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【12.09.24】 今日の中日新聞社説は、国の生活保護費見直し(引下げ)を批判

生活保護改革 自立ができる支援こそ 

中日新聞【社説】2012年9月24日
 生活保護受給者が二百十一万人を超えた。政府は来年度予算要求に際し保護制度を「最大限の効率化」のやり玉に挙げた。保護費を削るより、受給者が自立できる支援こそが求められている。
 「自分の子のドラえもんの貯金箱まで資産として調べられた」
 元受給者の女性は、生活保護を申請した際、行政担当者の心無い資産調査に心を傷つけられた。
 女性は母子家庭で体調を崩し働けなくなっていた。こんな行政の対応を受けても、多くの受給者は制度に頼らざるを得ないほど困窮している。
 厚生労働省によると、不正受給は年間約三兆七千億円の保護費の約0・4%である。だが、タレントの母親の受給問題から受給者へのバッシングが広がった。
 こうした風潮を利用するように政府は来年度予算要求で名指しで保護費の効率化を表明した。厚労省は五年に一度の給付額の見直し作業中で、年末までの予算編成過程で引き下げる方向だ。
 不正な受給は厳しく監視し、なくすことは当然である。保護費全体の約半分を占める医療費も、安価な医薬品を使ってもらったり、不必要な受診を抑えるなどの効率化は行うべきだ。
 だが、保護費を引き下げるだけでは生活に困窮している人をさらに追い詰める。削減となれば自治体は窓口で申請させない水際作戦をまた強化しかねない。
 今問題なのは雇用の悪化や非正規雇用の広がりで、「働きたくても働けずに困っている」現役世代の受給者の増加だ。高齢や病気でなく働ける人が約四十万人いると推計されている。就労への支援が最も求められている。
 政府は来年から、七年かけて「生活支援戦略」に取り組む。NPOなどの民間の力を借りて、早い段階から困窮者を見つけて相談や就労支援、住宅探し、困窮者の子どもたちの学習支援など伴走するように付き添う自立支援だ。
 民間の協力の輪をどう広げるか、財源はどうするか、なにより雇用情勢がよくならないと職場が増えないなど課題はある。
 若い世代が生活保護に至る前に自立を支える。保護を受けても時間を置かずにまた就労して自立できる。そんな困窮から抜け出せる制度にしたい。
 根気強く伴走する人材を増やし、重層的な安全網をつくるしかない。保護費でなく受給者を減らす支援に、政府は本腰を入れて取り組むべきだ。

 方向を間違ってはならない。(星野)

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