活動日誌−活動日誌
【13.11.30】 文部科学省は29日、全国学力テスト(学力・学習状況調査)のこれまで禁じていた自治体による学校別結果の公表を来年度から認めました。
桑名市教育委員会の指導課長はこの事実を先日の教育委員会議の時に知りませんでした。
教育委員会が「自らが設置管理する学校の状況について、それぞれの判断において、公表することは可能」とし、市町村教委が学校別の結果を公表することや、都道府県教委が市町村教委の同意を得て市町村別や学校別の結果を公表することを認めました。
その場合、単に平均正答数や平均正答率などの数値のみの公表は行わず、結果についての分析や今後の改善策を示すこと、学校側と公表する内容や方法について事前に相談すること、数値を一覧にした公表や順位をつけた公表は行わないことなどを条件としました。
学力テストの学校別結果公表は点数競争をさらに激しくし、教育をいっそう学力テスト対策偏重でゆがめ、豊かな学力の形成を妨げるおそれがあります。
全国学力調査学校別成績、教委による公表容認 朝日新聞(11月16日)
全国学力調査に関する文部科学省の専門家会議(座長=梶田叡一・奈良学園理事)は15日、学校別の成績(平均正答率)を、各市区町村教育委員会が公表することを容認する考えをまとめた。文科省はこれまで、「学校の序列化につながる」として教委による公表を認めてこなかったが、大きな方針転換になる。
会議では賛否両論が出たが、とりまとめとして、座長代理の耳塚寛明・お茶の水女子大副学長が「正答率だけを公表する形はとらないという縛りを明記する」という条件付きで、教委による公表を認める考えを表明。文科省側も「意見を踏まえて来年度の実施要領を作成する」と応えた。
専門家会議は「結果公表が全体の向上につながるものでなければならない。得点だけが一人歩きするのはよくない」とし、全体の得点分布、改善すべき指導ポイント、過去の結果から向上が図られた点など、総合的な分析結果を合わせて示すのを前提条件とした。事前に学校側と教委が協議し、公表内容について話し合うことも求めた。
今日の朝日新聞社説 学力調査公表―序列化解禁ではない
副作用の強い薬を使うなら、使用上の注意を徹底すべきだ。
全国学力調査の学校成績を公表するかどうかは、各校の判断に任されてきた。これを来年度から、市区町村の教育委員会の判断で公表できるようにする。文部科学省がそう決めた。
これは「学校ランキング」の解禁ではない。文科省はそう強調する。自ら決めた以上は自治体任せにせず、運用に目を光らせる責任がある。
これまでも、フライングをする自治体はあった。たとえば今年、静岡県は上位校の校長名を一覧にして公表した。
新ルールは、そうしたやり方にお墨付きを与えるものではない。むしろクギを刺す内容だ。
《学校の序列化や過度な競争を防ぐため、各校の平均点の一覧表や、順位をつけた公表はしない。点数だけでなく、結果の分析と改善策も示すこと》
公表するときは、学校と事前に相談することも求めている。学校の意向を無視した強引な公表は許されまい。
文科省の事前アンケートで、ルール改正に賛成が多数を占めたのは都道府県の知事だけだ。市町村の長や教委、学校は反対が圧倒的。保護者も賛否が割れ、反対がやや上回った。
学校や家庭の心配が根強いのに、なぜ「来年から」と急ぐのか、疑問が残る。各教委は、学校だけでなく保護者の意向も確かめて慎重に判断すべきだ。
公教育には、どの街のどの学校に通っても力がつくようにする使命がある。親や納税者への説明責任がある。だから情報公開が必要だと文科省はいう。
ならば、大切なのは情報を格差是正に役立てることだ。自治体は下位校の先生や予算を手厚くするなど改善の手を打ち、次からのテストで効果を確かめて市民に説明してほしい。
調査結果には日々の生活と学力の関係の分析データも含まれている。図書館に通う、ニュースに関心を持つなど、お金をかけずに学力を伸ばせることを説明すれば保護者の役に立つ。
成績が伸びた学校の授業実践例など、校名の必要な情報もあろう。だが、校名なしでも出せる情報は多いはずだ。まずそこから公開に取り組むべきだ。
昭和30年代の全国学力テストでは、成績のいい学校への越境入学が問題になった。今は、学区を越えて小中学校を選べる市区町村が15%もある。学校格差を広げるリスクは高い。
大学入試では「1点刻みの競争を改める」方向が打ち出されている。まして義務教育はなおさらだろう。