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【16.03.15】 「貧困世帯」20年で2.5倍に

「山形大の戸室健作准教授」の研究で明らかに

「貧困世帯」20年で2.5倍 山形大戸室氏の研究で明らかに (しんぶん赤旗3月15日)
「生活保護基準以下の収入で暮らす世帯」と「就労世帯」の割合、「子育て世帯」の割合がいずれも1992年から20年間で2・5倍に増え、地域間格差が高い方に平準化していることが「山形大の戸室健作准教授」の研究で明らかになりました。戸室氏は、都道府県別の実態も示し、「現在は、貧困のレベルが格段に高まった状況にある」と指摘しています。
戸室氏は、「就業構造基本調査」(総務省)と「被保護者調査」(厚労省)のデータを分析しました。貧困世帯は、1992年の385万世帯(9・2%)から2012年に986万世帯へと2・5倍に増加しました。
都道府県別でみると、沖縄が「貧困率」(34・8%)、「ワーキングプア率」(25・9%)、「子育て世帯貧困率」(37・5%)のいずれも最も高く、関西以西と東北以北が高くなっています。これまで「低貧困地域」と言われた愛知周辺や東京と周辺地域で「貧困率の急上昇が生じている」と指摘しています。
「子育て世帯貧困率」は大阪21・8%、鹿児島20・6%などと続き39都道府県で「貧困率」が10%以上となりました。
地域間格差は、下位10地域の「貧困率」が2・5倍に伸びており、92年の2・94倍から12年の1・63倍へと縮小。「ワーキングプア」も4%、133万世帯から9・7%、320万世帯へと2・5倍増えました。「子育て貧困世帯」も70万世帯(5・4%)から146万世帯(13・8%)へと2・5倍に増えており、急速に「高位平準化が進んでいる」と指摘しています。
一方で、「貧困世帯」のうち生活保護を利用している世帯の割合(捕捉率)は92年の14・9%から12年の15・5%へと微増にとどまっています。
戸室氏は、「貧困は、特定の地域に固有の問題ではなく全国一般の問題へと深刻化している」と指摘。「国が率先して貧困対策を進めることが重要」だとして、生活保護費の全額国庫負担化、最低賃金の大幅引き上げ、非正規雇用の活用規制を提言しています。また「貧困世帯」数(2012年)の4割の400万世帯が「年金・恩給」が主な収入だとして、「最低保障年金の創設」を求めています。

子育て貧困世帯 20年で倍 39都道府県で10%以上 (毎日新聞2月18日)

少子化で子どもの数が減少しているにもかかわらず、生活保護費以下の収入で暮らす子育て世帯が過去20年で倍増したことが、山形大の戸室健作准教授の研究で分かった。戸室氏は都道府県別の「子どもの貧困率」も初めて明らかにした。39都道府県で子育て世帯の10%以上が貧困状態にあり、子どもの貧困が全国的に深刻化していることが浮き彫りになった。
戸室氏は、総務省が国民の就業実態を調べるため、5年ごとに実施する「就業構造基本調査」のデータなどを分析。生活保護費の受給対象となる最低生活費以下の収入しかなく、かつ17歳以下の子どもがいる世帯数の20年間の推移を調べた。
その結果、1992年に約70万世帯だった子育て中の貧困世帯数は、直近の2012年調査では約146万世帯に倍増していた。一方でこの間、子育て世帯自体は約1293万世帯から約1055万世帯まで約2割減っているため、「子どもの貧困率」(17歳以下の子どもがいる世帯に占める貧困世帯の割合)は5.4%から約2.6倍の13.8%に悪化した。
都道府県別では、貧困率が高い順に(1)沖縄(37.5%)(2)大阪(21.8%)(3)鹿児島(20.6%)(4)福岡(19.9%)(5)北海道(19.7%)−−と続き、ワースト10のうち8府県が西日本に集中した。10%を切ったのは、最も低い福井(5.5%)など8県にすぎず、残りは10%以上だった。また、1回前の調査(07年)と比較すると、埼玉、千葉、神奈川などの首都圏や三重、静岡などの中京圏で全国平均を上回る貧困率の上昇がみられた。
「子どもの貧困率」については、政府も厚生労働省の「国民生活基礎調査」に基づいて算出。国全体の平均のみ公表し、直近の12年は16.3%だった。ただ、平均的な所得の半分未満で暮らす人はすべて相対的に貧困状態にあるとみなす政府の算出方法では、貧困率に大きな変化はなく、91年でも12.8%だった。これに対し、戸室氏は都道府県や世帯人数などによって異なる最低生活費に基づいて算出することでより貧困の実態に近づけた。
戸室氏は「貧困率の高位平準化が進んでいる。国が率先して対策を進めることが重要で、生活保護費を全額国庫負担にすべきだ」と提言している。戸室氏の論文は、近く刊行される「山形大学人文学部研究年報13号」に掲載される予定。【大場伸也】

貧困率、相対的貧困率、絶対的貧困率、の定義の再確認が必要だ。
参考までに、
相対的貧困率は、世帯所得から国民一人ひとりの手取り収入を計算し、それを並べた時に真ん中となる人の額の半分に満たない人の割合をいう。(所得が国民の「平均値」の半分に満たない人の割合。)

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