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【14.08.25】 今日の朝日新聞社説は、アベノミクスを論じている。

アベノミクス―「何でもあり」に潜む死角

 一国の指導者の名を冠した経済政策として有名なのは、英国の「サッチャリズム」と米国の「レーガノミクス」だ。                     
 さて、「アベノミクス」はどうか。企業に寄った政策である。法人税を減税する。原子力発電所の再稼働を急ぎ、電気代を抑える。労働規制を緩和し、企業が人を使いやすくする。円高の是正や温暖化対策の見直し、経済連携協定の拡大を含め、経営の「六重苦」を解消する方針は一貫している。
 「賃金をあげろ」「雇用や投資を増やせ」「女性をもっと活用しろ」と、企業が自ら決めるべきことに介入する。企業の再編やベンチャー育成、「クールジャパン」の売り込みなど、さまざまな分野で「官民ファンド」を押し立て、国が主導しようとする。
 個々の政策の当否はともかく、その手法は「自由主義」「市場経済」からは遠い。財政でも、歳出を絞る「小さな政府」とは異なる。補正予算で公共事業を積み増し、国の年間予算は100兆円規模が続く。消費増税に伴う景気対策を打ったとはいえ「大きな政府」そのものだ。デフレ脱却と経済成長に向けて何でもあり。これが安倍政権の経済政策の実像だろう。
 気にかける指標は株価だ。
 株価は確かに大切だ。上がれば、株式を持つ人だけでなく、年金運用の改善などで恩恵は広く国民全体に及ぶ。しかし、株価は、グローバル化が進む経済全体を反映する。米国など諸外国の政策の変化や地政学リスクなど、一国では対応できない理由で動く。株価を意識しすぎると、市場にひずみをもたらしかねない。                   
 企業経営への「介入」も、危うさをはらむ。多額の手元資金をため込みながら、なかなか動こうとしない。そんな企業へのいらだちは、わからなくはない。ただ、政治力で動かしても、企業の取り組みが持続しなければ元のもくあみだ。むしろお上頼みの風潮を強め、民間主導の成長に欠かせない企業の活力をむしばみかねない。
 「何でもあり」のアベノミクスにも、欠けている取り組みがある。所得の少ない人たちへの目配りである。
 人手不足を背景に、パートやアルバイトの時給が上がり、正社員の賃金も上向き始めた。しかし、脱デフレと今春の消費増税がもたらす物価上昇に所得の増加が追いつかない。労働市場からこぼれ落ちたままの人も少なくない。
 豊かな人が消費を増やすだけでは、経済は回らない。国民の多数を占める中・低所得層を底上げできるかどうか。これが今後の経済を左右する。
 国の借金が1千兆円を超える深刻な財政難と膨らみ続ける社会保障費を考えれば、今後も消費増税が避けて通れない。それだけに、中・低所得層にどのような対策をとるのかが、ますます重要になる。
 富の「分配」を重視し、格差の縮小を唱えたのは民主党政権だった。その民主党から政権を奪い返した自民党は「拡大」を強調し、異次元の金融緩和、機動的な財政運営、成長戦略の「3本の矢」を展開してきた。
 しかし、民間主導の自律的な経済成長に「分配」の視点が欠かせないのは、まぎれもない事実である。

 「今後も消費増税が避けて通れない。」の所が気になります。

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