活動日誌−活動日誌

【15.02.04】 今日(2月4日)の「中日新聞社説」が面白いーー私たちの主張と同じだ。

1、企業の内部留保 継続的な賃上げ原資に

デフレ不況下で企業が貯め込んだ巨額の内部留保に厳しい目が注がれている。経済界は弁明するだけでなく、継続的な賃上げや国内への積極投資で応えなければ、デフレ脱却はおぼつかない。
「賃金や配当、設備投資に月2兆円は使える。企業は金を貯めるのが目的ではないはずだ」
先日、都内で講演した麻生財務相の批判は手厳しかった。
2013年度末までの1年間だけで内部留保は304兆円から328兆円へ、24兆円も増えた。1カ月に2兆円。麻生発言は今春闘で企業に賃上げの圧力をかけ、アベノミクスを再浮上させる狙いがあるが、内部留保の実態を示している。
企業の内部留保は売り上げ増加、人件費などのコスト削減、配当金の抑制で生まれる利益の蓄積だ。利益剰余金ともいわれ現金・預金だけでなく工場などの生産設備、海外子会社の株式などになっている。328兆円は10年前の約1.6倍。この間、日本経済はマイナス成長だったにもかかわらずだ。
貯め込む一方で、なぜ賃金の引き上げや投資に向かわないのか。
「リーマン・ショックのような経済危機への備え」「国内市場の縮小」「海外には投資している」−企業の弁明はバブル崩壊後の経営危機、2008年の金融危機のショックを引きずる守りの姿勢を浮き彫りにする。
企業の姿勢の転換と、デフレ脱却には何が必要か。まず政府が役割を果たす。法人税減税などアベノミクスの評価は分かれるが、企業が賃上げや国内投資に踏み切れる環境づくりが求められる。
一方、企業は積み上げてきた巨額の内部留保を、賃上げと国内投資の原資とすべきだろう。
デフレになった1990年代末から賃金は低下しており、この長期の賃金下落がデフレの原因だという指摘がある。暮らしの先行きに見通しが立てられる賃上げがなければ消費にはつながらない。長年にわたる内部留保に見合う、継続的な賃上げが不可欠だ。
もう一つは国内での積極投資。戦後の経済は繊維、造船、鉄鋼、家電・IT、自動車というモノづくりを基幹産業に伸びてきた。その先を担う産業を興す企業家精神と投資が求められている。
それができなければ巨額の手元資金を貯め込む企業への批判、「企業悪者論」は収まらず、景気の本格的な回復も望めない。

2、14年度補正予算 アベノミクスの限界だ 「所得再分配」を第四の矢に

緊急経済対策を盛り込んだ総額3.1兆円の2014年度補正予算が成立、景気を一時的には下支えしそうだ。ただ地方へのバラマキ色が強く、恩恵が一部に偏るアベノミクスの限界を示す格好だ。
補正予算は「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」が柱だ。要するに、アベノミクスの恩恵を全国津々浦々にまで届けると約束しながら、その実感が一向に広がらない地方に対して予算をバラまくのである。
例えば、地方の消費喚起だとして商品券発行や寒冷地の灯油購入への助成、漁業や中小トラック事業者の燃料費対策などを盛り込んだ。商品券は、過去の実例から景気浮揚効果は極めて限定的なのが定説である。燃料費対策は、アベノミクスによる円安進行でガソリン代高騰の影響を受けた事業者の要望を受けた形だが、解散−総選挙の間に原油安が進んで燃料価格は大幅に下がっている。
住宅市場活性化策として住宅金融支援機構の「フラット35S」の金利引き下げ幅の拡大も盛り込んでいるが、同金利もすでに歴史的な低水準にある。
そもそも補正予算とは、緊急に必要となったものに限ると財政法は定めている。原油安や金利低下は補正編成前からある程度わかっていたものであり、明らかに財政法に反する。
安倍政権の発足以来、当初予算で不要とされたものが補正予算で「復活」したり、当初予算を小さく見せるための別ポケットとして補正予算が都合よく使われてきた。今回もその傾向は変わらないのである。地方創生の先行実施と称して地方交付金を積んでいるが、緊急性に鑑みれば、今春の統一地方選対策と受け取られても仕方あるまい。
補正予算の歳入面では、税収の上振れ分などを充て、新たな赤字国債(借金)に頼っていないとはいえ、必要性に乏しい支出が許される財政状況にないはずだ。

来日して話題を集めた仏経済学者、トマ・ピケティ氏はアベノミクスが格差を拡大させると警鐘を鳴らした。異次元緩和が株価や地価上昇を通じ富裕層への富を集中させる一方、トリクルダウンが実現した例はないと疑問を呈した。このままだと格差は継承され、不平等が民主主義を歪めかねないとも強調したのである。

アベノミクスの道しかないというのなら、「所得再分配」を第四の矢に据え、資産課税の強化などで格差是正を急ぐべきである。

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