活動日誌−活動日誌

【15.04.18】 今日は桑名で議会報告会&地域医療の学習会。明日からはいっせい地方選挙の後半戦です。朝日町会議員選挙もよろしくお願いします。

1部 市議会報告会

1、石田議員の一般質問
2、星野議員の3月議会の概要と代表質疑

2部 長友先生による地域医療の学習会

レジメを掲載します。

「地域医療の再生へ」            長友 薫輝(三重短期大学)2015.4.18

1.はじめに

(1)地域の医療・介護をめぐる政策動向(社会保障費抑制策が中心)
(1)社会保障制度改革・「プログラム法」*社会保険は「自助の共同化、助け合い」
(2)「医療・介護総合法」の成立(2014年6月)
(3)医療保険制度改革関連法案(現在、国会で審議中)
(4)医療保障の「公的医療保険による皆保険体制」と「医療の提供体制」の一体的な改革
(5)地域包括ケア構想、地域医療構想の登場と各地域への影響

(2)国の責任が地方へと転嫁される社会保障制度改革
(1)社会保障における公的責任からの脱走を図る→「自己責任、助け合いで何とかしなさい」
(2)「地方消滅」「自治体消滅」論で地方の危機感を煽る→地域、国のかたちを変える(これを「地方創生」と言う)
(3)近年、社会保障制度改革関連において、「精神的な側面」の強調が相次ぐ。

(3)社会保障の正確な認識に基づく政策的展開
(1)病気、貧困、失業など自己責任ではどうしようもない問題への社会的対応が社会保障
(2)家族や地域の助け合いでも対応できないからこそ生み出された仕組み
(3)社会保障を自己責任や助け合いに還流するのは歴史的逆行となる。
(4)そろそろ、正確な認識に基づいた政策展開が必要。非科学的思考と行動とは決別しよう。「社会保障はムダ」「経済成長の邪魔」→「社会保障が経済成長を支える」「社会保障は経済活動そのもの」

2.医療・介護をめぐる政策動向

(1)公的医療費抑制の主な手法
(1)受診抑制 − 患者自己負担割合を増加(医療費抑制効果は?科学的根拠は?)
(2)供給抑制 − 病院・診療所の減少、病床の削減(例 療養病床)、在院日数の
短縮化、医師養成数の抑制など。「入院から在宅へ」。
(3)診療報酬の操作 − 昨年4月に改定。
「急性期、回復期、慢性期のあらゆるステージからも医療機関は常に患者を自宅に帰すという視点で診療に当たる仕組みを作った」
→「7対1看護」− 2年間で9万床削減、要件に在宅復帰率を新設(75%以上)
→「長期入院の是正」− 特定除外制度の見直し(90日超入院患者)
→「地域包括ケア病棟」− 急性期後、回復期を担う病床(算定期間→入院後60日まで)
→「療養病棟」− 在宅復帰機能強化加算の新設
→「在宅」− 機能強化型在支診、病の実績要件の強化
  主治医機能の強化、地域包括診療料等の新設(緩やかなゲートキーパー)
  機能強化型訪問看護ステーションの創設
(4)他分野への移行 − 長期療養状態にあってケアが必要な人々を介護保険へ移行。
           後期高齢者医療制度(新たな公的医療保険)の新設。
(5)生活習慣病対策 − 特定健診、特定保健指導など
(6)医療費適正化計画の推進 − 都道府県ごとに医療費適正化レースに参加。現在第2期。
(7)国保の都道府県単位化 − 市町村が運営する国保を都道府県単位化する方向性。協会けんぽ、後期高齢者医療制度は既に都道府県単位化。*国保の都道府県単位化を目指して土台づくり

(2)国保の都道府県単位化(新たな医療費抑制策)
(1)保険者を都道府県に完全移行するものではない。市町村は引き続き国保を運営する。
(2)市町村も都道府県も協力して運営にあたる。
(3)国保運営を都道府県に任せて、自助の共同化を図る。都道府県単位の助け合い保険へ。
(4)都道府県は各市町村に対して医療費水準、所得水準をもとに「納付金」を設定する。
(5)市町村は国保加入者に対して賦課・徴収をおこない都道府県に「納付金」を納める。

(3)医療保障における都道府県の役割強化
(1)医療保障は「医療の提供体制」と「公的医療保険による皆保険体制」により実践。
(2)国保の都道府県単位化(広域化)、都道府県に医療費抑制の役割を持たせる。
(3)地域医療構想(地域医療ビジョン)は都道府県単位で。
(4)医療費適正化計画の推進、医療費支出目標の設定。DPC、KDB等の活用。
(5)データヘルス事業の活用、地域包括ケアシステムの構築

3.医療提供体制の改革

(1)病床機能報告制度の開始(昨年10月〜)
(1)「医療機関が医療機能を自ら選択し病棟単位を基本として都道府県に報告する仕組み」
(2)4つの医療機能別(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の病床データ
(3)医療機能のみならず、医療行為や医療スタッフ等についても報告
(4)「この情報と地域医療構想の情報をもとに地域の医療機関や住民が共通認識を持てる」
(5)「医療機関の自主的な取り組みや協定によって医療機能の分化・連携を図る」

(2)地域医療構想(地域医療ビジョン)の策定
(1)2015年度に都道府県が策定する
(2)地域医療構想策定ガイドライン(2015年3月31日)
(1)「医療費適正化計画」(1期5年)、現在は2013年度からの第2期のクール。適正化計画において医療費支出目標は任意事項。
(4)ビッグデータの活用により医療需要を推計し、医療費支出目標を定める。NDB(レセプト情報・特定健診等情報データ)、DPCデータ、KDB(国保データベース)
(5)データから「医療需要」(入院・外来別、疾患別の患者数等)を推計する。
(6)この推計を用いて、都道府県ごとに医療費の目標値を定めていく。

(3)「新公立病院改革ガイドライン」(2015年3月31日)の策定
(1)「公立病院改革ガイドライン」(2007年12月)
(2)総務省から出されるもので、自治体病院に対して改革を迫るもの。
(3)「医療の提供体制」の再編の一環であり、市場化を意図した性格を持つ。
(4)「経営効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」の4つの視点に立った改革を強調

(4)桑名市総合医療センター構想・計画
(1)現在の西・南・東医療センター → 桑名市総合医療センター(一般400床)
(2)西(234床)、南(一般79床)、東(一般307、療養42床)、合計662床
(3)地方独立行政法人化(2012年4月〜)、新病院は2015年4月稼働予定
(4)新病院は急性期に特化し、平均在院日数を14日、病床利用率は90%
(5)外来患者数を抑制する方向。急性期病院の外来として専門外来の強化。
(6)医療政策を見据えた病院政策部門の欠如。各専門性の強調だけでは病院経営は無理。
(7)総事業費は106億円(2012年7月段階)、現在では174億円(2014年2月段階)。
(8)医師のみならず看護師など医療スタッフの人材確保。
(9)医療ケアを主に必要とする患者(地域住民)を早期に退院させる必要 → 地域包括ケアの体制づくりと連動

4.「地域包括ケアシステム」にみる政策動向

(1)社会保障制度改革の受け皿として
(1)医療・介護総合法の成立(2014年6月18日)。この先駆けは先述の診療報酬改定。
(2)2025年には「効率的かつ質の高い医療提供体制」と「地域包括ケア」を構築
(3)地域包括ケアシステム 〜三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「報告書」〜
(4)「医療から介護へ」「入院・施設から在宅・地域へ」の連動を意識したもの。
(5)「川上」から「川下」へ。ケアの連続を意識したものではない。
(6)「川上」の改革は、病床機能の再編(機能分化・連携)
(7)「川下」の改革は、地域包括ケアと介護保険の見直し(給付抑制)
(8)専門職の代替。医師 → 看護師 → 介護職 → 住民どうしの助け合い
(9)介護保険内でも保険給付サービスの縮小、代替が進展 → ワンコインサービスの拡大
(10)「介護から市場・ボランティアへ」

(2)医療・介護提供体制の再編策①「病床機能の再編」(機能分化・連携)
(1)「病床の機能分化」として病床削減等を図る。入院難民・看取り難民の増加が懸念。
(2)医療提供体制の再編を加速させ、「病院完結型」から「地域完結型」の医療を志向する。
(3)「地域完結型」とは在宅生活が基本ということ。入院は特殊・例外となる可能性。
(4)在宅医療・在宅介護を充実させる資源投入や、制度の充実策は・・・
(5)フリーアクセスの解釈変更「必要な時に必要な医療にアクセスできる」
(6)病床機能報告制度の開始(昨年10月〜)→ 「地域医療構想」へ

(3)医療・介護提供体制の再編策②「地域包括ケアシステム」
(1)30分以内で医療・介護・保健・福祉・住まいが提供されるネットワーク
(2)システムの運営は市町村。地域包括支援センター、地区医師会等が担当。
(3)「地域ケア会議」の設定。看護師に医療行為を委ねる研修制度の導入。
(4)要支援を対象とした訪問介護と通所介護を保険給付から地域支援事業(市町村)へ
(5)医療は都道府県、2次医療圏単位、在宅医療・在宅介護は市町村単位。
(6)主治医機能を強化する地域包括診療料・加算の新設。

(4)桑名市地域包括ケア計画(2015年度〜2017年度)
(1)「全員参加型で2025年問題を乗り越えるための地域支え合い体制づくりへ」
(2)計画で記されている「規範的統合」とは「思想的統合」のこと。精神的な側面を強調するだけでなく、他の考え方を許容しない考え方。
(3)さらに、介護保険の利用を抑制することにつながる思想ではないか。医療や介護へのアクセスを保障する(利用しやすくする)ことが保険者である自治体の役割。公的責任。
(4)介護保険を「卒業」し地域活動に「デビュー」する →自治体による社会的排除の恐れ
(5)要支援、要介護認定率の低減を目指した計画。
(6)「地域生活応援会議」(地域ケア会議)が2014年10月からスタート
(7)「松阪市地域包括ケア推進会議」(2014年7月〜)では、地域包括支援センターが実施する地域ケア会議などから出された松阪市全体の地域課題の検討、松阪市に対する政策提言、多職種連携のためのグループワーク実施、専門職のモチベーションの維持・支援などに取り組む。

5.おわりに〜住民の声が生きる地域医療の再生、自治体病院づくりへ向けて〜

(1)医療・介護にみる政策動向をふまえて
(1)「医療から介護へ」「入院から在宅・地域へ」「介護から市場・ボランティアへ」
(2)医療・介護保険の給付抑制、コスト削減の意図、公的医療・介護保障の範囲を限定
(3)目まぐるしく変更される政策への「適応」と利用者への「対応」に現場は追われる。

(2)住民の声が生きる地域医療づくりへ
(1)医療・介護と住民自治、地方自治がつながる契機でもある。
(2)地域住民と自治体職員、病院職員の日常的な対話・交流を進める。
(3)地域に信頼されている病院は人材確保も経営も安定する傾向。情報公開がカギ。
(4)秋田県鹿角市「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」
 会主催でオンデマンドバスの見学、秋田大学医学部から講師派遣で学習会など。

(3)自治体職員、医療・介護・社会福祉の専門職に期待される役割
(1)地域住民と医療機関、介護施設、自治体等をつなぐ役割を果たす。政策の大幅な転換期こそ重要となる。自治体病院は地域包括ケアの拠点でもある。
(2)計画や方針に住民を当てはめるのは本末転倒。地域の医療需要や住民の生活問題を科学的に分析・把握し、住民とともに地域づくりを進めることが仕事。
(3)「アドボカシー活動」の必要性。地域住民の声を代弁して実現するのが専門職であり、自治体職員の役割である(全米公立病院協会America’s Essential Hospitals(AEH)(2015年2月19日訪問)。
(4)専門職や自治体職員がアドボカシー(権利擁護、権利保障)活動を行い、医療・介護・社会福祉を利用しやすくすることが重要。地域住民の「底上げ」を図ることが大事。
(5)こうした活動こそ経済活動そのもの。社会保障は地域経済に貢献する。

詳細は後日掲載予定です。

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