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【15.05.04】 2030年に目指す日本の電源の種類別の発電比率、原子力発電は20〜22%、これだけ言っているのに0%ではないのだ。

エネルギー見通し 原発依存への回帰許されない。しんぶん赤旗4月29日主張より

 政府の「エネルギー基本計画」にもとづき長期エネルギー需給見通しを論議してきた経済産業省の審議会に、2030年の「エネルギーミックス(電源構成)」は、原子力発電は20〜22%、太陽光など再生可能エネルギーは22〜24%などとする案が提示されました。来月末までに正式決定します。東日本大震災による東京電力福島第1原発の重大事故が4年以上たっても収束しないなか、今月末で全国に43基になる原発はすべて運転を停止しています。それでも電力は賄えているのに、20%を超す原発依存を目標にするなどというのは異常な原発回帰そのものです。
 政府の「エネルギー基本計画」は、原発を石炭火力や水力、再生可能エネルギーの地熱と合わせて「ベースロード電源」として、エネルギー供給の大部分を依存することを掲げてきました。「ベースロード電源」は発電コストが安くて安定しているというのが触れ込みですが、重大な事故を起こし、事故の収束や、これから本格化する廃炉、被害の賠償などのためにどれほどの時間と費用がかかるかも分からない原発を、コストが安いだの安定しているだのということ自体何の根拠もありません。
 「エネルギーミックス」を決めるのに先立ち、経産省の審議会は各電源のコストを試算しましたが、原発は1キロワット時あたり10・1円以上、石炭火力は12・9円、太陽光は12・7〜15・5円などと、原発の割安感を強調する意図的なものです。福島原発事故の教訓を踏まえるどころか、事故後対策が強化されたから事故の確率が下がったなどといいだしコストを引き下げています。原発依存を続ける電力会社のいいなりです。
 だいたい、どのエネルギーにどのくらい依存するかは、コストだけでなく国民の安全が大前提です。原発は完成された技術ではなく、福島原発事故が示すように、いったん事故を起こせばコントロールできなくなり、国民の暮らしと環境に重大な被害を及ぼします。福井地裁は判決や仮処分決定で、「人格権」は経済的な利害より優先すると、原発の運転差し止めや再稼働中止を求めました。コストが安いという理由だけで原発依存を拡大するのは、まさに国民の安全を無視したものです。
 経産省が持ち出したように、20%を超す原発依存度を目指すことになれば、現在停止している原発を再稼働させても十数%にしかならず、本来40年となっている原発の運転期限を延長することや、規模の小さい原発を大規模な原発に建て替える「リプレース」、新増設も必要になります。福島原発事故をなかったことのようにしてしまうような原発回帰は、絶対に許されることではありません。
 政府の「エネルギー基本計画」は、原発は「重要なベースロード電源」としながら、地熱以外の太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、LNGのような「ミドル電源」にも石油のような「ピーク電源」にも入れていません。こうした姿勢では、再生可能エネルギーへの本腰を入れた転換が実現しないのは明らかです。
 国民は原発再稼働に反対です。原発依存の計画は撤回してこそ、安全性にもすぐれた再生可能エネルギーへの転換が進みます。

15年後の電源、まだ原発に頼るのか。中日新聞5月4日社説

 経済産業省が2030年に目指す電源の種類別の発電比率案を公表した。再生可能エネルギーは抑え、原発利用を最大限に見込んだ。原発再稼働に頼るのでは、日本の未来は見えない。
 公表された目標は、液化天然ガス(LNG)が27%、石炭が26%、再生可能エネルギーが22〜24%、原子力が20〜22%などとなっている。省エネと再生可能エネルギーで、二酸化炭素(CO2)の排出を減らすのが狙いだ。この案を基に、先月30日、温室ガス削減目標が2030年までに2013年比で26%と決まった。
 発電比率案はその二日前の有識者会合で了承された。再生可能エネルギーの割合が低いとの意見もあったが、事務方が「現実的な数字」と説明しただけで、議論されることはなかった。分厚いパブリックコメントの資料は無視され、坂根正弘委員長の「時間になりました」という言葉で終了。原案は一字一句変わることはなかった。
 「原発は稼働から2040年で廃炉」の原則を守れば、2030年には発電比率が14〜15%まで下がる。ある委員は「時間がたてば新増設の話もできる」と言った。実際には、原発は建設を計画してから運転開始まで長い年月がかかる。新増設は「現実的な話」ではない。20%超の目標は、老朽原発を40年を超えて稼働させる余地を残すための感が否めない。
 再生可能エネルギーを導入すると電力料金が高くなるので、原発を使うという方針だが、これも疑問だ。計算には実際の原発ではなく、モデルプラントを使った。発電コストは2030年で「10・1円以上」。各電源の中でもっとも安いが、「以上」と付くのは原発だけだ。「青天井ではないのか」と疑問を呈した委員もいたが、上限が示されることはなかった。
 再稼働に際しては、個々の原発の発電コストの公開を求めたい。リスクがゼロではなく、被害は電力会社だけでは負いきれないのだから、当然の要求だと考える。
 福島第一原発事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長は「事故は『変われなかったこと』で起きた」と指摘した。有識者会合を見ていると、3・11後も政府は変わっていない。
ただ、希望もある。同案は需要を過大に見込んでいるといわれる。原発の20%超は、需要の下振れと、家庭と職場での省エネで大幅に減らせるかもしれないのだ。国に頼ってもダメ、というのも3・11の教訓だ。

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