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【14.11.25】 今日の中日新聞社説 社会保障はどうなる

再分配機能を強化せよ

 富裕層が富めば、その滴がしたたり落ちるという「トリクルダウン効果」はなく、庶民の暮らしはより厳しくなるばかりだ。所得の再分配機能を強化すべきだ。

 実質賃金は15カ月連続で、前年同月を下回っている。相対的な貧困率は上がり続け、1人親世帯になると先進国でも最悪の水準だ。生活保護を受給しているのは8月時点で161万世帯と過去最多を更新した。一方で、高額商品の売れ行きは好調で、国民生活の格差は広がっている。

 安倍政権が誕生した2年前の総選挙で、自民党は社会保障について「『自助』・『自立』を第一に」と公約に掲げた。自分のことは自分や家族で面倒をみろ、ということだろう。
 その公約通り、社会保障の削減は進んだ。「公的年金」は昨年10月から三段階に分けて2・5%引き下げられつつある。国民年金の満額受給者で、すでに年間、約1万3700円減った。
 「医療保険」では、今年4月から70〜74歳の自己負担が順次、1割から2割に引き上げられている。
 「介護保険」については、一定以上の所得がある人の利用者負担を2割に上げるほか、特別養護老人ホームの新規入居を「要介護3」以上に限るなどの給付カットが、2015年度から実施される。
 「生活保護」では、食費などの生活費に充てる生活扶助費が昨年8月から計6・5%引き下げられている。保護が必要な人が利用できなくなると懸念される改正生活保護法も今年7月に施行された。

 来年10月に予定されていた消費税の再増税が延期されたことにより、社会保障の充実策は先細りする見通しだ。政府は来年度1兆8000億円を充てる方針だったが、4500億円不足する。
 
 4月からスタートする待機児童解消に向けた「子ども・子育て支援新制度」は、保育施設の職員増加などが縮小される可能性がある。
 
 無年金者を減らすため、受給資格期間を25年から10年に短縮し、低所得の年金受給者に最大月5000円の給付金を支給する対策は、先送りの公算だ。人手不足が深刻な介護職員の待遇改善や、低所得高齢者の介護保険料軽減も難しくなっている。

 再増税延期で財源が不足するなら、各省の予算枠を組み替えてでも、年金、医療、介護などの社会保障は充実させるべきだ。所得再分配機能の強化は、最優先に取り組むべき課題だ。

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