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【16.02.02】 三重生存権裁判 

生活保護下げ前、暮らし「ぎりぎり」 津地裁、原告側(「しんぶん赤旗」東海・北陸信越のページ 2016年1月28日付けより)

生活保護基準の引き下げは憲法違反だとして、三重県内の生活保護受給者24人が津市など4市(桑名市も含まれる)に引き下げ処分の取り消しを求めた行政訴訟の第7回口頭弁論が25日(月)、津地裁(坪井宣幸裁判長)で開かれました。
原告側はこの日提出した準備書面で、全日本民主医療機関連合会が2007年、2013年に実施した生活保護受給者の生活実態調査結果等(下記参照)を引用し、受給者が生活保護基準引き下げ以前から食費や光熱費を切り詰める「ぎりぎり」の暮らしをしていたことを明らかにしました。
閉廷後に、「生存権がみえる会」(会長・三宅裕一郎三重短大教授)が開いた報告会で原告弁護団は、今後の方針として原告ら受給者の現在の生活実態や生の声を強く押し出し、今回の基準引き下げが厚生労働大臣に与えられた裁量権を超えるものであることを主張していきたいとしました。
次回の口頭弁論は3月10日(木)午後1時半から開かれます。

【報告】天候が不安定(桑名からは積雪のため不参加)な中でしたが、傍聴席はほぼ一杯になりました。被告側の各自治体からの傍聴者以外に、厚労省の担当者(昨年再審査請求時に来県した方)や三重県の保護課の担当者も参加しておりました。国や県担当者の傍聴は初めてのように思われました。(関心の高さが伺えます。)

生活保護受給者実態調査報告(2013年5月) 全日本民主医療機関連合会

【今回の削減案の問題点と本調査の意義】
最大の問題点は、生活扶助水準と一般低所得世帯の消費実態との比較、均衡という単純な比較方法がとられ、その消費水準(生活実態)がどういった生活の状況、質となっていて、健康で文化的な最低限度の生活と言えるのか、検証されないまま削減が進められようとしていることである。
【対象】全日本民医連に加盟する事業所の患者で生活保護を利用している方
【実施期間】2013年2月〜3月
【集約数】43都道府県より1,482件
【調査項目】年齢、性別、受給開始年齢・受給期間、世帯構成、需給に至る経過(理由)、支出の切り詰め、食事状況、入浴、被服・履物の購入、地域行事・冠婚葬祭への参加、交際費、教養・娯楽費、ケースワーカーの訪問・支援状況等。
*生活・就労支援等についての自治体の体制
毎月訪問は25.6%、16.5%がこれまで0回、13.8%が2年に1回などの支援体制の貧弱さが浮かびました。
*現状において早急な改善をはかるべき事のひとつは、これまでみた深刻な暮らしに対して、手厚い援助の体制を確立することです。
*「生活保護を受給して」良かったこと
安心して通院できるようになった。とりあえず生きられる、飢えなくてよかった。
食事ができるようになった。心臓の病気があるが、治療費のため無理して働いていた、医療費の心配がなくなった。年金がゼロだったが、定期的にお金が入るので、生きられる。受給前は医療費の負担で治療していなかったが通院できるようになった。介護保険のサービスが受けられるようになり、ディサービスに通えるようになった。等
*「生活保護を受給して」悪かったこと
近所の人に対して肩身が狭い。「生活保護」を気にして外出しないといけない、気分が暗くなる。人との付き合いができなくなったこと。監視されているようで苦しい。ひけ目を感じながら暮らしている。家族を含め金銭的なことからつき合いはすべて断っている。差別、偏見があること、地域、マスコミの言動や報道など偏っている。葬儀に行けなかった。「行けなくても仕方ない」と市の担当者から言われ悲しかった。少しの余裕が確保できない。
【調査を終えての提言】
●今回、調査に協力いただいた方々は、疾病による失業など正当な理由で生活保護を受給し、食費、水光熱費など節約しぎりぎりの暮らしであった。また地域での交際、娯楽費などのゆとりはない状況であった。
●その生活は健康で文化的な最低限度の水準を満たしているとは言い難く、生活扶助水準について日本の最低生活保障の水準を問い直すべき状態と言える。
(1)今回の保護基準の切り下げは、全くこれらの検証をせず行われており、拙速に実施するならば、更に深刻な生活困難を拡大し、命と健康を危険にさらす可能性が明らかになった。
(2)改めて、今回の生活保護基準の切り下げを直ちに中止することを強く求める。

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