活動日誌−活動日誌

【15.09.03】 昨日(9月2日)のしんぶん赤旗には、「派遣法改悪案」の記事が4本も載りました。

「戦争法案」阻止の全国的な闘いと結んで「派遣法改悪案」を廃案にする世論と運動の強化が急務です。(9月1日)

(9月2日)のしんぶん赤旗
1、派遣法改悪案もボロボロ 施行日は延期 「みなし制度」骨抜き 労働者の権利奪うな 小池氏追及
2、派遣法改悪案 企業要求そのまま 「みなし」適用政府解釈 小池氏批判
3、労働者保護が後退 辰巳議員 派遣法改悪は廃案に
4、派遣法改悪 道理なし 廃案求め座り込み 雇用共同アクション

派遣法改悪案 廃案を 正社員化の道閉ざす「同一業務」の規制廃止 直接雇用義務規定なくす
労働者派遣法改悪案は、派遣労働を「臨時的・一時的」な利用から、企業が恒常的に自由に利用できるように制度を根本的に変えるものです。従来の政府見解は投げ捨てられ、派遣労働者が願う正社員化の道が閉ざされます。このような法案は廃案にすべきです。 (昆弘見)(9月1日)

(参考)全文も掲載します。

1、派遣法改悪案もボロボロ 施行日は延期 「みなし制度」骨抜き 労働者の権利奪うな 小池氏追及2015年9月2日(水)
参院厚生労働委員会で審議中の労働者派遣法改悪案は、施行日とした9月1日を過ぎても成立しておらず、与党が同日の理事会で9月30日に施行日を修正したいと表明する異例の事態になっています。与党は戦争法案の採決をめぐり紛糾する前に成立させたい考えですが、審議も法案もボロボロになっており、廃案しかないことが浮き彫りとなっています。
改悪案が仮に成立しても、41項目もの政省令改正案を労働政策審議会で審議しなければならず、1カ月程度が必要です。さらに国民に十分な周知をしなければなりません。
周知期間は、派遣法制定のときは約1年、1999年の原則自由化では約5カ月、前回改正(2012年)でも約6カ月ありました。ところが今回はほとんどなく、まともに施行できる条件はありません。
なぜそんなに急ぐのか。自民党は「みなし制度が10月1日に施行されるので、この問題を解決するためだ」と言明しています。
「みなし制度」とは、違法派遣があれば、派遣先が派遣労働者に労働契約を申し込んだものとみなして直接雇用させる制度。これが10月に施行されるため、その前に同制度を骨抜きにする改悪案を成立させたいというのです。
「みなし制度」が適用されるのは、(1)禁止業務(2)無許可・無届けの派遣(3)派遣可能期間の違反(4)偽装請負―の四つ。このうち大半を占めるのが「派遣可能期間の違反」です。
ところが、今回の派遣法改悪案では、どんな業務であっても「派遣可能期間」はいくらでも延長できるため、「派遣可能期間の違反」は生じません。
しかも、改悪案施行前に違法派遣があっても、「みなし制度」は未施行だから適用されないという身勝手な解釈を厚労省が示しています。
「みなし制度」は骨抜きにされ、違法派遣は免罪される―派遣元・派遣先企業にとって、こんな都合のいい法案はありません。
1日の参院厚労委員会で日本共産党の小池議員は「みなし雇用の権利を得ている労働者の権利を施行直前に奪うことは許されない」と批判。「労働者の権利を奪い、骨の髄まで企業サイドの要求に応えたものだ。廃案にするしかない」と求めました。

2、派遣法改悪案 企業要求そのまま 「みなし」適用政府解釈 小池氏批判
日本共産党の小池議員は1日の参院厚生労働委員会で、労働者派遣法改悪案が成立すれば、それまでに期間制限(派遣可能期間)違反があっても「労働契約申し込みみなし制度」は適用されないとする政府の条文解釈を突き崩し、改悪案の廃案を求めました。
「みなし制度」とは、違法派遣があれば派遣先が派遣労働者に直接雇用を申し込んだとみなす制度で、10月1日に施行されます。厚労省は、施行前に行われた違法派遣に対しては「みなし制度」は適用されないとする解釈を示しています。
この日の委員会で、小池氏が施行前でも「みなし制度」適用を合意して契約を結んでいると指摘したのに対し、坂口卓派遣・有期労働対策部長は「念頭に置かれている」と認めました。
小池氏は「派遣労働者は、期間制限違反のみなし雇用の権利を取得している。派遣労働者の得ている権利を奪うことは許されない」と追及。塩崎厚生労働相は「法律上の権利は生じていない」と強弁し、「具体的にどう保護するかは政策判断の問題だ」としか答えられませんでした。
小池氏は、「労働契約申し込み義務」で労働者を保護すると塩崎氏が言い訳していることについて、「みなし制度」とはまったく違うと指摘しました。塩崎氏は、「申し込み義務」について「民事上の効力がない」と認め、坂口氏も「申し込み義務」による是正指導は4年間で3回しかなく、実効性がないことが分かりました。(表略)
小池氏は、経団連が開いたフォーラムで、「みなし規定」が適用されない措置について「利用は検討に値する」と語られていることを紹介。「改悪案は、労働者の既得の権利を奪い、骨の髄まで企業サイドの要求に応えたものだ」と批判し、廃案にすべきだと求めました。

3、労働者保護が後退 辰巳議員 派遣法改悪は廃案に
日本共産党の辰巳議員は1日の参院厚生労働委員会で、大日本印刷100%子会社の「偽装請負」事件を告発し、労働者保護を後退させる労働者派遣法改悪案を廃案にするよう求めました。
辰巳氏は、大日本印刷子会社が二つの請負会社を介して働かせていた労働者を突然解雇し、労働局から指導を受け、さいたま地裁でも職業安定法と労働基準法に違反する二重偽装請負だと認定されたことを指摘し、「身勝手な大企業の横暴を防ぐのが政治の仕事だ」と強調しました。
偽装請負が起こる理由の一つに、坂口卓厚労省派遣・有期労働対策部長は「請負には期間制限が設けられていない」ことをあげました。
辰巳氏は「改悪案は業務ごとの期間制限をなくすことになる。偽装請負をしなくても、派遣労働者をずっと使い続けられる。『常用代替の防止』が働かなくなる」と強調。派遣先に対する直接雇用義務が、改悪案では削除・縮小されると批判しました。
塩崎厚労相は、法違反が(派遣先に直接雇用する)「みなし制度」の対象になると説明。辰巳氏は、3年ごとに労働組合から意見聴取すれば期間延長でき、派遣労働者個人も別の課に移せば使い続けられ、無期雇用派遣労働者は期間制限の対象から外れることをあげ、「労働者保護が後退する」とただしました。
塩崎厚労相は「みなしの対象となる期間制限の内容が変わる」と言い訳しました。
辰巳氏は、「日経」調査で派遣社員・契約社員の68%が改悪案に反対していることへの認識をただすと、塩崎厚労相は「法案がまだ十分理解されていない。ご理解いただく」と答弁。辰巳氏は「派遣労働者のためにならないと理解しているから、反対している。このような改悪案は廃案にすべきだ」と強調しました

4、派遣法改悪 道理なし 廃案求め座り込み 雇用共同アクション
労働者派遣法改悪案の施行日とされていた1日、全労連や全労協、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)などでつくる「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」(雇用共同アクション)は参院議員会館前に座り込み、廃案を訴えました。参院では同法案の審議が行われました。
座り込み前の昼集会には80人が参加。主催者あいさつで、全労連の野村幸裕副議長は、質問にまともに答えられない厚生労働相は「政治的な責任を果たしていない」と批判。「派遣法改悪案は三たび廃案にし、永久に提出させない。そのためにがんばろう」と呼びかけました。
全労協の柚木(ゆのき)康子常任幹事は「法案に書かれた施行日にも審議を続けるなどあり得ない。『みなし制度』を発動させたくないという、厚労省の並々ならぬ意欲だけしか感じない」とのべ、必ず廃案にすると表明しました。
全労働省労働組合の秋山正臣副委員長は、労働にかんする法律を規制改革会議や経済諮問会議で、企業のいいなりに決めること自体に問題があると指摘。「安心して生き、働き続けられるルールの確立こそ大切だ」と語りました。
映演労連の梯(かけはし)俊明書記長は、派遣労働者には社会保険の会社負担もないと告発し、改悪案の施行による「みなし制度」の骨抜きは許されないと話しました。国家公務員共済組合連合会病院労働組合(国共病組)の丸山理絵書記長は、病院の事務や給食、院内保育所などで働く派遣労働者の実態を紹介し、「労働者の健康や命、暮らしを大事にしない安倍政権は退陣を」と訴えました。
日本共産党の小池参院議員が連帯あいさつをしました。


派遣法改悪案 廃案を 正社員化の道閉ざす「同一業務」の規制廃止 直接雇用義務規定なくす
労働者派遣法改悪案は、派遣労働を「臨時的・一時的」な利用から、企業が恒常的に自由に利用できるように制度を根本的に変えるものです。従来の政府見解は投げ捨てられ、派遣労働者が願う正社員化の道が閉ざされます。このような法案は廃案にすべきです。 (昆弘見)
これまで政府は、派遣を「常用雇用の代替にしない」「臨時的・一時的業務に限る」と言明してきました。いまも変えていないと言い張っています。
しかし、改悪案がこの原則を投げ捨てていることは明白です。労働者派遣法の“生みの親”といわれる故高梨昌氏(信州大名誉教授、1985年の法制定当時の中央職業安定審議会長)の『詳解労働者派遣法』に照らしてみます。
それによると、派遣労働は、派遣労働者を指揮命令して働かせる派遣先企業にたいする義務付けをしないと「適正な就業を確保することが困難」だといいます。その重要な義務付けが、派遣先の常用雇用の労働者を派遣労働者に置き換えできないように「代替防止」をはかるための派遣可能期間の設定です。
注目されるのは、たんに派遣可能期間を設定すればいいのではなく、「同一の業務」に着目することが大事だと強調している点です。そうしなければ「派遣先は、派遣元事業主や派遣労働者を順次入れ替えること等により長期間にわたって労働者派遣の役務の提供を受けることになり、派遣先の常用雇用の代替防止の実効を期すことが困難となる」とのべています。
この指摘の通り現行派遣法は、派遣可能期間を「同一の業務」で1年(最大3年)と制限し、それを超えて働かせる場合は、労働者を直接雇用することを派遣先企業に義務付けています(第40条の3)。
しかも、この措置は派遣先にとって良いことだといっています。1年間継続して働いた派遣労働者は「必要な業務遂行能力を有していた」と考えるのが合理的であり、本人の希望に応じて優先雇用することは「派遣先にとって不当な負担とはならない」と。
今回の改悪案は、一応「上限3年」という派遣可能期間を設定しています。根本は変わっていないと政府が言い張る根拠です。しかし、肝心の「同一業務」での規制を廃止しています。
新たに3年ごとに「人」を入れ替えればいい、労働組合の意見を聞けば延長できる(聞くだけでいい)こととしました。まさに高梨解説が危惧している長期使用に道を開きました。「代替防止」の実効性を困難にする法の根幹の大改悪です。
あわせて改悪案は、派遣期間を超えた派遣労働者に直接雇用を申し込む派遣先企業にたいする義務規定をなくしました。派遣先企業は、正社員募集の情報提供など無意味な「義務」があるだけで、派遣労働者を正社員として受け入れる義務はいっさい負わなくてもよくなります。
派遣先企業が何の責任も負うことなく派遣を使えるようにする、リーマン・ショックのような経済危機に応じて簡単に切り捨てるのが改悪案のねらいです。
労働者派遣法改悪案は、「常用雇用の代替防止」という原則をなくし、派遣の恒常化をはかるものだということがこの間の国会審議を通じて鮮明になっています。自民党、公明党の与党はこのような問題だらけの法案を9月早々にも参議院で数の力で強行成立させようとしており、緊迫した情勢になっています。
「戦争法案」阻止の全国的な闘いと結んで「派遣法改悪案」を廃案にする世論と運動の強化が急務です。
派遣労働が「臨時的・一時的」なものから恒常的に利用される労働になったら、これはもはや派遣ではありません。派遣の恒常化という安倍政権がとろうとしている方向は、世界の雇用ルールに反するものです。
この間の国会審議で塩崎厚生労働大臣は、派遣労働の基本が分かっていないとしかいいようのない無責任な発言をくりかえしています。恒常的な業務に派遣を利用しても何の問題もないかのような答弁(8月21日の参院厚生労働委員会での辰巳孝太郎議員の質問に)は、その最たるものです。
派遣は、雇い主から別の企業に派遣されて働く「間接雇用」という形態です。派遣労働者を指揮命令して使用し、もっとも恩恵を受けている派遣先企業が雇用責任を負わないという典型的な不安定雇用です。
したがって派遣は「臨時的・一時的」な業務に限って認め、恒常的な業務には入れないことが鉄則です。そして正規雇用の代替防止のために派遣を利用できる期間を決めています。この期間を過ぎたら派遣先企業が派遣労働者に正社員化を申し出る、これが世界の常識です。
恒常的な業務にまで派遣を広げるまさに派遣恒常化法は廃案にし、世界の常識にそった抜本改正に向かうべきです。

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