活動日誌−活動日誌

【14.07.08】 農業問題は、関係しない人間には難しいが、ほっておくわけには行けない。

安倍内閣が打ち出した農政見直し方針(規制改革)の骨子

1、 農業委員会 委員の公選制を廃止し、市長村長の任命制に。意見の公表、建議などを法律業務から除外。都道府県農業会議・全国農業会議所を新たな制度に
2、 農協 信用・共済事業を農協から分離し、農林中金・全共済に移管。農協中央会は新たな制度にし、全農を株式会社化。准組合員の事業利用を制限。
3、 農業生産法人 農地を所有できる農業生産法人の要件を大幅に緩和=役員の「過半数」農作業に従事 → 「1人以上」に

亡国の安倍農政「改革」 通常国会を振り返って 紙智子参院議員に聞く

3回にわたる上記の連載が役立つ。

大企業のもうけの場に
安倍政権は国民の利益に背く暴走を続けています。それと対決した通常国会の活動について、日本共産党の紙智子参院議員・党農林・漁民局長に聞きました。
―農業分野でも「自共対決」でしたね。
参院選で6議席から11議席へ躍進したことが力になりました。質問時間が増え、委員会の理事に私も入り、参考人質疑では参考人を推薦できるようになりましたからね。国会では、日本農業衰退の主な責任が歴代の自民党農政にあることを正面から指摘し、農業再生を目指す立場で奮闘しました。
目標5万法人
安倍政権の農政「改革」は、農業再生に逆行しています。首相は1月、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムで演説し、「民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます」と述べました。
閣議決定した「新成長戦略」には、今後10年間で、認定農業者などの「担い手」に全農地面積の8割を集め、米の生産コストを4割削減し、法人経営体の数を2010年比で約4倍の5万法人にする、などを掲げました。つまり、「競争力のある強い農業構造を目指す」という口実で、農業分野を大企業のもうけ追求の場にしようというのです。
具体的には、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を通じ、(1)農地中間管理機構の創設(2)経営所得安定対策の見直し(3)水田フル活用と米政策の見直し(4)日本型直接支払いの創設―の「四つの改革」を実施するとしています。
TPPが前提
―「構造改革」の農業版ですね。
安倍政権の農政「改革」は、環太平洋連携協定(TPP)を前提に、農業の「構造改革」を進めるというものです。規制改革会議をよりどころに、財界の要求を全面的に反映した「改革」です。
「農地中間管理機構法」が昨年の臨時国会で成立しました。農業委員会は、効率的な農地利用を農業者の代表として公正に審査する行政委員会です。農地の番人といわれる農業委員会を、この法律で農地集積事業から排除することにしたのは、重大問題です。大企業が農業生産法人に参加し、優良農地を集めて規模を拡大しても、農業委員会が口を出せないことになれば、家族農業が担っている農村の解体や中山間地の荒廃が進みかねません。
政府は14年産から、米の直接支払い交付金を1万5000円から7500円へ半減し、18年産から廃止します。米の生産調整(減反)もやめます。米価が下がっても、国はいっさい面倒を見ないことになります。
生産現場では、家族経営にも法人経営にも大きな打撃になると、強い不安が起きています。政府は農業の「所得倍増計画」を打ち出していますが、全く信用されていません。
交付金の対象者を限定
―農政関連の2法が成立しましたね。
「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律」と「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」ですね。国会論戦を通じて、農家や国民の期待に反することがはっきりし、日本共産党は反対しました。
機能発揮せず
民主党政権下の戸別所得補償交付金は、すべての販売農家が対象でした。今度の「担い手経営安定法」は、畑作物の直接支払いや、米・畑作収入減少影響緩和対策の交付金の対象者を認定農業者、集落営農、認定就農者に限定します。対象農家が8万3848戸から3万8053戸へ半数以下に減少します。
支払い方式は、従来の面積支払いから数量支払いへ変えました。中山間地域のような条件不利地域では、交付額が減らされ、所得の補填機能が弱まります。
「多面的機能促進法」は、認定農業者などの「担い手」が経営規模を拡大すると、生産・流通コストの削減など農業経営に手を取られ、水路や農道の管理などが重荷になることから、それを地域住民に押し付けます。しかし、農地を「担い手」に売却した農家の失業対策事業になりかねません。
農業の多面的機能は本来、水田が水をためて洪水を防いだり、農業が営まれていることで生物多様性が維持され、農村の景観が保たれたりする役割です。農家が農業の担い手として地域に住み続け、地域社会が協力することが前提です。農業生産と切り離された活動では、本来の多面的機能が発揮できません。
自給率無関心
―日本の食料自給率は低いままです。
国会質問では、多くの問題をいろんな角度から取り上げました。
食料自給率をめぐる議論では、「農業・農村基本計画」で50%と定めた目標の達成のために、政府は何をするのかただしました。
自給率向上には、大豆や小麦、畑作物などを戦略的作物と位置付けて支援することが不可欠です。しかし、政府は、支援する農家を限定するため、多数の販売農家が切り捨てられます。
食料自給率の目標について、農水相の認識をただしても、「食料自給率を上げます」とはっきり答弁しません。審議会の議論に待つという姿勢です。
生産者米価は年々下落し、生産費が取引価格を上回っています。これでは、再生産ができません。しかも、米の過剰感があり、米価は一層下がる傾向です。政府に、米の需給と価格の安定への責任を果たすよう求めましたが、「市場に口は出さない」と答弁するありさまで、赤字になっても知らんぷりです。
地域社会が壊される
中山間地域については、私が出席した島根地方公聴会でも国会の参考人質疑でも、共通して「地域社会が壊される」という悲鳴が聞かれました。島根県では、集落間に格差が出ないよう国が対策を講じるよう要請がありました。しかし、政府の施策では、これに応えられません。
家族農業軽視
農業では、日本でも世界でも、家族農業が生産を担っています。今年は、国連が定めた「国際家族農業年」です。予算委員会で安倍首相の認識を問いました。「家族農業を大事にするというのは、自民党の政策だ」というので、予算をどれだけつけたかただすと、答弁はありませんでした。先日、初の首相出席で農林水産委員会が開かれたので、重ねて質問しましたが、首相は答弁に立ちませんでした。ここには、家族農業に見向きもしない姿勢が表れています。
―新たに提起された「農業・農協改革」が議論を呼んでいます。
国会質問では、規制改革会議の答申も取り上げました。農業協同組合(農協)に関して、農業会議所や中央会制度の廃止について、農業関係者から要求が出ているのかただしました。後藤田正純副大臣は、「廃止要求は出されていない」と明かし、「規制改革会議の委員からの意見が出されるなど、議論の中で」というのです。
農業委員会の役割を否定する規制改革会議の議論も批判しました。農水省は本来、農業委員会の役割を規制改革会議に説明すべき責任があるとも指摘しました。
TPP撤退を
環太平洋連携協定(TPP)についは、ほぼ毎回の質問で、ときどきの情勢に即して質問しました。政府の姿勢をただし、国会決議に反するTPP交渉からの撤退を求めました。農水相が「いつそれを質問されるかと思っていた」と言うほど、徹底して取り上げました。一貫して「TPPからの撤退」を主張してきた日本共産党の姿勢は明瞭です。
公約に違反し、情報も公開せず、国民的議論も行わず、国会決議もなし崩しにして、米国の要求に応える安倍政権の亡国の暴走が浮き彫りになりました。

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