特徴として、二大政党である社会、共和両党の候補が、いずれも決選投票へ駒を進められなかった点がある。既存政治への不満である。移民問題を含め、極論に走らず冷静に議論することこそ重要だろう。
テロが相次ぎ、非常事態宣言下での選挙となったが、民主主義の維持へ賢明な選択を求めたい。

6、仏大統領選 EUは警鐘ととらえよ (中日)
仏大統領選で超党派のマクロン前経済相(39)と極右・国民戦線のルペン党首(48)で争う決選投票はEUとの関係が最大の争点となる。欧州の将来を左右する岐路であり、EUも変革を迫られている。
今回の第1回投票の特徴は、保革の二大政党の候補者がそろって決選投票に進めなかったことだ。1958年に現体制の第五共和制に移行して以来、初めてである。
若者の失業率の高止まりなど経済の低迷やテロ対策の不十分さが指摘されたが、従来の保革対立の構図が時代に対応できていないのが実態だろう。資本対労働という階級闘争の歴史を引きずり、グローバル時代の変化に富み複雑多様化する民意をくみ取れていないということだ。
それは米大統領選でのトランプ氏の勝利や英国のEU離脱の経緯と重なるのである。安い移民の労働力に職を奪われたり価格競争の末に廃業に追い込まれるなどグローバル化に「取り残された人々」は反EU、反自由貿易、移民排斥を掲げたルペン氏を支持した。
フランスもまたパリから少し離れれば、トランプ氏に期待を寄せたラストベルト(錆びついた地域)のような失業や景気低迷にあえぐ地域が少なくないのである。既存の大政党やEUのエリート官僚、富裕層などを攻撃するルペン氏の手法は、英米の反乱劇のデジャビュ(既視現象)を感じさせた。
手厚い社会保障などを訴え、選挙戦終盤に急浮上した極左のメランション氏は、行き場を失った若者らの受け皿となって旋風を起こした米国の「サンダース現象」をほうふつとさせた。こうした社会の地殻変動や国民の分断はもはや英米仏だけのものではなく、先進各国に通底する課題になりつつあるとみるべきだろう。
国際政治においてグローバル化と国家主権、民主主義の三つは同時に成り立たないトリレンマ(三律背反)といわれる。とりわけ超国家連合体であるEUは、国家主権との相克が起こりがちなのだ。
焦点は親EUを掲げ右派から左派まで幅広い支持を目指すマクロン氏が優勢を守れるかだ。だが第一回投票で反EU票は合計で50%近くに達したもようだ。再びテロの脅威が高まればルペン氏に追い風との見方も根強く、予断を許さない。
中核国フランスが離脱となればEUは瓦解の道を歩むだろう。EUは、なぜこれほど反EUの声が強いのかを警鐘と受け止め、早急に変革の姿を示すべきである。

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