活動日誌−活動日誌

【14.09.02】 子ども貧困大綱について、昨日は中日が、今日は赤旗が論評している。

1、中日社説9月1日 子ども貧困大綱 改善の数値目標を示せ

 あまりの中身のなさにがくぜんとする。閣議決定された子どもの貧困対策大綱には、当事者らが強く求めていた施策の多くが盛り込まれなかった。せめて貧困率削減の数値目標くらいは示せ。
 一日の主な栄養源は学校の給食のみ。貧しさから進学をあきらめざるを得ない。そんな子どもたちが少なくない現状だ。
 平均的な所得の半分(年122万円)を下回る世帯で暮らす子どもの割合である「子どもの貧困率」は2012年、16・3%と過去最高だった。ひとり親世帯での貧困率は54・6%。ともに先進国の中で最悪の水準だ。
 大綱は「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」とうたう。立派な理念は並ぶが、具体的な施策は既存の事業をまとめただけだ。
 大綱の策定を義務付けた「子どもの貧困対策推進法」は昨年6月、全会一致で成立した。与野党超えた全党が、喫緊に取り組まなければならない課題という認識を共有したのではなかったのか。
 当事者や有識者が参加する政府の検討会は4回開かれた。当事者らが求めていたのは、貧困率削減の数値目標の設定のほか、ひとり親世帯への児童扶養手当、遺族年金の支給期間の延長や増額、返済の必要のない給付型奨学金の充実などだった。
 政府は、貧困率のデータには、資産などが勘案されておらず、実態を反映していない、などの理由で数値目標の導入を見送った。児童扶養手当や給付型奨学金の拡充は財源確保の問題に加え、「施策の効果をよく検討しなければいけない」として退けた。
 経済的に苦しい家庭の子どもに給食費や学用品代を補助する「就学援助」は、生活保護が引き下げられたことに連動し、2014年度、70余の自治体が支給対象の所得基準を下げた。子どもの貧困対策に逆行している。
 「私が死んで保険金でももらった方が、子どもはお金の心配をすることなく大学に行ける」。民間支援団体のアンケートに、栃木県に住む40代シングルマザーはつづった。
 英国では、1999年、当時のブレア首相が、子どもの貧困撲滅を打ち出した。数値目標を掲げて、多くの施策を打った結果、貧困率の削減に成功した。
 日本の政府は熱意に欠ける。政治主導で最優先に取り組むべき課題だ。

2、赤旗主張9月2日(火) 子どもの貧困対策 現場の願いに正面から応えよ

 安倍政権が子どもの貧困対策大綱をようやく閣議決定しました。当初予定よりも約1カ月ずれ込んだうえ、内容も従来の政策の列記が目立ち、子どもの6人に1人が貧困状態という日本の深刻な実態を抜本的に改善するには、あまりにも貧弱です。子どもが生まれ育った環境で将来が左右されないことをめざし制定された「子どもの貧困対策法」の原点に立ち返り、政府は事態打開へ向けて積極姿勢に転じるべきです。
 大綱は昨年の国会で全会一致で成立した「子どもの貧困対策法」で、政府に策定を義務づけたものです。6月に内閣府の有識者会議が意見をまとめ、子どもの貧困率改善の数値目標設定や、返済不要の「給付型奨学金」導入、一人親家庭への児童扶養手当の対象年齢引き上げなどを入れることを政府に求めるなど、充実した大綱を求める声が広がっていました。
 大綱策定が大詰めを迎えた7月末、親などが貧困状態の家庭で育つ18歳未満の割合(子どもの貧困率)が過去最悪の16・3%(2012年)であることが判明しました。従来の政策の延長線にとどまらない、実効性のある対策を実施することが急務であることを改めて政府に突きつけたものです。
 ところが閣議決定された大綱は、深刻な現実を打開するのに見合った中身とは到底いえません。学校で貧困問題にあたるスクールソーシャルワーカーの増員など、ある程度の対策は具体化したものの、児童扶養手当の拡充や給付型奨学金の導入などは見送られ、関係者に失望を広げています。
 貧困率改善の数値目標も決めませんでした。イギリスでは貧困率の改善目標を明記し取り組みを強め、効果をあげています。日本でも自殺対策基本法にもとづく自殺総合対策大綱は、「自殺死亡率20%以上減少」の改善目標を掲げ、その達成に向けた対策づくりを重ねています。政府の責任を明確にするうえで数値目標設定は不可欠です。5年ごとの見直しを待たず、大綱の改定も検討すべきです。
 安倍政権の消費税連続増税と社会保障破壊は、子どもの貧困打開に完全に逆行しています。消費税増税は「アベノミクス」がもたらす物価高騰に苦しむ低所得世帯に追いうちをかけています。生活保護費削減は、受給世帯はもちろん就学援助を受けている子育て世帯に深刻な影響を広げています。労働法制大改悪は低賃金・不安定雇用を深刻化させ、若者や親たちをさらに苦境にたたせるものです。
 社会全体の貧困を拡大させておいて子どもの貧困が解消できるはずがありません。国民に「自己責任」を迫る経済・社会保障政策を根本からあらためるべきです。
 国連は、子どもの経験する貧困は、子どもの権利条約に明記されている「すべての権利の否定」と強く警告し、各国に克服を求めています。経済協力開発機構(OECD)加盟33カ国中でも最悪水準にある日本でこそ、子どもの貧困の解消は緊急の課題として位置づけられなければなりません。
 「子どもの貧困対策法」は、親から子への「貧困の連鎖」を断ち切る第一歩となる法律です。国民世論と運動が生み出した法の精神を生かすために、実効性のある対策を実現させる取り組みが重要です。

3、いずれも思いはいっしょです。

 国は、高級官僚は、貧困をなくするにはどうすべきかを知らないのだろうか。
 予算だけを考えていては前には進まない。イギリスの例もあるではないか。
 やっぱし、政治を変えなければ駄目なんでしょう。

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