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【14.10.13】 読売新聞が、リニア新幹線について、「現行計画に死角はないのか」と社説。

識者は分かっている。拙速な判断はすべきでない。

【本日の読売新聞社説より】
 JR東海が認可申請しているリニア中央新幹線の整備計画について、国土交通省による審査が進められている。
 2027年に東京―名古屋間で開業する計画だ。45年の大阪延伸も視野に入れている。
 リニアは超電導技術を駆使し、磁力で浮いた列車が時速500キロ超で走る。最速の新幹線でも2時間25分かかる東京―大阪間が、約1時間で結ばれる。
 旧国鉄時代から最先端の技術開発に挑み、高速鉄道のフロンティアを開拓した意義は大きい。
 広大な国ではなおさら、超高速のリニアは有用だ。安倍政権が成長戦略の柱に掲げるインフラ輸出への期待も高まっている。
 とはいえ、総額9兆円に上る巨大プロジェクトである。このまま進めていいかどうか、慎重に判断する必要がありそうだ。
 建設費の大半をJR東海が負担し、国や地方の支出に頼らないのは評価できるが、そのために国交省の審査が甘くなっては困る。
 国交省は、日本の交通政策での位置付けや採算性、環境への影響なども勘案し、総合的に認可の当否を判断すべきだ。
 リニアには、3大都市圏の往来を活発にし、経済を活性化させる効用が見込まれる。
 一方で、人や企業が大都市に集中する動きを助長し、地方の衰退に拍車をかける副作用を心配する声もある。新幹線が開通した地域では、大都市に人口が流出し、かえって地盤沈下した、との不満がくすぶっている。
 全国に延びる新幹線とは裏腹に、大切な地元の足だった多くの地方鉄道が、廃線に追い込まれた。地方創生が課題となっている今こそ、公共交通機関である鉄道網の将来像を、十分に検討することが求められる。
 工事が周辺の環境に及ぼす影響への目配りも重要である。
 計画区間の9割をトンネルが占めるリニアの工事では、掘り出す土が東京ドーム50杯近くになる。その2割は、置き場所が決まっていない。掘削による地下水の枯渇や水質悪化も懸念される。
 人口減少による人手不足や資材高騰の影響で、建設費が今後、大きく膨らむ可能性も指摘される。JR東海は、建設費や運賃収入の見通しをさらに精査し、事業採算性を入念に点検してほしい。
 着工後に見積もりの甘さが露呈すれば、JR東海の経営が揺らぐばかりでなく、運賃値上げや財政負担で国民にしわ寄せが及ぶ恐れがある。拙速は避けたい。

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