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【17.02.08】 今日の日経社説は、「持続可能な住宅市場へ政策の大転換を」

低金利や節税対策でアパートを建てる人が増えている。業者とのトラブルもよく聞く。家・部屋はこれ以上必要でないのに。高層マンションもしかり。

 今、「老いる家 崩れる街―住宅過剰社会の末路―」を読んでいるところだ。先の立地適正化計画のセミナーの中でパネルディスカッションのコーデイネーターをしていた野澤千絵さんの著作だ。私的にはあまり関心がないが、空き家対策を論じる上で参考になる。

住宅建設が増えることは景気にはプラスだが、持続可能な水準なのか疑問を抱かざるを得ない。
2016年の住宅着工戸数が96万7千戸と前年を6.4%上回った。消費増税前の駆け込み需要で膨らんだ13年以来の水準だ。なかでも貸家が前年比で10.5%増になった。低金利に加え、節税対策で貸家を建てる人が増えている。
人口が減っている地方でも貸家が大幅に増加している点は首をかしげざるを得ない。業者が一括で借り上げて家賃収入を保証する契約方式が後押ししているが、一部でトラブルも発生している。
全国で空き家が急増しているように、住宅はすでに量的には足りている。人口に続いて2020年ごろには世帯数も減少に転じることを考えれば、新規建設よりも既存住宅の有効活用へ、住宅政策の重点を大胆に移す必要がある。
日本では住宅の建物の価値は築20年を超すとほぼゼロになる場合が多い。かつての土地神話を背景に「土地さえ評価すれば建物は無視してもいい」という市場慣行があるためだ。これでは家を適切に修繕する動機づけにならない。
まずは、しっかりと維持管理してきたかどうかが中古住宅の価値に反映される仕組みが要る。その方が購入者も安心できるだろう。
そのためには建物を柱や壁などの構造部分と内装・設備部分に分けて評価する必要がある。シロアリ対策をすれば構造部分の耐用年数は延びるし、給排水管を変えれば設備の価値は回復するはずだ。
すでに大手住宅メーカー10社で構成する「優良ストック住宅推進協議会」は、自らが供給した物件を対象に土地と建物を分けて査定している。建物では構造と内装・設備で別々に評価している。
住宅金融のあり方も問われている。アパート建設向け融資はすでに過熱気味だ。一方で土地に加えて建物の価値も評価して住宅ローンを提供する金融機関は少ない。
住宅の再建築率が低い点も大きな問題だ。住宅着工戸数全体に対する、古い物件を壊して建てた住宅の割合を示す指標で、14年度は9.1%と調査を開始した1988年度以降で最低になった。
古い物件はそのままで農地などに住宅がどんどん建っている。これでは空き家がますます増える。
持続可能な市場にするためには住宅政策を抜本的に改め、住宅を誘導する区域を自治体がしっかりと定めることも必要になる。


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