活動日誌−活動日誌
【15.05.02】 今日の朝日社説は、日銀のインフレ目標に警告を発している。
いまのままでは「物価上昇率」2%達成もできず、痛みを恐れて脱却もできない「緩和の罠(わな)」から逃れられなくなる。行き着く先でどのような代償を求められるのかさえわからないギャンブルに、国民生活を賭けることはできない。
以下は社説の要約です。
日銀は、物価上昇率2%の達成時期を「2016年度前半頃」とし、1年以上先延ばしした。デフレ脱却をめざして2年前に掲げた「インフレ目標」を達成できなかったのだ。
日銀が最終的にめざすのは「経済の好循環」のはずなのに、そうはなっていない。
人々がモノやサービスをたくさん買い求めるようになれば、多くの企業の業績が上向く。それが賃上げや投資の増加につながり、物価は自然と上がる。
こうした動きを生むために、日銀はインフレ目標を掲げて物価が上がるまで金融緩和を続けると宣言し、人々が「安いうちに買っておこう」と行動するよう促した。
しかし、実需は盛り上がらず、物価も目標に届かない。おまけに賃金は物価ほど上がっていないから、家計はむしろ苦しくなっている。
日銀が市場に流し込んでいるお金の量は2年前と比べ2倍以上の規模だ。この大胆で実験的な手法によって日本経済はどう変わったのだろうか。
大規模な金融緩和を進めても結果として日本国民は海外の人々に豊かさの点で差をつけられているのである。
米国ではいま、サマーズ元財務長官とバーナンキ前連邦準備制度理事会議長の間で興味深い論争が続いている。サマーズ氏は、先進国は高齢化で人々が消費せずお金を貯蓄に回し、需要が不足する構造問題に陥っていると、世界経済の「長期停滞論」を唱えている。一方、米国で量的緩和を主導したバーナンキ氏は、金融緩和で低金利が続けば、やがて投資が回復すると言い、量的緩和の効用を訴えている。
成熟社会を迎えた先進国が実需が盛り上がりにくい低成長の時代を迎えているとすれば、インフレ目標を掲げること自体に無理があるのではないか。
しかもその政策にともなう副作用、将来支払わされる代償の大きさは、国民が気づかないうちに次第にふくらんでいる。
量的緩和政策を永久に続けることはできない。近い将来そこから脱却するときが必ずくる。そのときには金利急騰や急激なインフレといった混乱が生じる可能性がある。あるいは突然の財政危機や大増税など、何らかの形で痛みを受け入れなければならないかもしれない。
国民生活に及ぼすショックを少しでも和らげるために、インフレ目標と量的緩和の政策から一刻も早く脱するために動き始める必要があるのではないか。
いまのままでは「物価上昇率」2%達成もできず、痛みを恐れて脱却もできない「緩和の罠(わな)」から逃れられなくなる。行き着く先でどのような代償を求められるのかさえわからないギャンブルに、国民生活を賭けることはできない。