活動日誌−活動日誌

【16.09.14】 TPPと原発

1、TPP 貧困と格差拡大

安倍政権が26日から始まる臨時国会で、環太平洋連携協定(TPP)の批准強行を狙っています。
首相は「自由貿易は成長のエンジンであり、保護主義の誘惑を断ち切ることが政治の責任」だなどと主張して、批准に固執しています。
しかし、輸出入の関税を原則撤廃し、貿易やサービスの取引に輸出国や多国籍企業に有利なルールを押し付けるTPPは、経済を活性化するどころか国民の暮らしを悪化させ、貧困と格差を拡大することにしかならないのは明らかです。
世界では、これまでアメリカと多国籍大企業の主導で進められてきた新自由主義的な「グローバリズム」や「自由化」が一部の大国や大企業、富裕層だけを利し、深刻な貧困と格差を拡大していることへの批判が高まっています。
イギリスでは新自由主義的な「改革」を推進した欧州連合(EU)からの離脱が多数を占め、アメリカとEUの環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)にも中断を求める声が公然と上がっています。
アメリカ大統領選で、民主、共和両党の大統領候補が、いずれもTPPに反対や慎重を表明せざるを得なくなっているのもその表れです。
TPPはこうした国際的な批判に逆らうものです。今年2月の署名に至るTPP交渉が、合意までは一切明らかにしない異常な秘密主義をとったのも、国際的な批判を恐れたためです。
交渉が、アメリカと多国籍企業の利益を代弁する経済官僚が作成したものを各国に押し付ける場だったのは明らかです。安倍政権が前国会にTPPの承認案を提出したものの、交渉経過については異常な黒塗り資料しか出せなかったのはその象徴であり、その結果国会審議はほとんど進みませんでした。
安倍政権はTPPの影響についても、すべてが日本に都合よく作用するという前提で国内総生産(GDP)が大きく伸びるとする一方で、大幅に関税を撤廃・削減する農産物への影響は極めて軽微とする誤魔化しの試算を発表してきました。しかし、それが偽りであることは、国内の広範な市民団体が参加した「テキスト分析チーム」や海外の運動団体などの調査によって鮮明になっています。
TPPは、農林漁業や地方経済への深刻な影響、遺伝子組み換え食品などの拡大、医薬品価格の高騰、労働条件の悪化をはじめ、国民生活のあらゆる分野に多国籍企業に有利なルールを押し付けます。国の主権を侵害するISDS(資本家対国家の紛争解決)条項の弊害も明らかです。文字通り生活を破壊し、貧困と格差を拡大します。
TPPに対する反対運動は、「自由貿易と保護主義との闘い」などではなく、アメリカ主導の「グローバリズム」や「自由化」がもたらす経済のゆがみをただすもので、広範な共同が可能です。
TPP交渉が浮き彫りにした異常な秘密主義や安倍政権の強引なやり方に疑問を持つ幅広い人々と共同し、暮らし破壊と格差拡大を許さない世論と運動を広げ、批准を阻止しよう。

2、川内原発停止問題 住民の安全を

7月の鹿児島県知事選で前知事に大差をつけて当選した三反園知事が、九州電力に川内原発(同県薩摩川内市)の運転停止を2回にわたって求めたのに対し、九電は定期点検が近いことなどを理由に応じないと回答、運転を続けています。
相次いだ地震などへの住民の不安を背景に、選挙で当選した知事が繰り返し申し入れたのに応じない、九電の姿勢は重大です。定期点検で止まるからなどというのは、停止を拒否する理由にはなりません。原発再稼働を推進する安倍政権の姿勢も問われます。
三反園知事が川内原発の停止を申し入れたのは、今年4月以来、鹿児島県に隣接する熊本県や大分県など九州地方で地震が続発し、震源の一つとなった断層帯の延長線上に川内原発があることからも、住民の間で不安が高まったからです。三反園氏は知事選でも川内原発の停止を訴え、住民などの反対を押し切って再稼働を容認した前知事を大差で破りました。
三反園知事は就任後、川内原発で事故が起きた場合の避難体制などについても調査するとともに、8月下旬、住民の不安の声に応えるには原発の運転を停止して再点検・再検証するしかないと、九電に運転停止を申し入れました。
ところが九電は9月になって運転停止には応じないと回答したため、三反園知事は先週改めて運転の停止を申し入れ、これに対しても九電は再申し入れの翌々日に運転停止には応じないと回答したのです。住民の不安と選挙で選ばれた知事の意向を、文字通り軽んじたものというほかありません。
九電は川内原発の運転停止を受け入れない理由として、原子力規制委員会が九州地方の地震の後も、川内原発の安全性に問題はないとしていることを挙げます。しかし、原発は未完成の技術で、地震などの影響も完全に予測することはできず、原子力規制委や政府がどんなに「合格」といっても事故が起きない保証にはなりません。川内原発が立地する九州には地震を起こす活断層や大きな火山があり、予想がつかない大地震や火山噴火が起きる可能性は十分あります。大切なのは住民の安心や安全であり、住民が不安を指摘している以上、真剣にそれに応えるべきです。
九電が、昨年再稼働した川内原発の1号機は10月、2号機は12月に定期点検で止まるから、検査はそのときやればいいなどといっているのは全くの誤魔化しです。10月や12月に定期点検で止まるなら、それを数カ月繰り上げられない理由はありません。要は住民の安心や安全に応える姿勢であり、九電にはそうした態度が根本から欠落しているというほかありません。
三反園知事の申し入れに応える中で、九電は定期点検の中で特別検査を行うことや、住民の避難体制を支援することを言い出しています。しかしそれこそ、川内原発を緊急停止して検討すべきです。
川内原発は四国電力伊方原発とともに国内で数少ない稼働中の原発です。停止要求に従わない九電には、川内原発を一日でも長く運転してもうけを上げるとともに、安倍政権の原発再稼働路線に応える発想しかありません。
住民の安心や安全より企業の経営や国の原発再稼働政策を優先させる姿勢こそ、根本から転換すべきです。

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