活動日誌−活動日誌
【16.08.17】 第５８回自治体学校ｉｎ神戸の参加報告
今年のテーマは、「憲法・地方自治・民主主義で地域・自治体に輝きを」でした。
第１日目 ２０１６年７月３０日(土) 神戸芸術センター芸術劇場
１、【記念講演】加茂利男 大阪市立大学名誉教授「日本型人口減少社会と地域の再編―不安と混迷の時代をどう生きるか」（レジメより）
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今日の世界は、不安と混迷に満ちている。今の日本、平和憲法も、民主主義も、言論の自由も、地方自治もどんどん壊され、「戦争ができる国」への体制整備がなし崩しに進んできた。
安保関連法に反対する新しい運動の盛り上がりなど、別の光景も少し見えてきた。危うさと混沌に満ちた今の世界でも、簡単に失望したり諦めたりすることなく、みんなが小さな頑張りを積み重ねれば、いずれそれが社会を動かす力を持っていく。
�◆ 嵜邑�減少社会」というテーマ
１８世紀の産業革命（マルサスの「人口論」）以来、人口の増加がストレートに経済や社会の困難をもたらす事にはならなかった。人口の減少が経済や社会の危機を呼び起こす。（「歴史人口学」、「人口経済学」）
低出生社会が定着する。経済から人口の変化を説明する理論から、人口の変化から経済を考える見方も。人口減少社会を転換するためには、人口を生む力の強い地方、農山村にもっと人が住むようにさせる事が必要になってくる。
�� 日本型人口減少社会（人口減少問題の国際比較から）
急増・急減が日本の人口変化の特徴。（アメリカ、ヨーロッパ、韓国の例）
金融緩和や規制緩和で株価は上昇しても投資や賃金は停滞したままで、産業波及効果やトリクルダウンは起こらず、雇用や所得は回復せず、結果、若い勤労者が結婚して子どもを産む事に前向きになれない社会ができ上がってしまった。
日本も韓国も、首都圏一極集中型で発展した国であり、一極集中によって生まれた経済の効果がいっときまでは経済成長の力になったが、これが非婚・晩婚社会を作り出し、人口減少をもたらし始めた。
�ぁ／邑�減少社会の地域間競争―「地方創生」の問題点
グローバル化時代の人口移動。
総人口が増えている中での人口争奪ゲームなら勝ったり負けたりで、違いは相対的だが、人口全体が減っている中での争奪競争が起こると、みんなの取り分の合計は減っていく。（「マイナス・サム・ゲーム」（合計がマイナスのゲーム））
小さくても輝く自治体フォーラムの誕生。
国の地方創生施策は、自治体に地域総合戦略を自由に自主的につくらせ、数値目標（ＫＰＩ）の達成度に応じて交付金の配分に差を付け、達成できなかった自治体はだんだんじり貧になり益々人口減になる。内発的発展に成功した自治体は生き残れるというサバイバルゲーム。自治体は、独自の創意を発揮して、地方創生のために努力するが、一緒に発展することができず、競争して共倒れになるという落とし穴（罠）が仕掛けられている。結果を残せなかった自治体は、どんどん人口減少し、本当に消滅する。やむなくその行き着く先は、自治体の廃止、市町村合併とか道州制の導入になる。
この場合憲法の改正が必要であり、人口減少が、憲法や民主主義にも関係してくる。
出生率を底上げするには、国の政策がどうしても必要である。
２、【パネルディスカッション】辺野古への新基地建設をめぐって争う国と沖縄県
―憲法・地方自治から見ると、何が見えてくるのか
名護市長からのこのパネルディスカッションに寄せられたメッセ―ジの紹介。
�� 南山大学教授 榊原秀訓（コーディネーター）
地方分権に逆行する国の基地押しつけを批判し、政治行政の変化を作り出す住民運動が重要。
�� 沖縄県新婦人の会 上里清美
米軍基地の押しつけで、暮らしが脅かされており、沖縄の深刻な貧困の原因になっている。
�� 琉球新報編集局政治部記者 島袋良太
米軍基地と日米地位協定によって地方自治が懸念さる事態が生まれている。
�� うるま市島ぐるみ会議 伊芸佑得
経済界も米軍基地が発展の障害だと批判し、安倍政権を追い詰めている。必ず新基地断念に追い込む。
第２日目３１日(日)神戸市外語大、分科会６(地域循環型経済と地域づくり)に参加
�� 大阪経済の現状と課題 宮川晃（八尾民商）
３つの実態調査アンケートの報告。新自由主義的経済政策から脱却して、持続的な地域経済を。・循環型経済で人を大切にする経営を・中小企業振興条例に基づく施策を・商店街の活性化で買い物難民をなくす・自然エネルギーの仕事を・都市農業の再生を
�� 公契約条例と地域づくりと人づくり 前田晃（加西市秘書課長）
受注者は過当競争の不安から脱し、労働者の権利や安定雇用に真摯に向き合う余裕が生じ、適正な労働には適正な対価を持って臨む意識が向上している。
加西市ふるさと創造条例を制定。（新市長による）
�� 兵庫県の中小企業振興条例制定に向けての取り組み 那須由美子（兵庫県民商）
兵庫県の「中小企業の振興に関する条例」制定と自治体キャラバンにについて
�� 豊橋市公契約条例について 伊藤英一（豊橋市職）
制定のポイントは、トップダウンか。
�� 地域循環型経済と地域づくり 八幡一秀（中央大学教授）
最近の中小企業の景気動向などについて、「小規模企業白書」に基づいて話され、（１）地域の中小企業・中小業者を核にした地域循環型経済の可能性について、�‐�さくても偉大な創造力��地域に根差したきめ細かい利便性��２４時間住民として地域社会を支える社会性�っ楼茲僚嗣雲験茲鮖戮┐觀从儿舁�性について述べられる。（２）地域循環型の中小企業振興政策として中小企業振興条例づくりの運動に言及される。�．▲瓮螢�型グローバル資本主義政策からヨーロッパ型人間尊重型政策への転換��地域に根差した中小企業振興政策の策定�Ｃ羮�企業振興条例づくりの現況�っ羮�企業・中小業者の実態把握の重要性�タ橋酬弉荳�定は意見・要求を最大限に取り入れ実行しやすく結果を検証できる体制に等述べられる。
【感想・所感】
１、人口減少社会で、地域で何が必要なのか、内発的発展の必要性を再認識した。
２、沖縄の基地建設に関係する憲法問題と地方自治について理解が深まった。
３、地域循環型経済を発展させるための中小企業振興条例制定の運動は大変なものだ。
