活動日誌−活動日誌

【14.08.28】 昨日と今日の朝日・中日新聞の社説は、9月市議会に直結する。

1、ふるさと納税 郷土愛はどこへいった

中日社説8月27日 

 政府が検討する「ふるさと納税」の制度拡充には疑問がある。生まれ故郷や応援したい自治体への寄付といった本来の趣旨が薄れている。「特産品のお取り寄せ」が主流の現状では弊害が大きい。
 ふるさと納税のきっかけは、こうだった。地方で生まれ育ち、進学や就職を機に都会に出た人は、転居先で住民税を納める。今は都会に住んではいるが、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自らの意思でいくらかでも納税できる制度があればいい。そんな問題意識から生まれたのである。
 今から7年前、提起したのは第一次安倍内閣の菅義偉総務相、現在の官房長官である。菅氏は人一倍、郷土愛が強いのであろう。そうであれば、本来の趣旨を大きく逸脱してしまった現在の「ふるさと納税」をどうみているのか。変質したまま利用が増えさえすればいいと思っているのだろうか。
 2008年に始まった同制度は、居住地以外の自治体に寄付すると、住民税と所得税で控除を受けられる。生まれ育った自治体以外への寄付も可能で、東日本大震災のあった2011年には被災地への寄付が多く集まり、全体で約74万人、650億円に上った。
 2012年は約130億円にとどまったものの、最近は寄付の返礼に自治体から贈られる特産品を目当てにしたケースが急増している。高級牛肉やカニ、米などで、インターネットを通じ寄付と特産品の申し込みが同時にできるサイトまで登場するに至っては、当初の「ふるさとへ恩返しがしたい」という純粋な趣旨とはかけ離れてしまったと言わざるを得ない。
 にもかかわらず政府は税控除を住民税に一本化したうえ寄付の上限を二倍に引き上げる。来年度から実施方針といい、またぞろ統一地方選対策とするのであろう。
 そもそも住民税は、ごみ収集など行政サービスを受ける対価である。居住地以外に寄付すれば、その分を他の住民につけ回すことを忘れてはならない。寄付の上限を引き上げれば、税収が激減する自治体を生むおそれもある。
 ただ見方を変えれば、国や自治体が一方的に徴収してきた税に風穴をあけ、納税者に対象を選ぶ道を拓いた。自治体側にも、自らの魅力を磨きアピールすべきだとの刺激をもたらす効果があった。
だとすればなおのこと単に制度を拡大するだけでなく、納税者の税に対する関心や自治体間の健全な競争を促す知恵を絞るべきだ。

 9月桑名市議会に、ふるさと納税寄付者に寄付金の半額に相当する特産品を贈る補正予算(1257万円)が計上される。市民の意見を問いたい。

2、パブコメ制度―「面倒」を引き受ける

朝日新聞社説 8月28日(木)

 いくらいい制度があっても、うまく生かそうという意思をもって動かさなければ役に立たない。パブリックコメント(意見公募)制度がその好例だろう。
 99年の閣議決定で導入され、05年の行政手続法改正で法制化された。政令や省令などを定める際には、「案」の段階で一般に公表し、広く意見を募る。行政運営の透明性を高めて公正さを確保し、国民の権利や利益の保護に役立てることが目的で、寄せられた意見は「十分に考慮しなければならない」と定められている。
 ところが安倍政権下において、パブコメは単なる「通過儀礼」と化している。
 昨秋、特定秘密保護法案の国会提出前に実施されたパブコメには約9万件が寄せられた。賛成13%、反対77%だったが、十分に考慮された形跡はない。
 エネルギー基本計画の原案には1万9千件。賛否の内訳は公表されないまま、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけられ、今年4月に閣議決定された。その後、朝日新聞が情報公開請求に基づき賛否を集計したところ、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかっている。
 民主党政権は12年に「30年代に原発稼働ゼロ」の方針を決める際、パブコメに加え、討論型世論調査も実施した。重要政策に関しては、民意の堅い下支えがあるに越したことはない。
 安倍政権は選挙で勝った自分たちこそが民意だと言わんばかりの手荒さで、民意の吸い上げと反映を怠っているが、長い目で見れば、それは政権の基盤を弱くするだろう。
 さて先日、秘密法の運用基準と政令の素案に対するパブコメが締め切られた。単なる賛否ではなく、問題点などを具体的に指摘しなければならない。素案や資料は大量かつ難解で、読み込むには骨が折れるが、各地で勉強会が開かれ、ネット上には書き方を指南するサイトもさまざま登場した。政府に勝手に決めさせないために、「面倒」を引き受ける。そんな主権者としての自覚がうかがえる。
 パブコメはこのあと、素案を了承した「情報保全諮問会議」(座長=渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長・主筆)に打ち返される。諮問会議は、その議論を公開してはどうか。
 自由な意見を言いにくくなるなどの懸念もあるだろう。だが、みんなが少しずつ「面倒」を引き受けなければ、民主主義はうまく機能しない。国民の根強い不安と批判に、有識者は正面から答えてほしい。

 私は、特定秘密保護法とエネルギー基本計画にはパブコメを提出したが、秘密法の運用基準と政令の素案に対するパブコメには、さすがに出せなかった。
 桑名市に対しても毎回出してきたが、放課後児童健全育成事業と家庭的保育事業等の整備及び運営に関する、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準に対しては、出すことができなかった。
 桑名市のパブコメの形骸化も酷いものだ。
 そもそも条例化しない理由が分からない。

3、地域をつくる―新しい互助を考えよう

朝日新聞社説 8月28日(木)

 財政難のもとで高齢化が進む日本。介護や福祉の支え手として「地域」が脚光を浴びている。「高齢者が自宅で暮らし続けていくためには、地域で支えることが大切」という趣旨だ。
 しかし、高齢化が急速に進む都市部は、そもそも職住が分離して発展してきている。地域とは、何なのだろう。
 東京都足立区は「孤立ゼロプロジェクト」に取り組む。まず自治会や民生委員が高齢者宅を訪ねて、他人と世間話をする頻度や、困りごとの相談相手がいるのか調査。他人との接触が少ない人がいれば、区に登録した住民ボランティアが定期的に訪問する。もちろん、本人の同意が前提であり、ボランティアは秘密を守る。
 埼玉県内の戸建て住宅地「フレッシュタウン」では、高齢者が庭の手入れや外出の付き添いを気軽に頼める態勢づくりに取り組む。依頼に応じるボランティアをそろえることがカギだ。近隣の総合病院や行政に呼びかけて「支え合い協議会」を設けて、看護師による相談会や健康づくりの催し、趣味の会を自治会館で開いている。
 いずれも、地域のつながりをつくり出す試みである。
 一方、都市部で地域を支えてきたのが、民生委員だ。しかし、昨年12月時点で全国の定数23万6271人のうち、欠員は6783人。特に都市部での欠員が目立つ。委員自身の高齢化も進み、後継者がいないとの声も聞こえてくる。活動の負担が膨らんで、新潟市では、民生委員を助ける「協力員」制度を設けている。
 自治会のような地縁型の組織だけではなく、介護や食事など特定のテーマに強いNPOやボランティア団体が果たす役割もある。昨年12月には全国社会福祉協議会や日本生活協同組合連合会の呼びかけで「新地域支援構想会議」が誕生するなど、協働する動きも出始めている。
 こうした動きを広げていくことが、これからの私たちを大いに助けるはずだ。
仕事漬けだった会社員OBが地域に入ってもいい。空き家を活用して「ちょっとした困りごと」を解決する場にしてもいい。福祉の専門職がこうした場や活動に関われば「最近、あの人は元気がない」といったSOSの端緒がつかみやすくなる。
 新しい互助の形として、地域のつながりをつくり出せれば、災害や悪質商法の被害防止にも役に立つ。高齢者ばかりか子どもや障害者を含め住民全体の暮らしやすさにも通じていく。地域をつくる工夫を広げたい。

 桑名市に於いて、地域包括ケアシステムがこれに該当する。又、先日学んできた、「生活困窮者自立支援法」も地域づくりに関連してきて大変なことになってくる。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)