活動日誌−活動日誌

【14.10.22】 今朝の新聞各社の社説からーー朝日は道徳教育、毎日は介護保険、中日は北朝鮮拉致事件ーー三社三様です。

朝日社説 道徳の教科化―多様な価値観育つのか 

 「道徳」が小中学校で子どもたちの学ぶ教科になる。中央教育審議会がきのう、その答申を文部科学相に出した。
 これまでは教科外の扱いだったが、早ければ2018年度にも格上げされる。戦前の「修身」が軍国主義教育を担ったとして終戦の年に廃止されて以来、70年目の大きな転換となる。
 答申は、こう述べる。「特定の価値観を押し付けることは、道徳教育が目指す方向の対極にある」。その通りだと思う。
 では、教科にすることで多様な価値観が育つのか。かえって逆効果になりはしないか。その懸念をぬぐえない。
 教材には検定教科書の導入が提言された。国がつくるより、民間が工夫したさまざまな教科書が使われる方が望ましい。
 ただ答申は、教科書づくりのもとになる学習指導要領の記述を、これまでより具体的にするよう求めてもいる。細かく書きすぎると教科書も縛られる。
 「正直、誠実」「公正、公平、正義」などのキーワードの明示も考えられるとした。だが規範や徳目を詰め込むより、何が正直で何が正義かを考える授業であってこそ意味がある。
 文科省は今年、検定のルールを変えた。「愛国心」を盛り込んだ教育基本法の目標に照らして重大な欠陥があると判断されると、不合格になる。この運用次第では、かつての国定教科書に近づきかねない。
 評価は点数制を見送り、コメントで記すよう求めた。だとしても、何をどう評価するかが問われるのは変わらない。
 文科省が今年つくった教材「私たちの道徳」は、二宮金次郎らの偉人伝や格言を集めている。そんな物語から「正しい人間像」を説き、それを受け入れた場合のみ評価するのなら、思考を養うことにはなるまい。
 答申は、学校や教員で格差が大きいといった現状を改めるためにも教科にしたいという。だが、それは運用で解決する話ではないか。重要なのは教科化という形ではなく、何をどう教えるかという授業の中身だ。
 答申は情報モラルや生命倫理など現代の課題を扱うことや、対話や討論の授業も求めた。ぜひ進めてほしい。そうなると、シチズンシップ(市民性)教育や哲学に限りなく近づく。
 生の社会で価値判断の分かれるものこそ、格好の素材だ。そのために教員にはテーマを選ぶ自由がなければならない。
 決まった教科書を使っているかどうか、国がいちいち調べているようでは困る。挑戦を応援する姿勢こそ必要だ。

 安倍政権の言う美しい日本を作る教育改悪の1つだ。私は市議会で取り上げたが、誰も何も言わない。知らないうちに戦争をする国になってしまう。恐ろしいことだ。教育界は騒然としないのか。

毎日社説 介護報酬改定 人材確保を最優先に 

 来年度の介護報酬の改定に向けた議論が始まった。介護サービスを提供する事業所側は報酬アップを求めるが、逆に財務省は「6%カット」を提案した。職員の報酬を引き上げる財源を確保するため、内部留保に回っている分の報酬を引き下げる必要があるというのだ。
 最も人口が多い年齢層である団塊世代が75歳を超える2025年ごろになると、介護が必要な人が爆発的に増える。限られた財源の中で介護サービスの拡充と人材の確保をどう実現するかに、知恵をしぼらなければならない。
 介護報酬は事業者に支払われる介護サービスの公定価格で、3年に1度改定される。2014年度の介護費用は総額約10兆円だ。これが2025年度には倍以上の21兆円になると見込まれ、財務省は予算の膨張に歯止めを掛けたがっている。一方、現在約150万人いる介護職員を2025年には250万人にまで増やさないと、団塊世代の介護需要に追い付かないとされている。人手不足の主な理由の一つは、介護職員の給与水準の低さだ。
 介護現場で働く人の平均給与は月21万円台で、全産業の平均額約33万円とは落差がある。看護師約32万円や栄養士約23万円と比べても低い。時間に縛られない働き方を希望して非正規職員にとどまる人が多いのも事実だが、正職員として家庭を持った後も働き続けられるようにすべきだろう。
 とかく問題視されるのが、非課税の社会福祉法人の経営が多い特別養護老人ホームだ。
 利益率8.7%で、中小企業の平均2.2%より高く、内部留保は平均3億円を超えるとの調査結果もある。将来の増改築のために内部留保は必要などと経営者側は主張するが、社会福祉法人向けには低利の融資制度が各種用意されている。内部留保をもっと現場職員の賃上げに回すべきだとの指摘はもっともだ。
 一方、24時間対応の定期巡回訪問介護サービスは、要介護度の高い人も自宅で暮らし続けられるサービスとして12年度に新設した目玉事業だが、事業所数は伸び悩んでいる。利益率が0.9%と低いためでもある。
 介護サービスを担う人材の不足は、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」に拍車を掛け、さらなる人手不足を招くという悪循環を生む。住みなれた地域で暮らし続けることを望む高齢者は多いが、在宅生活を支えるサービスは大幅に不足している。介護報酬を一律に削減するのではなく、24時間定期巡回訪問や小規模多機能型居宅介護は報酬を引き上げる必要がある。その上で介護事業の経営者にはさらなる経営努力を求めたい。

 本当に事業者は金を溜め込んで、介護労働者に相当の賃金を払わないのだろうか。介護労働を考えていかなければならない。桑名の進めている地域包括ケアシステムやケア会議の内容をちゃんと市民に説明していかなければならない。
 昨日の朝日新聞夕刊には、介護施設でリハビリ後、家に帰りたいと望む入所者は3割いるのに、自宅に戻ってくることを望む家族は1割に満たないという厚労省の調査結果が報道された。内容の精査を市の担当者にお願いした。

中日社説 拉致調査で訪朝 情報確認を最優先

 北朝鮮による拉致被害者らの再調査について、政府は月内にも代表団を派遣する。北朝鮮の調査責任者と会い進捗状況をただすが、拉致解決につながる情報が得られるか不透明で、リスクもある。
 訪朝団は外務省の伊原純一アジア大洋州局長を代表に数日間の滞在を予定し、特別調査委員会の徐大河委員長らとの会談を求める。
 日朝協議はこれまで第三国で行われてきたが、北朝鮮は9月末、「調査はまだ初期段階」と伝え、状況を知りたければ訪朝して特別調査委から直接聞くよう提案した。
 拉致被害者家族会には訪朝団の派遣を「拙速だ」との慎重論が多く、飯塚繁雄代表は「確たる成果が得られないまま、北朝鮮側から難題を突きつけられるのではないか」と不信感を募らせた。
 最終的には安倍首相が決断した。派遣を見送れば、ようやく開いた対話の扉がまた閉じてしまうと懸念したからだ。調査委を取り仕切る国家安全保衛部は金正恩第一書記直属の機関だ。拉致問題こそ日本側の最重要課題であることを、金第一書記に正確に伝えたいという狙いもあった。
 待っていても状況が好転する見通しがないのなら、訪朝団派遣はやむを得ない選択だったといえよう。一方で相手の懐に飛び込むのは、危うさを伴う。
 北朝鮮側は拉致被害者の調査には言葉を濁したまま、代わりに戦後、朝鮮人の配偶者とともに渡航した日本人妻の消息や、終戦直後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨収集を取り上げる可能性がある。経済制裁の追加緩和をまず実施せよと要求するかもしれない。
 予想外の対応をする恐れもある。2004年、政府代表団が訪朝したときは、横田めぐみさんのものだという遺骨を渡されたが、日本での鑑定で別人のDNAが検出された経緯がある。
 今回の協議で代表団は、北朝鮮が提示する情報の内容確認を最優先すべきだ。仮に、拉致に関する新たな情報が示されても、交渉を急がず、帰国後に十分検証して真偽を判断した方がよい。
 金正恩体制の外交姿勢はまだ不明な部分が多い。今月初め、高官三人が電撃的に韓国を訪問し関係改善を呼び掛けたが、その後は好戦的な言動を繰り返している。
 日朝間でも北朝鮮が一方的に主張する可能性がある。日本側は調査内容を厳しく追及しながら、しかも決裂は避けるという難しい協議を迫られる。

 対話に対話を重ねて、解決していくしか方法はないだろう。

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