活動日誌−活動日誌

【17.07.12】 読売新聞が「核兵器禁止条約」に反論

保有国抜きでは実効性を欠く

世界の平和と秩序は、核保有国間の相互抑止を基本に維持されてきた現実がある。米国の「核の傘」に頼る国も多い。
現状を無視した条約の制定は、むしろ核廃絶を遠のかせるのではないか。
核兵器の生産や保有、使用などを広範に禁じる「核兵器禁止条約」が、国連本部での交渉を経て、賛成多数で採択された。
9月から署名を受け付け、50か国が批准した後に発効する。100か国を超える参加が見込まれており、発効は確実だ。
オーストリアやメキシコなどの推進派は、核保有国に軍縮を促すため、核兵器の非人道性に焦点を当てて、禁止の根拠とした。
条約の前文には、「ヒバクシャの容認しがたい苦しみと損害」への言及がある。広島・長崎の惨禍を繰り返さないという決意が幅広い支持を得ている。
核保有国は、「現実にそぐわない議論は無意味だ」として、制定交渉に加わらなかった。条約への署名や加盟はあり得ないとしている。日本、韓国、ドイツなど米国の同盟国も同じ立場をとった。
問題なのは、核兵器や「核の傘」を必要とする国の安保環境を、条約が考慮していない点である。
禁止事項には、核兵器使用の「威嚇」も入る。他国の核兵器の脅威に晒(さら)(さら)されている国が、核による反撃の意思を通じ、先制攻撃を封じる核抑止力の否定を意味する。北朝鮮の核武装への対処を迫られる日本は受け入れられない。
米英仏3か国が共同声明で、「条約は北朝鮮の脅威への解決策を何も生まない」と指摘したのはもっともである。
核拡散防止条約(NPT)は、制定時に核を保有していた米英仏中露を「核兵器国」とする。その他の国に対しては、原子力の平和利用を認めた上で、査察などを通じて軍事転用を防いでいる。
核廃棄の検証方法が不透明な核兵器禁止条約が、取って代わることは不可能だ。NPT体制が形骸化し、核不拡散の枠組みが崩れることも警戒せねばなるまい。
世界の核兵器の9割を持つ米露は、シリア情勢などで対立し、核軍縮は停滞している。核保有国が自らの責務として緊張を緩和し、段階的な核軍縮を議論できる環境を整えることが先決だろう。
別所浩郎国連大使も、「核兵器国の協力なくして、核兵器がない世界は作れない」と強調した。日本は唯一の被爆国として、保有国と非保有国の間の亀裂の修復に向けて、尽力すべきだ。

参加しない日本の立場を応援している。残念だ。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
以前の活動日誌はこちらからご覧いただけます
RSSフィード(更新情報)