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【15.08.18】 東芝の粉飾決算事件 1500億円にのぼる利益を水増し

問題の発端は米原子炉メーカー大手ウエスチングハウスの買収

 粉飾決算は「組織的な関与」と「意図的に当期利益のかさ上げをする目的での経営判断」として行われ、「東芝のトップには基本的素養がない」と指摘されている。激烈なグローバル競争、ライバル企業への対抗、3カ月ごとに業績を問われる四半期決算の圧力を背景にした過度な利益追求、原発という国策事業が財界の中核企業を蝕み、粉飾決算へと進ませてきたようだ。
 問題の発端は2006年、東芝による米原子炉メーカー大手ウエスチングハウス買収にさかのぼるといわれる。アメリカでは1979年のスリーマイル島の原発事故以来、原発新設は止まっていた。原子力事業が行き詰る中、アメリカの2大原子炉メーカーの1つウエスチングハウスを救済したのは東芝だった。沸騰水型の原子炉技術を持つ東芝は、加圧水式のウエスチングハウスを買収することで、世界の原子力市場での利権拡大を狙った。2000億円程度とみられた買収相場に5000億円を提示。のれん代(各企業が持つ「ブランド」「ノウハウ」「顧客との関係」「従業員の能力」など無形の財産)とブランドネーム代で4000億円が資産として計上された。東芝のもくろみは福島原発事故で完全に崩れた。
 2008年に発生した世界的な経済危機=リーマン・ショックは東芝の経営を直撃した。2009年1月「収益改善に向けた体質改革プログラム」で売り上げ規模の拡大がない状況下でも利益を創出できる強靭な収益体質に転換させる。収益改善の目標値は、毎月下旬に1度開かれる「社長月例」で示された。当期利益至上主義がその一つ。東芝には、上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在していた。
 粉飾を見逃し続けた「監査法人」の責任も重大です。監査をする企業から報酬を受け取るため、監査法人の調査が甘くなる(インセンティブのねじれと言う)。大企業の監査をめぐってささやかれる官業の癒着体質。東芝の粉飾決算は、構造的問題を投げかけている。

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